第二話 Company Game No.2
「光代さんあんな大げさなこと言ってたけど大丈夫かなあ」
光代さんはTGゲームスとの話し合いの場で啖呵を切ってしまったのだ。
TGゲームスの副社長は話し合いのあと自分の会社に帰ってしまった。
かなり忙しいとのことで今の状況なら仕方ないことかもしれない。
その後、俺と光代さんと桜さんで具体的な話し合いが行われることになっている。
いまはその会議の前の小休止といったところだ
「さて始めますか」
そう言って光代さんは話を切り出した
「今回、TGゲームスでの件でまずやることを決めましょう」
「やはり情報収集ですか?」
と俺がきくと
「まあそういうことになるわね」
「でもどうするのですか?三友にはいくらかスパイを送り込んでおりますが連絡が取れなくなるか深い情報が得られないのです」
スパイが音信不通とかかなりやばくないですかそれ?
「三友は確かに無理だけど、他のはどうなんです?取引先のハード製造会社とか」
「あーなるほどね」
「それじゃあそのように手配をしておきます」
桜さんはそのように言うと、おもむろに携帯端末を取り出し色々操作をしてすぐにポケットに仕舞ってしまった。
「さて次はプロジェクト実行メンバー、これは私の方で決めさせていただいたわ。休憩のうちに呼んでたからもうそろそろ来ることだと思うけど」
すると応接室のドアが開いた。
「失礼しまーす」
「失礼する」
「失礼します」
そこには里見、翔、秋の3人の姿があった。
「あらいらっしゃい、みんなこっち来て座って」
はい、というとソファーに四人が座る
「で活動の基本方針だけど基本的に君達四人に任せるわ、何かあったらすぐ言ってちょうだい、すぐに助け舟を出すから」
「やったー!本格的に仕事が来たぞー!これまではちまちまコード打ってただけだから感無量だね!」
「やれやれ、めんどくさそうなことになりそうですね」
「私は何をすればいいでしょう?」
相変わらず秋の野郎は光代さんの前では猫かぶってやがるんだな
「秋は良く言えば秘書、悪く言えば雑用をしてもらうわ」
げっ、こいつ秘書かよ先が思いやられる。
「お屋敷の仕事はどうされるんです?」
「代役を立てるから心配ないわよ」
秋はしばらく考え込んだあと
「承知しました」
と承諾した。
「ところで、大体の話は聞いたが具体的な話は聞いていないんだ、説明していただけるかな?」
翔が疑問を投げかける。
そこで桜さんが説明をし、たまに俺と光代さんが補足を加える形で状況説明を行った。
「なるほど、たしかに不自然ですな」
「何よそのハードメーカー、すぐいでもハッキングして潰してやろうか?」
里見が怒りに満ちていてすぐにでも端末を立ち上げそうだったが、それを止める
「いやまて、早々に決め付けるのはいかん、何も情報がないわだし」
「えーでもー」
「少し待て、今は敵の姿をとらえることが目的なんだから」
「はーい」
敵を知り己を知れば百戦危うからずと、誰かが言ってたしな
「とりあえず今は報告をまとう、その間は俺が何とか作戦を考えておくから」
「それがいいわね」
と光代さんも言ってくれた。
「さてこんなもんですかね、今日の会議は終わり」
と光代さんが宣言し、各自部屋を出たのであった。
「作戦を考えるとはいったものの、実際どうすればよいのやら・・・」
あんなことを言わなきゃよかったと後悔している、黙っていれば光世さんが何とかしてくれていたかなとも思う。頼りっきりというのはまずいのだけれども・・・
「うーむ・・・」
かれこれ3時間ほど机に向かってみたが何も思いつかない、自分の経験則では30分考えて何も思いつかなかったらその後思いつく可能性は10%ほどだと思ってる。
「外に出てリフレッシュするか」
そう言って俺は部屋を出る。
花びらは半数が散り紅葉もそろそろ見頃といったところだ。
花は常に咲いているものなので散り頃が一番きれいで、ちょうど紅葉も重なることから華界では花見の見頃らしい。
「お?さんぽかい?」
いきなり声をかけられてびっくりする、当たりを見回すが誰もいない。
「ここよ、ここ」
上から声がしたので見上げてみると里見がベランダにでていた
「ああ里見か、なんでベランダなんかに?」
「うーん、気分転換かな?」
たしかにこの気温と陽気だと外に出たくなるのもわかる。
現に、俺もこうやって外を歩いてるしな。
「やっぱり、この季節は綺麗なんだけど騒がしすぎよね」
「俺も初めてこの光景を見るけどちょっと騒がしすぎとは思うな」
素直な感想である。花見は花見で、紅葉は紅葉で楽しみたい。
「作戦はどう?やっぱり行き詰まってる?」
「初めてなんでさっぱりだよ、なんかアドバイスない?」
「うーん、私もとよくんじゃないからなー」
うーんと少し考える様子を見せる里見
「とりあえずいつもゲームやってる時みたいにやればいいんじゃない?」
え?そんなんでいいのか?
「いやいやそんなんじゃダメでしょさすがに」
「えーそうかなー、私のゲームをそんなに簡単にクリアしちゃうんだから大丈夫だと思うけど、しかもみっちゃんから太鼓判押されてるんでしょ?」
うーんそうなんだけどなあ、なんかスッキリしないというか・・・
「豊くんの好きな様にやればいいと思うよ!」
そうか、なんか吹っ切れたような気がする。
俺は自分の部屋に戻って作戦を練ることにした。
実は詳細な話はまだ決まってなかったりしてます。