001
(???‘S EYES)
そこは、闇の中にある一筋の光が差し込む部屋。
神秘的な、独特なその部屋に霧が立ちこめていた。
中央にいたのは、一人の女。
長い金髪をなびかせながら、赤いノースリーブシャツを着ていた女。
しかし目には包帯が巻かれていた女は、何やら祈りを捧げていた。
(どうして、何度も彼が出てくるの)
祈りながらも、女は焦っていた。
それと同時に、悲しそうな顔へと変わる。
「何か見えたのか?スクルドよ」
闇の中から声が聞こえる。男の渋い声だ。
しかし、声の主は見えない。
「未来が見えました」
「どんな未来だ?」
「一人の男が見えます」
「一人の男?」
「はい、見慣れない格好をした若い男です」
「種族は、亜族か?それとも人族か?」
闇の声が、私に何度も問いただす。
人族は、人間とも言う。
亜族は、人間によく似た二足歩行で行動する種族の総称。
これら人族、亜族は地上界という世界に暮らしている。
では、ここはどこかというと、天界という世界の名前だ。
地上界を管理する神達の住む世界。
こう見えても、私スクルドは女神だ。未来の運命を見る『未来視』を持った女神。
「人族で間違いないのですが」
「なんだ?」
「なにか不思議な感じがします。
まるでそれは、神のような、悪魔のような、不思議な雰囲気の」
「不思議な雰囲気?」
「ええ、普通の人族ではありません。
この力は一体……化け物」
私が見えた視界の中には、影の中にいる男が火の中を歩いていた。
周囲の風景は、いくつもの無数な何かを従えていた。
「どうした?」
「おそらくは、彼が大量に虐殺をしている。
地上界でしょうけど、場所は……ここは」
その場には見覚えがあった。
そこは、大きな川が見えていた。
川のそばには、いくつもの死体が転がっていた。
その瞬間を見て、私は気持ち悪くなった。
「ううっ」思わず吐き気がした彼女は、その場にしゃがみ込む。
そのまま、目につけた包帯を強引に引き離した。
同時に見えた私の顔は、怯えていた。
「スクルド、何を見た?」
「これは、まさか亜族の……おびただしい数の死体」
それは私の不安が弱々しく聞こえていた。