33.橋での攻防戦
ドーム形の建物の両隣に小さな塔がある。その中には鉄製の様々な部品で組まれている構造体が置かれていた。一番上には丸い円盤があり、その中心に大きな針が空に向かって伸びている。大きさはというと人の5倍ほどもあった。
「まったく、リネアにもやられて逃げてくるなんて。君は自分の力を過信しすぎだと思うよ。」
「相手も色々と戦略を考えてきております、単独で戦ってしまった事が原因だったと反省しております。」
ラウバと黒騎士は塔の中で構造体を見ながら話していた。構造体は何らかの動きをしている事もなく、存在感を大きく出していた。
「事が始まったら、これが活躍する。それまでは、彼らを食い止めないといけない。彼らは7人でここまで来る、もう後がないからね。」
「承知、これまでの失敗を取り返して見せます為、あれを利用致します。」
「あれか、確かジルバースで用意された物みたいだね。まあ期待しているよ、僕もそろそろ本気が出せそうだ。」
ウェル達は順調に進み、ドーム形の建物とをつなぐ橋の前まで来ていた。
「あの中にシェリーちゃんがいるんだよな?外には誰の気配も無いな。」
手前の部屋隅からドームを覗き込み、状況を確認していた。
「そうですね、他にも連れてこられた人達もいるようです。色々な波長を感じます。」
「このまま行っても大丈夫か?上手く行き過ぎている気がする。」
「とりあえず作戦通りに動いてみましょう。どちらが上手か力比べです。」
「そうだな、じゃあそれぞれ頼んだぞ。」
「おうよ、行くぞ野郎ども。」
ベルドイと三人の仲間達は橋を渡り始める。それぞれの武器を構えて、いつ攻撃されても良い体勢でじわじわと進んでいく。
「では、私達も行きましょう。」
ロウは橋の欄干から飛び降りた。リネアから下方の様子を聞いているので、ルネも安心して飛び降りる。
「さてと、俺達も行くか。」
「わかりました。リネアさん、お願いします。」
「ティードさん、私に合わせてください。シェルフィード!」
リネアの声に合わせて、ティードも同時に詠唱した。すると、三人は空中に浮かび上がる事が出来、橋の上から進み始めた。
「これはすごいな。でも、バランスを取るのが大変だ。」
風が勢いよく吹いてくることもあり、身体が風で飛ばされそうになる。
「本当に使えるなんて驚きです、こういう魔法は古のものだと思ってました。リネアさん、教えて頂き感謝です。」
「落ち着いたら、色々と勉強しましょう。では、あちら側まで慎重に行きましょう。」
三人は橋から少し距離をおきながら、ドームを目指した。
「よし、扉の前に到着したぞ。野郎ども準備しとけよ。」
「問題ない。」
「さっさとやってしまえ。」
「行くぜ!!」
ベルドイが扉の取っ手に触れた瞬間、大きな爆発が起こった。四人は勢いよく吹き飛ばされて、橋の中央まで飛ばされた。
「やっぱり罠が仕掛けられていたか、一気に行くぜ!」
ベルドイ達はロウ達から防御魔法を施されていたので、怪我する事なく次の行動に移る。
ベルドイは斧を振り回しながら勢いよく突進し、仲間達は火の矢をドームの中を狙い射ちながらついていく。
再度扉に到着すると、今度は衝撃破により飛ばされた。その衝撃破により仲間の一人は橋から転落していった。
「ちぃ!そりゃあ、簡単には行かせてくれないよな。」
中から黒騎士が出てきた、続いて黒ローブの者も二人現れる。
「先ずは下っ端が相手か。いいだろう、いざ参らん!」
「けっ、下っ端扱いかよ!目にもの見せてやるぜ!」
黒ローブ達はそれぞれ、氷の柱と火の玉をベルドイ達にぶつけてくる。仲間達は爆弾の爆発や矢などで反撃し、攻撃を防ぐ。
ベルドイは斧を回転させ、黒ローブ達の攻撃を弾きながら黒騎士に近づいた。
「もらったぁ!」
黒騎士に斧を振りかざすベルドイ、しかしベルドイの攻撃は黒騎士の持つ大剣によって軽く受け止められる。
「隙あり!」
黒騎士は剣を持つ手とは反対の手でベルドイの腹に殴りかかった。ベルドイは黒騎士の攻撃を受けて勢いよく飛ばされ倒れこんだ。
「うぉ、まともにやられてたら終わってたぜ。」
フラッとしながらも立ち上がるベルドイ、その間に仲間の一人が魔法によって攻められていた。
「大丈夫か!誰も犠牲にはしねぇぜ!」
ベルドイはポケットの中からナイフと爆弾を取り出し、ナイフと爆弾を交互に投げて、爆発の勢いでナイフのスピードを上げ、黒ローブ達の首を狙った。黒ローブ達は咄嗟の判断で身体を横に向けて躱そうとするが、肩にナイフが刺さった。
「それは毒入りナイフだ、お前らはすぐにくたばってしまうぜ。」
毒入りナイフが刺さった黒ローブ達は治癒魔法を使うが、効果がなかったのかバタリと倒れ込んだ。
「覚悟!」
黒騎士はベルドイが黒ローブに攻撃している隙をついて、仲間の一人に切りかかった。
仲間は後ろに避けるが、黒騎士の振った大剣から発生した衝撃破によって弾き飛ばされ、橋の下に落ちていった。
「あっという間に二人だけになったか。でも、後はお前だけだ。」
ベルドイは再度黒騎士に攻撃を仕掛ける。今度は爆弾を投げつけながら、円月輪のような輪っかも投げつける。仲間も矢とナイフでベルドイを援護する。
次々と繰り出される攻撃に黒騎士は守りの型で防戦し、攻撃を全て防ぐ。続けて襲い掛かってきたベルドイの斧を小手で防ぎ、大剣に力を込めて振るった。
「貴様達に使う能力ではなかったが、邪龍破!」
「ぬ!うぉー!!」
黒騎士が放った黒い炎にベルドイ達は耐える事が出来ず、弾かれ倒れ込んだ。
「何か自身を護る魔法で包まれていたようだが、闇の力の前には役に立たぬ。」
「うぅ、ここまでか。もう少し稼げると思ったが。」
ベルドイはポケットの中からビンを取り出して、勢いよく飲み干した。
「なるほどな、身体の中から力が湧いてくるぜ。」
ベルドイは再び立ち上がると、しっかりと踏ん張って斧を後ろに振りかざした。
「まだ、立ち上がるか。ならば!」
黒騎士も大剣を振りかざし力を溜める構えを取る。
「ウェル、国の平和は頼んだぜ!アースクラッシャー!」
「貫光破!」
二人は同じタイミングでそれぞれの武器を振りかざし、勢いある波動を発生させる。互いの波動がぶつかり合い、大きな爆発を起こした。
ベルドイはその爆発に巻き込まれて、建物の壁まで勢いよく飛ばされ倒れ込んだ。身に着けた防具がボロボロになっている。
対する黒騎士は鎧が少し傷ついただけで、倒れることなく立っていた。
「なかなかの手合いであった。さて、奴はどこへ行った?」
黒騎士はドームとは反対側の建物を一度確認し、ドームへと足早に駆け出した。




