021
サハギン十人対リッツア、ランド……あと私。
その戦いは、すでに戦いではなかった。
槍を持ったランドは、次々とサハギンを突き刺していく。
だが、そのランドよりもこの戦いで際立っていたのはリッツアだった。
「はあっ!」
リッツアは、右腕でサハギンを殴りつける。
その一撃で、サハギンの体が軽々と吹き飛ばされた。
彼女の戦闘スタイルはどうやら格闘タイプだ。
右手で殴り、太い左足で蹴り飛ばす。
さらに背後をとったサハギンに対して、チョークスリーパー。
関節技も、冷静な顔で決めてくるリッツア。
その動きは素早く、見とれるほどだ。
そんな戦いを私は、見ているだけだ。
圧倒的な戦力差があるし、魔力使う局面でなければ使わないのが優秀な魔法使いの条件だ。
ハイオークになると、サハギンの群れに負けることはなさそうだ。
「ふう、片付いた。そっちは?」
汗をかいて、ランドがリッツアに声をかける。
そのリッツアの腕には、苦しむサハギンがいた。
しっかりと首を絞めていて、リッツアが迫っている。
「さあ、教えなさい。あなたたちのボスを」
「ギギッ、ギギッ」サハギンの声は、やはり寄生のようなモノだ。
知能の低いサハギンだと、まともな会話にならない。
それでも、リッツアは捕まえたサハギンを追い詰めていく。
「ギギッ」
「答えないのなら」
次の瞬間、ボキッと鈍い音が聞こえた。
そのまま、サハギンは力なくリッツアの腕の中でぐったりとしていた。
「だめね」
「リッツアは、サハギンの言葉はわかるの?」
「わかるわけないでしょ」
「そう……」私は苦笑いしていた。
「カルラはわかるの?」
「うーん、本気を出せば。だけどリッツア」
「何?」
「大体、サハギンのボスは、ああいう所にいるんじゃないかしら?」
「それもそうね」私が指さしたのは、石で作られた大きな城。
外観だと、二階建ての大きな石の城。
「急ごう、俺たちの王が心配だ」
「そうね」私たちは、迷うことなく石の城に向かっていった。
そのとき、私は知らなかった。私たちを見ていた謎の人影の存在を。




