表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
希望光をさがして  作者: 須雄田 脩二
18/45

18.格上の相手と刻印術

「あいつ、こちらの出方を窺っているな。」

岩陰からガーゴイルを覗きながら会話する二人。

「ウェルさんはどのような戦闘スタイルですか?見た感じ経験は少ないと見受けられますが…」

「失礼な。まあいいさ、俺の得物はこれだ。」

ウェルは腰の左右に付けていたナイフを二丁取り出した。

「なるほど、空飛ぶ魔物には不利ですね。」

「魔物はウルフやボア位しか相手にした事がないけど。対人なら三人まとめて相手にした事がある、とはいっても下っ端相手だけどな。」

「まあ仕方がないですね。それでは、ウェルさんは私のサポートをお願いします。時間稼ぎになってくれるだけで大丈夫です。」

ロウはそう言うと、背負っていたリュックを地面に置く。

「よほどの自信があるようだな、お手並み拝見といきますか。」

ガーゴイルはしびれを切らしてきたのか、グルルと喉を鳴らしながら近づき始めた。

「さて、いきますよ。」

「命懸けな気がするけど、やってみるさ!」

岩陰を飛び出したウェルは、姿勢を低くしてガーゴイルへと突進した。

急に行動されたので、一時的に身構えるガーゴイル。

ロウも岩陰から半身乗り出して構える。

「大いなる大気の精達よ、わが身に力を与え給え。」

ロウの周囲から光球がいくつも発生し、渦を巻くようにロウの身体にまとわりつく。

「巨大な手となり我が盾となれ、フェザーシールド。」

ロウが手を前に出すと、目の前に白い手が発生し、瞬時に見えなくなった。

その現象はウェルの身体にも発生していた。

「こんなやばい奴と戦うなんて思ってなかったぜ!」

ガーゴイルの身長は、ウェルのおよそ五倍ほどある。ガーゴイルの腕ひと振りをまともに受けたら、それだけで終わるだろう。

ウェルは手に持っている物より小さいナイフを、腰から二本取り出し、ガーゴイルの喉元めがけて投げつけた。

少しの狂いもない正確な投擲だったが、ガーゴイルはさっと腕でナイフを振り払った。

「それはおとりなんだよ!」

ウェルはその間にガーゴイルの足元にたどり着き、四度ほど左足を切り刻もうとした。

しかし、ガーゴイルの皮膚が固いのか、ウェルが力不足なのか、皮膚に刃が入り込まなかった。

それでも鬱陶しいのか、足をバタバタと動かし、ウェルを蹴飛ばそうとした。

ウェルはサッと後ろに後退して、足蹴りをかわす。

「お次はこいつだ!」

ウェルは腰にぶら下げていたロープを振り投げる。

ロープの先端にはカギ爪が付いており、ガーゴイルの腕に巻きつくと、しっかりと固定された。

「俺流の魔法を見せてやる。」

続けて、ポケットバッグから小さな球体を取り出しロープ目がけて投げつける。

球体は衝撃によって破裂し、中から黒い煙が発生し、バチバチと火花を飛び散らせた。

その火花はロープに燃え移り、燃え移った炎は勢いよくガーゴイルの腕に伝わろうとした。

ウェルが手に持っているロープの片側は、燃えにくい素材が使われているので、引火はしなかった。

腕に燃え移ろうとした時、ガーゴイルは反対の腕でロープを引き裂いた。

そして、押されている事に戸惑っているのか、小さい鳴き声をあげた。

「まったく相手にならない、ロウはどうしたんだ?」

ガーゴイルを警戒しつつ、ウェルは後ろを振り向く。

ロウは目を閉じて、平然とした様子で呪文を唱えていた。

ガーゴイルの方に向いたタイミングで、ガーゴイルの大きな腕が襲いかかろうとしていた。

腕はウェルの身体を引き裂こうとしたが、目の前に白い手が発生し、腕を受け止めてた。

しかし、白い手は衝撃を押さえきれず、ウェルは少し後ろに吹き飛ばされる。

「いってぇ、まともに喰らっていたら確実に死んでいたな。今のはロウが発生させた手か。」

ガーゴイルは白い手に弾かれながらもウェルに攻撃を仕掛ける。

しかし、身を低くしたウェルに上手くかわされる。

「ロウさんよ、さすがにこれ以上は厳しいぜ。」

ウェルはガーゴイルから少し離れる。ガーゴイルも間合いを取り、体制を整える。

「水と木の精達よ、強大なる樹と水流を見せつけたまえ。」

ロウはガーゴイルの方に腕を振り出す。腕の先から水流が発生し、ガーゴイルに飛んでいく。

ガーゴイルは、そのあまりにも速い水流をかわす事が出来ず、腹部に衝撃を受ける。

水流は絶える事なくガーゴイルに衝突し続ける。さらに水流に巻きつくように木の幹も発生した。

水流に流されまいとガーゴイルは耐えてはいるが、勢いに負けて飛ぶことが出来ない様だ。

その姿に追い打ちをかけるように、木の幹がガーゴイルの腹に刺さりこむ。

この攻撃はさすがに堪えたのか、ガーゴイルはグォーとおたけびをあげた。

「続けていきますよ。荒れ狂う猛火よ、矢となり射貫く力を見せつけたまえ。」

今度は青い炎が多数発生して、それぞれが矢の形となり、次々とガーゴイルへと飛んでいった。

先ほどの攻撃でひるんでいるガーゴイルだが、炎の矢を腕を組んで防ぐ。

腕に防がれた炎だが、ガーゴイルの皮膚を焦がす事は出来た。

「どうです、まだ戦いますか?」

腹から血を流しているガーゴイルは、羽根を大きく広げて空へと飛び立ち、二人の視界から消えていった。

ウェルはナイフを腰に戻し、ロウの方へと向かった。

「逃げてくれましたね。本気を出されてたらどうなっていたか。」

ロウはそう話すが、あきらかに落ち着いて話しているので、全然本気を出していないなとウェルは思った。

「ロウ、あんたは魔法が使えるのか?」

「正確に言いますと刻印術ですが、見た目は魔法と変わらないですね。」

「魔法の種類も色々とあるという事か。」

「そういう事にしておきましょう。さて、先を急がないと今夜は野宿になるかもしれないですね。」


「ロウさんとは偶然的な出会いをしていたのですね。」

「確かにそうだな。その後ロウとは一緒にディズオールまで戻った。しばらくは居たんだが、いつの間にかいなくなっていたな。そしてまたルードで再会するわけ。再会する前の事は全然知らないし、聞いた事もない。しかし何故あんな所で隠居しているのか…」

「色々と偶然が多いですね。でも実は必然的だった可能性もあって、誰かが作ったシナリオ通りに動かされているかもしれないですね。」

「そんな恐ろしい事を言うな。そうだったら、俺達は自分自身で生きていないって事になるじゃないか。」

「あっ、あれって出口じゃないですか?」

ティードが指差した先に白い光が見えた、外の明かりだろう。

「やれやれ、なんか長い道だった。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