秋桜。
高台まで行くのが 苦しいとはいえ
あとはなだらかに 斜面をくだると
切なくなるほど 色鮮やかな
今年もまた会いに来たのは
あなたに告げたいから 取り出した写真を飾って
とくに好きだった薄紅色の ゆれる秋桜の
詠う花びらは まるでオルペウスのように
同じ冥府にいたのなら どれだけ嬉しいことだろう
散りゆくまえに 粉雪が舞い踊るまえに
ただゆるやかに 時の流れに身を委ねて
いつかいっしょになれたら
毎年決まって山を登る あなたの大好きな秋桜に
まったりしてくだされば幸いです。