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喫茶店マスター、城四季みおり。
雨が降るとき現れる喫茶店があった。
出会いはずいぶん前になる。
どしゃ降りの雨の中、いつもの通りにはなかった
看板が目に入った。
「雨がフルトキ喫茶店…」
とても寒くホッカイロが必須だったその季節、
ふと暖かいコーヒーが飲みたいと思ってしまった。
「入ってみようかな…」
カランカラン
ドアが開くとそんな音がした。
とても喫茶店らしい音だ。
素敵な内装、
赤を貴重としたソファーと木の机。
おいしそうなコーヒーの香り。
暖かい室内、何より目に入ったのは
息をするのを忘れるほどの美少女だった。
席につくとその美少女が注文を取りに来てくれた。
「…いらっしゃいませ。何になさいますか?」
声までかわいい。
胸がドキドキと鼓動をうつ。
「…こっコーヒーを…お願いします。」
そう言うのが精一杯だった。
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」
緊張すると人と目を合わせれない自分を恨んだ。
とても見たいのに、エプロンを見るので精一杯だ。
立ち去ったあとふと周りを見る。
本棚が壁一面にあり、
本がたくさんあった。
取りに行くのも恥ずかしく、
ただ座っているしかできずにいた。