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書いてみたかったSide看護師さん

-----------

医療関係に明るくありません。あくまで創作ということでさらっとお読み流しください。m(__)m

<Side 元看護士>


火葬場の煙突からたちのぼる煙を 涙を浮かべながら見つめている一人の女性。

老年にさしかかりながらも、今なお品のよい美しさを保っており、

若い頃はさぞかしもてはやされただろうことをうかがわせる。


この女性の周りにいる葬儀参列者には、愛する夫を失った、愛情深い妻と見えているだろう。

証拠に、この女性を、傍らによりそう息子たちを見て更に涙ぐむ参列者も多い。


果たしてその実態は・・・


「かーさん。落ち着いて。今まだ途中。いろいろ途中。世間様の目もあるからね!?

 せめて式が終わるまではお願いですからもうちょっと建前を前面に押し出しプリーズ。」

「はぁ!?!?これがガマンしていられると思う!?

 またしてもあの男に先を越されてしまったわ!

 全くもって忌々しいっっ!!あああああ!!!腹が立つったら!!!!」

「・・・・・とーさん。かーさんにちゃんと話をつけてから逝ってほしかったよ・・・。」


・・・この今も美しい女性はハンカチを握りしめながら悔しさにむせび泣いていた。。。



***********


私が初めて彼女と出会ったのは勤め先の病院。


同い年のくそ生意気な医師と組まされ、やさぐれていたときに出会った。

自分で言うのもなんだけど、私はそれなりに見れた容姿だったこともあって、

男性に声をかけられることがとても多かった。


そうなると当然、同性からのやっかみは数多く受ける羽目になる。

おまけにこのくそ生意気な医者も、大変な人気だったからやっかみ倍増よ!

ほんっとにいい迷惑だった。

ま、相手にするのも面倒だったから、

性別問わずその都度有無を言わせずしばき倒して対処していたけどね~。

(注:女性には暴力はふるってませんよ!)



話がそれた。

彼女は女性によくありがちな、女どうしの嫉妬とかそういうものに無縁で、

いつも飄々としていた。

基本的に嘘はつかないし、人を利用しようという気もさらさらない。

少なくとも私にとっては信用できる人。


それに負の感情なしに初めて言われたわ。面と向かって

「美人さんって見てるだけで幸せ~♪萌えって大事だわ~~♪♪」って。

も、萌え!?(汗) と思ったけど、本気で嬉しそうな顔を前に何も言えなかったわね・・・。

まぁ、その後、

「あの病院のスタッフさん、やたら顔面偏差値高いよね!?

 顔か!顔が採用基準になってんのか!!世の中すべては顔か!!!

