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花の女神とオークの王国  作者: 葉月 優奈
三話:鬼王の温泉
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039

私の姿は、オーガにとって得体も知れないモノらしい。

人族と亜族は、生活圏が大きく異なる。

それなのに、人族と名乗る私がここにいること自体不自然なのだ。

だけど、女神と堂々と言うのは正しいとは思わない。


「お前は、何者だ?」

「私は普通の人族です。ただ、迷ってしまってここに行き着きました」

「そうか?」

ブリーム王の目は、私の姿を映したままだ。


「カルラに手を出すな」

動いたのはランドだ。そのまま、槍でブリーム王に向かっていく。

しかし、ランドの肩に手が伸びてきた。


「やめなさい!」リッツアの冷たい声だ。

それと同時に、ランドの小さな体を掴んで右手で振り向かせた。

怪力のリッツアに、体重の軽いランドの足が動く。

それを見て、ランドが不満そうな顔になる。


「何をするんだよ!」

背の低い男のランドが、背の高い女のリッツアを見上げる。

「王に槍を向けたら重罪よ、わかっているの?」

「リッツアはそんなことを……」

ランドとリッツアが、なぜかいがみ合っていた。

ピリついた空気に、耐えきれずにレオニーが口を開く。


「それより本題に入りましょう。

「ああ、そうだな。サハギンの動きが激しくなっていることはわかるよな?」

ブリーム王は、私から離れて畳の上であぐらをかく。

その姿は、さっきまでの普通の老人のオーラと違う。


「サハギンは、オーガの里にも?」

「正しくは『ザンビス砦』だ。そこでかろうじて食い止めてある。

だが、陥落も時間の問題だろう」

ブリーム王は、唇をかみしめた。


「あのザンビス砦が、ですか?」

「ああ、あそこは山岳防衛の要所で……サハギンといえど陥落させることは難しいかと」

「だが、オークは滅んだ」

「うっ!」苦しそうな顔を見せるアヨ。

アヨにとって、この言葉は衝撃的だった。

小さなアヨを、私は慰めていた。


「大丈夫よ、アヨちゃん」

「カルラ……うん」

小さなアヨが受け止める現実は、まだ重いようだ。


「ヤザムは落ちたし、ザンビス砦を狙わなくてもオーク側のエルド城からアトノスに奇襲をかける。

そういう条件が、そろったということか」ランドが口を挟む。

「今は、ない」

断言したのはレオニーだ。


「どういうことだ?」

「エルド城付近に、サハギンの集団は確認されていない。少なくとも私の目から黙認できなかった。

現状としては、エルド城付近にサハギンはいないとみてだろう。

前回のレムラ将軍部隊の消滅により……」

「ちょっと待て、レムラ将軍?」

「はい、赤い鱗のサハギンがいたと思うのですけど。あのハイサハギンです」

「ああ、アレね。ちょっと苦労したけど」

ウインクしてみせる、リッツア。

確かに、リッツアの回し蹴りでKOしたよね。

問題は、その後の白い鱗のサハギンなのだけど。


「ねえ、レオニー。白い鱗のサハギンは見えなかった?」私は問いただす。

「誰?そんなのがいたの?」

「いえ、いたはずだけど」

「それは見えなかった」

レオニーは、しっかりと首を横に振っていた。

だけど、ブリームの方は気になったようで「なんだ、その白いサハギンってのは?」難しい顔で、口を挟んだ。


「白いサハギン、名をハッカクと言います。

詳しいことはわかりませんが、オークを襲ったのは彼の差し金ということです」

「ふむ、そのような『ハイサハギン』がいるのだな」

「『ハイサハギン』、ええ」

あまり馴染みながないが、オーガの間ではそう呼んでいるのだろう。

地上界の文献にはないけど、私はその呼称に従うことにする。


「その名前が出ること言うことは、やはり」

「ああ、ザンビス砦に襲撃したハイサハギンはいる。名は『コノコ』という」

「コノコ……」

その名前に、私やランド達も聞き覚えがない。

新しいハイサハギンなのだろうか。


「どんな奴なの?」

「一言で言うと、魔法を使う」

レオニーは、はっきりと言い放っていた。



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