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希望光をさがして  作者: 須雄田 脩二
32/45

32.即席パーティ結成

客人が休むための部屋が用意されているフロアに来たベルドイ達は、兵士達がいつ出てきても対処出来る様に、慎重に進んでいた。

一つフロアを進んだところに螺旋階段があったので、先を確認する為、壁に張り付きながら覗き込んだ。

「特に問題は無いな。あの階段を登ればウェルと合流出来るはずだ、行くぞ。」

「待ってください、階段の向こう側から音が聞こえてきます。」

「ん?確かに足音のような音が聞こえるな。子供の方が耳が良いか、流石だな。」

「近づいてきてますね、こっちに来たら先制しましょう。」

「そうだな、知らない奴なら先手を打つぞ。」

ベルドイ達は静かにしながら、足音を聞き取っていた。足音は大きくなってきており、このフロアに人が入ってくるのを確認した。

「打て!」

ベルドイの合図で仲間は毒の付いた矢を放った。矢は侵入してきた相手をめがけて飛んでいくが、風が勢いよく吹き、矢は弾き返された。

「くそっ、不意討ちは失敗だ。行くぞ!」

「(また、戦闘だ。上手く立ち回らないと。)」

ベルドイ達がフロアに出たと同時にティードもついて出ていく。距離を取りつつ相手を確認した時にティードは驚いた。

「あっ、待ってください!あの人達は私の知り合いです!」

ベルドイが相手に接近し仲間が矢で威嚇している時、ティードは声を大きくして止めに入った。

相手も攻撃の体勢に入っていたが、ティードの声に反応して、構えた武器を下した。

「ティード!無事でしたか。」

「ロウさん!来てくれたんですね。」

ベルドイ達も攻撃を止めて、相手を確認する。

「なんだ、知り合いだったのか。うっかり相手をするところだったぜ。」

それぞれ、螺旋階段の下に集まって、互いを確認し合った。

「こんな場所だ、先制攻撃するのは仕方がないさ。適格な対応だったと思う。」

ルネはナイフを持ちながらベルドイ達に話しかけた。

「女じゃねぇか。ん?フレッチェルンに住んでいるのか、よろしくな。」

「これが終わったら色々と話そう。今は妹さんだ。」

「さて、ティード。ここからは遠慮はいりません、魔法を利用していきましょう。」

「え?でも…」ティードはベルドイをちらっと見た。

「索敵を行っていますが、この上のフロアには魔法使いがいます。気にしていてはこちらがやられてしまいます。」

「今、魔法って言ったか?なるほどな、さっきの水は魔法がけしてくれたわけか。」

「え?どうして分かったのですか?」

「俺だって、伊達に長年生きてきたわけじゃねぇさ。こいつだって、魔法の存在だって知っている。お前が使えるなら、どんどん利用していけ。」

ベルドイはティードの肩をたたく。

「なるほど、そうでしたか。では、頑張らせて頂きます。」

「では、気をつけて行きましょう。」

ベルドイ達は螺旋階段を慎重に上り、上のフロアに到着する。そこには、何人かの兵士と黒ローブを着た人が数名待機していた。

相手を確認した黒ローブ達は火の玉を発生させて、ベルドイ達にぶつけてきた。

「うわっと!手厚い歓迎だな!」

ベルドイ達は火の玉をそれぞれ避ける。すぐに武器を構えて、反撃を開始する。

皆が動き始めたと同時にロウは、相手の攻撃魔法を抑えられる防御バリアを皆に展開させた。

ルネはベルドイ達の進撃に合わせてナイフを構えた。仲間が放った矢を兵士達が防いだと同時にナイフを投げ、相手の腕を負傷させた。

「良い攻撃だ、おかげで隙が出来たな!」

一人の兵士に対し、ベルドイは斧を振りかざして軽く傷を与える。その攻撃にひるんだ隙を狙って、殴り気絶させた。

一瞬の出来事に黒ローブ達も対応が出来ず、続けてティードが発した電撃魔法に詠唱を阻まれていた。

「スパイダーブレード!」

ロウが放った網状の物体には刃のような突起があり、黒ローブ達に傷を負わせながら包み込んで柱に拘束した。

「あっという間に仕留めやがった、やっぱり魔法ってやつはすげぇぜ。」

ベルドイは拘束された黒ローブ達をまとめて気絶させる。

ルネは兵士達の背後に素早く移動し、睡眠薬が入った粉を兵士達にふりかけ眠らせた。

「即席パーティですが、上手くいきましたね。」

「ロウさんの刻印術は本当に見事です。」

「ルネ嬢とのタイミングもバッチリだったぜ、ありがとよ。」

「そう呼ばれるのは、なんだか恥ずかしいな。」ルネの発言に皆は少し微笑んだ。

「いったい、この黒ローブを着ている奴らはどこから来たのか。」

「そうですね、それは我が国の王子様に聞くとしましょう。」

「世界も変えるほどの出来事に関わっているなんて信じられねぇが、気合入れていくぜ。」

ベルドイ達はさらに奥へと進んでいった。


黒騎士を逃がしたウェル達はドーム形の部屋に行く前に、ラウバに対してどのような作戦でいくかを考えていた。周囲の安全確保は済ませている。

「つまり、王子さんはリネアさんより随分と強いって事だよな。」

「はい、きっと闇魔術の力を身に着けております。恐らく魔界からの召喚も可能でしょう。」

「そうだな…、こっちが攻めていくのは知られているから奇襲は出来ないし。じゃあ建物ごと破壊するか。」

「あの建物には強力なバリアが張られています。侵入は出来ますが、外部からの攻撃は駄目かと。」

「むぅ、黒騎士だけでも大変だっていうのに。ここまで来て行き詰ってしまってるな。」

「浄化魔法が使えたら、少しは有利に働くと思いますが…。私は使えません。」

「せめて、黒騎士がもう一度戦いに来てくれたらな。守りに入られるとは…。」

「手数が多ければ、良いアイデアも出てきますよ。」

「おっ、良いところに来ましたね。」

ウェル達のもとにロウ達も合流する、合計9人のグループになる。

「感じる波長で推測すると、そこまで時間がなさそうです。一気に攻めていきたいですね。」

「何手かに分かれてやるか、ロウは気付かれていないんだよな?」

「気配を消しておりますので、おそらく大丈夫だと思います。ルネさんも同様の魔法をかけています。」

いつもはニコニコのロウだったが、ここでは淡々とした表情をしている。相手は相当手練れなのかとウェルは思った。

「なるほど、じゃあ二人は隙を見て対応する役目だな。俺達は出来るだけ相手を困らせる。」

「結局シンプルな作戦が有効になりそうですね。」

「こういうのはどうでしょうか?」ロウは考えた内容を皆に伝える。

「それが出来たら風向きが変わりそうだな、出来そうかティード?」

「想像が出来ませんが、ロウさんのご指導通りやってみます。」

「よっしゃあ!もうひと暴れして、美味しい酒を飲むぞ!」

「本当にユニークなパーティだ。」

「とにかく自分優先で動いてくれよな。よし、一泡吹かせに行くか。」

ウェル達はドーム形の建物へと進み始めた。

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