12.地方図書館の情報
国立図書館は少し入り組んだ道に面しており、ウェル達は少し迷いながらも辿り着く事が出来た。
図書館の入り口にはライオンの紋章が刻まれた門があり、王族の存在を誇張している。
外壁も至る所に王族が関係している模様が刻まれていた。
「小さいと言っていたが、十分な大きさじゃねぇか。」
「そうですね。目的の情報がすぐ見つかると良いのですが。」
ウェルとティードの二人は門の前で図書館を見上げながら話す。
「あまり時間を取られるわけにはいかないから、パパっといくぞ。」
中に入ると部屋中に本棚が敷き詰められており、本が見渡す限りに置かれていた。
天井には羽の生えた人間が二人、手を取り合っている絵が描かれている。
朝早い時間だが、本を読んでいる人が何人かいた。
「すげぇな、よくこれだけの本を集めたもんだぜ。」
「支部でこれだけの量があるのですから、王都にある図書館はとんでもない規模でしょうね。」
入り口のすぐ横に受付があり、そこに座っていた女性が二人に気付きお辞儀をした。
「おはようございます、本日はどの様なご用件でしょうか?」
女性はシャツにベスト、それにパンツスタイルという動きやすい服装をしている。
声をかけられたので二人は受付に近づいた。
「はい、見たい資料がありまして。」
「この国ができる前にあった戦乱の資料はあるか?」
女性はウェルとティードを交互に見る。女性の鋭い目つきにティードは少し警戒した。
「申し訳ございません。建国以前の本は重要書物扱いのため、全て本部に保管されております。」
その答えに、ウェルは不思議に思う。
「重要物扱い?ただ歴史を知りたいだけなのに。」
「私も詳しくは分かりませんが、この先再び戦いを起こす事のないよう、閲覧されるのを制限していると思われます。」
「なるほど、理解は出来る。という事は本部に行っても簡単には読めないという事か?」
「はい、重要書物は管理局の許可が必要になります。」
「とりあえず王都に行かないと調べる事も出来ないな。」
「失礼ですが、建国前の書物で何をお調べになるのか聞いてもよろしいでしょうか?」
詮索されている?とウェルは気になったが、付き合う事にする。
「妙な奴に会ってな、何やら王国の事に関係があるらしい。」
「…そうですか、確かに何かが起こるという噂は聞きますね。」
「何か知っておられるのでしょうか?」
「小さいながらも王立図書館ですので、色々と情報は集まってきます。
しかし、王都ルードの状況が最近公開されておりません。
混乱を避けるため、それ自体珍しい事ではないですが、
人づてで得た情報によると、国外から使者や騎士団が城内に集まっているらしく、
町民も招集されているとか。」
「町民が…、一体何が起こっているのでしょう。良くない事しかイメージ出来ないですね。」
「夜に眩しい光を見たとか、様々な情報を受け取っておりますが、未だ大きな事は起こっておりません。」
「詳しく調べたくなってきたな。」
「先ほど、妙な方に会われたとおっしゃっていましたが、その方は黒い騎士だったのでは?」
「当たりだ、何で分かったんだ?」
「一昨日の事で、夜遅くに町を駆けていく黒い鎧を纏った者を見た人と話をしましたので。」
ティードとウェルは一瞬目を見開く。
「そいつは本当か!?」
「はい、騎士は小走りで王都方面に向かって走っていたどうそうです。」
「いい情報ありがとよ。そいつが会った奴かはわからねぇが、可能性は高いな。」
「目的を終えたら、王都へも行く事も考えますか。」
「お願いをするのも失礼ですが、王都に行く事がありましたら、より詳しい情報を調べてもらえませんか?
私の身分ではここを離れる事も出来ませんので…。」
「そうだな、可能であれば調べてやるよ。」
「ありがとうございます、よろしくお願いします。」
「そろそろ行く事にするよ、貴重な情報をありがとな。」
「いえ、お気を付けて。」
図書館を出た二人は一旦広場へと出てきた。
「目的は果たせなかったが、黒騎士の情報は得たな。」
「そうですね。城内で危険な事が行われていなければ良いですが…。」
「とりあえずそれは忘れて、オブラールに向かうとするか。」
「調べ物が無かったので時間が節約できましたね。明るいうちに洞窟を抜けましょう。」
「あそこは何度か抜けた事がある、たぶん夕方には抜けれるさ。足の疲れは大丈夫か?」
「問題ありません。シェリーの為、こんな所で負けませんよ。」
「その意気だ、よし行くぞ。」
二人はヘムリット洞窟道へ向かうため、町入り口の関所に向かった。
図書館の準備室で、リネアとアルネア、それにもう一人の女性が集まっていた。
「リネア、どうやらあの二人で間違いなさそうだ。」
「そうでしたか。これからアルネア様は王都に行かれるのですね?」
「ああ、行って確かめたい事があるからな。しかし、丁寧な言葉を使うのは大変だ。少し話しただけなのにとても疲れた。」
「アルネア様は盗賊育ちでしたね。」
「男ばかりだったしな、丁寧に話す環境がなかったから仕方がない。でも、町民の服は着心地が良かったぞ。」
「今から仕草を変えるのも悪くないですよ。」
「何を馬鹿な事を、そんな事をする必要がない。」
「それもそうですね。」
そんな会話をしながら、リネアはもう一人の女性に何かが入った袋を手渡した。
「ご協力感謝致します。」
「いえ、ご必要な事がありましたら、何なりとお申し付けください。」
「リネア、王都への準備を頼む。」
「かしこまりました、シャピオンを用意致します。」
二人は図書館を出て行った。




