013
青い鱗のサハギンは、一回りも二回りも大きい。
それだけで、群れのボスである青い鱗のサハギン。
手には、何やら棒のようなモノを持っている。
「あれは杖?」
「みたいねぇ」アルラネと私は、小声で話をしていた。
文献で見たサハギンは、知能が低い。
魔法を使うこともできないと、書かれていたのを思い出す。
だけど、このサハギンは違うのかもしれない。
「お前は何者だ?」おまけに喋る。
普通ではない青い鱗のサハギンが、きれいな言葉を発してきた。
「その前に、そっちが名乗るのが先でしょ」
「それもそうか」
青い鱗のサハギンは、礼儀正しい。
そのまま、手を胸に当てて紳士のごとく深々と頭を下げた。
「我が名はツクラ。ハイサハギンだ。神ロイスを信仰している」
「神ロイス?」
その名前をもちろん、私は知っている。
八神の一つで、正義を司る神。
八神は、地上界一般的にも知れ渡っていて人族が特に信仰している。
なかでもロイスは、人族の騎士団が信仰することが多いらしい。
「さて、お前達は何者だ?」
「私は、カルラ。こっちはアネモネ。見ての通り女神よ」
「女神?ほう」
じろじろとツクラが私を見てくる。
大きな黄色い目で、観察されるのはなんかイヤだ。
「あんまり見ないでよ!」
「いや、そこまで神っぽくないなと」
「そう、そうよね」
私はどうせ、無名の下位神族だ。
八神でもないので、地上界では知名度がないのは仕方ない。
だけど、神官っぽいこのサハギンなら、あるいは……と思ったけど甘かった。
「ところで、この辺りに我らの仲間がオーク共を追いかけていたのだが。
お前は、見かけないか?」
「ああ、あなたの手下ね」
「ギギッ、ギギッ」
近くにいたサハギンが、ツクラという青い鱗のサハギンに声をかける。
何を言っているかはっきりわからないが、ニュアンスは理解できた。
それと同時に、ツクラの顔が険しく変わる。
「お前がやったのか、偽女神っ!」
「な、何よ。私は本物よ。下位神即だけど」
「うるさい、お前だけは絶対に許せぬ」
そのまま、ツクラは杖を前に突き出した。
それと同時に、サハギンが規則正しく飛び出してきた。
「偽女神を切り刻めっ!」
ツクラの激しい怒号とともに、サハギンは一斉に向かってきていた。