 否定できねぇよちきしょーめ。」

って真顔で言うもんだから、そりゃもう笑った笑った。


それ以外にもやたら堂々と、自分はオタクだとか腐女子だとか。

なんでもない事のように言っていた。。。

でも、あぁも直球でどストレートに言われると、「お、おう」ってなるものなのよね。

普通に受け入れちゃった。


でもまぁ個人の性癖はともかく、

根はマジメ。一緒にいて話をしていると、とても楽しかったし、

なんていうか、とても心地よい空気だった。


くそ生(以下略)のファンみたいな女性に絡まれていたこともあったけど、

その子もいつのまにか彼女と仲良くなっていたくらい。


そういえば、その子が絡んできたとき、

あの気難しいと評判の先生を“素敵な先生”と称して周りは唖然としてたっけ。

それを聞いてたくそ生(以下略)の反応も相まって、ほんっとに面白かったわ~♪

でも後で聞いたんだけど、どうも“素敵な先生”は彼女の曽祖父さんに良く似てらしたみたいね。


ちなみに、あのくそ生(以下略)も仕事に関してはとても真面目で誠実。

彼女の診察時もそれは変わりなかった。

ただ、患者が若い女性の場合、かなりの確率で途中で目の色が変わってくることが多くて、

あまり時間をかけずに的確な問診、診察をしているのだけど。

彼女の場合、本人はいたって真面目にピントのずれたことばかりを言っているし、

時間をかけているのに、どうにも的を得ない回答ばかりで脱力してたわ。

あとで冷静に見てみれば、コント以外の何物でもなかったわね~♪

録画しておくんだったわ。


私は彼女がすっかり気に入ってしまい、通院で顔を合わせる度に、

彼女が大好きなお菓子で釣りつつ、距離を縮め、

プライベートでも仲良く、一緒に食事もしたりするようになっていた。

あのくそ生(以下略)が通院を指示し、担当になったことは褒めてやっていいわ。うん。

・・・でも彼女にあげたお菓子、没収したことがあったわよね。

忘れてないわよ今に見てろ絶対仕返ししてやる。


彼女と出会ってから、くそ生(以下略)も少しずつ落ち着き始めたっけか。

あの野郎、外面は抜群にいいし、何より容姿とステイタスに騙される女も多数。

しかもうまいこと立ち回りながら女性を喰いちらかしてたわね。

まあ、後腐れなさそうな人を選んでいたようではあるけど。


そんな自分がまったく相手にもされてない(というかそもそも男としても見られていない)、

普通に話ができる異性ってことで興味を持ったのは想像に難くない。

でも!あのくそ生(以下略すらめんどいわ)が!!

おさんどんをするようになっていたなんてーーー!!!

ブッフォww腹痛www。知った時はスタッフ全員で涙が出るくらい大爆笑したわ。

まるで雛に餌付けするみたいに甲斐甲斐しく面倒を見ているんだもの!


知らない外野はいろいろ詮索していたみたいだけど、

良く知るものからみたら完全にオカン。

インターネットでクッ○パッドを真剣な表情で見ていたのを見た時は腹抱えて笑ったわ。

それと同時に女遊びも少なくなっていたし、良い傾向だったんじゃないかしら。

そんなあの野郎(←もうこれでいい)を、今まで敬遠していた女性陣も微笑ましく思い、見守り始めた。


まー、あの野郎自身は公の場で醜態をさらしていると思っていたようだし、

にも関わらず、割と周りがだんだん好意的になっていたものだから、

その変化を不思議がっていたようね。

え。もちろん教えてやってないわよ。面白いから。

それを彼女に言ったらしいんだけど、

“自分のおかげだから(彼女の言う)素敵な先生の食べ物の好みを教えろ”と言われて、

思わず言ってしまったらしい。

その翌日に当の先生に謝り倒していたけど、あの先生でさえ堪えきれずに笑っていらっしゃった。



そんな時間が続くと思っていたけど。

彼女は突然いなくなった。

あの時、そして今思うと、彼女のあの言動、性格は執着心がない故だったんだと思う。

自分自身の「生」にすら頓着がなかったのね、きっと。

当時はそこまで察することはできなかったけれど、

なんとなく、突然どこかに行ってしまいそうな気がしていたのは事実。


不慮の事故とはいえ、私には何もできなかった。

悔いだけが残り、ふさぎ込む日々が続いた。

だいたい猫って抱っこしようとすると逃げるモノだもの。

あの野郎に早く飽きて、こっちにきてくれるのを待っていたけど・・・。

待っている間に本当にいなくなってしまうなんて。


彼女がいなくなってから。

あの野郎は、周りが心配するくらい、何も(・・)変わらなかった。

ある意味、彼女と出会う前に戻ったようにも見えた。

あくまでにこやかに、何事もなかったかのように仕事をしている。

・・・完全に壊れてたわよね。

これ以上壊れる部分も無いくらい壊れて、逆にまともに見えていただけだったのよ。

お互い、彼女の事は一切口にしなかった。

話したら。

今度こそ、本当に彼女がいないと認めてしまう事になると思ったから。





それでも、数年がすぎ、少しずつ彼女の話題がでるようになった。


「今頃はエジプトとか行ってるんじゃないか?」

「・・・は?エジプトぉ?」

「美術館の無料見をしたいって言ってたからな。もうヨーロッパ方面は行きつくしているだろうし。」

「・・・・・・・・・・・・・・。へぇ。それ、いつ話したの?」


途端にシマッタ、という顔をしたあの野郎。

殺意100%のとびきりの笑顔で問い詰めると顔をひきつらせながらも白状した。


「その・・・な。彼女の散骨の時に、夢枕にたったというかなんというか」

「あ゜ぁ゜!? 私、初耳なんだけど!?!?

