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愛の共鳴  作者: MV E.Satow maru
第1楽章 2016年
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2016年8月20日土曜日 平愛美

 二泊三日の合宿が終わっての帰りのバス。太陽は燦々と輝いていて外は暑そうだ。窓から外を見ていると道路は混んでいたけど快調に走っていたので予定通り18時前には学校に着いて解散になるだろう。


 東関東大会に備えての練習もうまくいった。先輩達もこれなら辛うじてかもしれないけど東関東大会を突破して全国に行けるかもという実感は持てた。


 なんて真面目な事を愛美まなみは考えていたのに隣では祈里いのりが無邪気にお菓子を食べていた。こいつ、食べてもクラリネットが吸い取ってくれるらしく一向に太らない。それでいて背が高くてスタイルもいいし、天はいい子にはいくらでも分け与える。不公平だ。


「愛美、食べる?」

ポッキーの袋を差し出してきた祈里。


「ありがと。でも私は今トレードできるお菓子がないよ、祈里」

「貸しにしといてあげる。美味しいよ」

「それって利子、取るでしょ?」

「それは変動制ですので気分によるかなあ」


バカな会話をしながらも通路側に座る彼女のポッキーを3本ほど分けてもらった。


「おー。強欲。返済は計画的にって言われなかった?返済計画考えときなよ」

「いいでしょうが。ポッキーなんだし」


 祈里は2年生のエースだ。クラリネット・ファーストにして40人もいる2年生部員のリーダーとして3年生と渡り合い勉強も出来る天才。しかもきれいな子だった。なんの因果か私と仲良くしてくれて一緒に遊びに行ったりもする仲だった。彼女も私も音大で楽器演奏を学び音楽家の道を目指していたからそういう共通項の存在が結びつけてくれたのかもしれない。


「愛美、全国行こうね」

「ん?急にどうしたの、祈里?」

「なんとなく言わなきゃって思ったから。約束しよ」

「いいよ。みんなで行こうね、全国」


 その時だった。バスが急ブレーキを掛けて私達の体が揺れた。世界が上下ひっくり返って激しく揺さぶられて、と思っていた瞬間に記憶が途切れた。




2016年8月20日土曜日17時24分 毎朝新聞デジタル版「バス横転事故 高校生11名死亡」

 19日午後4時19分ごろ、神奈川県相模原市津久田町の中央道上り線の相模湖インターチェンジを付近で乗用車3台とトラック2台、観光バス1台の多重事故が起きた。先に乗用車とトラックによる衝突事故があり渋滞中だったところへ観光バスが速度を落とさずに接近、運転手が気付いて急ブレーキを掛けた所、バスが姿勢を崩し高架下へ横転落下したという。乗用車とトラックで5人が負傷した他に観光バスの運転手が重傷。乗客の高校生35人のうち11名が死亡、20名が負傷、病院へ搬送された。県警は、バスを運転していた運転手の怪我の回復を待って取り調べを行う方針。(神野啓介)


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