 アンタ、なにあの子とピロートークかましてんのよ!!

 てかなんでアンタのところに行くのよ!?!?!?」


手加減無用。胸倉をつかみ上げ、思いっきりガンガン揺すりながら問い詰める。


「お、落ち着けっ!

 散骨することについてっ・・・迷惑をかけているからっ・・・詫びにいけとっ・・・

 身内に・・放り出されたようでっ・・・

 他意はないはずだっ・・・・・苦しいっっ!」

「他には!?他にはっっ!?!?今白状したら九分九厘殺し程度で止めてあげるわっっ」

「それほぼ死んでる!死んでるからな!?蘇生できないレベルだからなっ!?!?」

「てか、なんで私のところには来ないわけ!?!?」

「説教されてると言ってたから、来たくてもこれなかったんじゃないかっ?

 俺の所に来たときも、慌てて帰って行ったぞっっ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう。」


ちょっと落ち着き、話を聞いた。


「く、、、黒歴史!!・・・ぷぷぷ」

「もう彼女しかありえないだろう。」

「確かにね~。でもどんなデータが入ってたのかしら。見てみたかったかも♪」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見なくて正解だと思うぞ。」


目をそらし、どこか遠いところをみつめるあの野郎。

・・・うん。見たな。確実に見たな。

見て衝撃受けて立ち直れなかったパターンだな。

ショック受けるくらいなら見なけりゃいいものを。

こーいうのって男の方が免疫ないのかしらねー。

・・・ま、そっとしておいてやるか。


私とはこういった感じで普通に会話をしていたけれど、私だけだったらしい。

・・・というか・・・あの野郎自身、無意識だと思うけど、

仕事は別として、彼女を知る人としか、話すらもしていなかったんじゃないかしら。


そんなこんなで、私達は結婚することになった。

私達はある意味似た者同士。

あの野郎といえど、実家の都合で意に沿わない結婚をしなくてはいけないことに

苦悩していたのは痛いほど理解できた。

私も同じ立場だったら、と考えるとね。

傷の舐め合い上等よ。なんとでも言うがいいわ。



***********


・・・と、ここまで譲歩して面倒をみてやったというのに。

あの男は!!今もまた抜け駆けして先に逝きやがった!!!




「でもさ。いまわの際に

 “アンタ一度ならず二度までも私を出し抜こうと思ってんじゃないでしょうね!?”って

 脅しつけてたのには正直ドン引いたわー・・・」

「そーそー。とーさん、一瞬意識戻ったばかりか軽く目そらしてたぞ・・・」

「しょうがないじゃない。本当に私が先に彼女と会うつもりだったんだもの!」

「かーさんにとって、結局とーさんってどういう人だったのさ?」

「うーん。そうねぇ。手のかかる弟って感じね。」



「まぁ、もう一人の(・・・・・)かーさんと楽しくやってりゃそれでいいんじゃね?」



そう。

あなたには伝えていませんでしたけど。

息子達は彼女の息子達でもあるの。


私は。

貴女が得られないのなら。

せめて、貴女の子供が欲しいと思った。

卵子の凍結保存。

貴女の遺体に、奇跡的に、わずかに残っていた卵巣から卵子を取り出して、保存した。

その卵子を使って人工授精し、私の胎内に着床させて育み、生んで育てたの。

痛い思いをしただろうに、さらに体を切り刻むようなことをして、本当にごめんなさい。

でもね。どうしても、“貴女”と“貴女が生きた証”がほしかったのよ。

息子達は私と貴女のかわいい子供たちよ?



そしてあなた。

生前の彼女の時間はあなたが殆ど占有していたんだから。

これくらいは許されるでしょう?

どちらにしてもあなたの子供たちであることには変わりはないし。

それに、息子達にはすべて説明してあるから安心して?

二人共、“かーさんが2人も居て、お得じゃん”の一言で済ますあたり、

サスガに彼女の遺伝子を引き継いでいると思ったわ。



きっと、あともう少しよ?

せいぜい今のうちに彼女を独占していなさいな。




お読みくださり、ありがとうございました。

・・・多分別視点であと1話だけ続きます。



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