第一話 Impression No.6
10時半になったので一番最初に入った応接室に向かう。
廊下の窓からは相変わらず満開の花が見える、何でこんな花が満開なのか、枯れはしないのだろうか疑問になってくる。何かしら理由があるのだろうか。
そう思っていると既に応接室の前に来ていた、応接室のドアをノックする。
「どうぞー」
「失礼します」
既に光代さんはソファーに座っていた。
「長くなるのでどうぞ座ってちょうだい」
ソファーに座ると意外なほどに沈みこんでビックリする。
「秋ちゃんいる?」
「はい、ここに」
いつの間に秋はこの部屋に入ったんだ?俺が来たときは居なかったぞ。
「紅茶何でもいいから3人分頂戴、紅茶以外はいいから」
「承知しました」
そう言うと秋は部屋を出ていく
「もう一人誰か来るんですか」
「華界の代表として桜さんが来ることになってるわ。少し遅れるそうよ」
あの堅苦しい人か、あの人少し苦手なんだよね
「さて、君をここに呼んだのはこの世界のこととなぜ私たちがここにいるのか、君はなぜここにいるのか説明するためよ。あなたの方も気になっていたでしょう?」
そう言うと神妙な面持ちになり話を始めた。
「私たち神道の神々いう一族ができたのは、トヨくんが生まれた世界の年でいうと西暦700年代だったわ。その時の一族は天国にいた、最初は平和に暮らしていたわ」
前いた世界では2012年だったので、1300年ほど続いてるのか。
「でも天国だからと言って争い事がない訳ではなかったのよ、元にいた世界でも宗教戦争と言うものがあるでしょう?」
「俗にいうジハードと呼ばれるものですかね」
「そうね、その考えで合ってるわ」
まさか天国でもジハードがあるのか。
「様々な宗教ができた結果、天国では争い事が絶えなくなったの。しかもそれぞれ力の強い神様ばかり。天国は人口は減り地面は荒れ果て到底天国とは言えない世界になってしまったわ」
光良さんは悲しそうな顔をしている。
「と言うことはこの世界は天国じゃないんですか?」
「そう言うことになるわね」
俺は天国に来たのかと思っていたが違ったようである。
「私たち神道の神々も中立を保っていたものの、多くの神が亡くなったわ、そして今から約100年前この世界に一族ごと引っ越ししたのよ。その引っ越しした先がここ、つまり華界だったと言うわけ。わたしたちはその事を失われた楽園、失楽園と呼んでるわ」
随分すごい歴史なんだな。
「ざっと説明したけど、大体の歴史だから興味があるなら自分で調べるといいわ、別館の図書館にいけばその辺の資料は一通り分かるから」
するとドアからノックする音が聞こえる。
「どうぞー」
「失礼します。紅茶のご用意ができました」
「有り難う秋ちゃん」
秋はテーブルの上にカップを置いて一礼し部屋を出た。
「この話には続きがあって、華界移住には条件があったのよ。その条件は華界に魔法の力により利益を与えることと、知識や記憶によって利益を与えること」
ただ単に移住が許された訳ではなかったのか。
「こっちに移ってきてからの仕事はそれに関連することばかりよ。まあ毎日いつ攻撃されるか分からないという状況よりはいいと思うけど」
失楽園にいた昔そんな状況だったのか、神経が削られそうだ。
「それに関連することだけど、ここにいる神は何かしら能力を持ってるのはもう知ってるわよね?」
「はい里見ちゃんからも聞きました」
「自分は何の才能が見込まれて入ったと思う?」
ちょっとシミュレーションゲーム等が得意なだけでいまだに見当がつかない。
「ちょっとわかりませんね、シミュレーションゲームが得意みたいですけど」
「それじゃあ、それがシミュレーションじゃなくて現実のものだったらどうする?」
「え?」
いってる意味がよくわからない。
「経営学には興味ある?」
「ええ、多少は・・・えっ!まさか!」
「そのまさかよ、君は経営の才能がある。しかも並みじゃない才能が」
確かに経営学に興味があったが才能が有るなんて微塵も思っていなかった。と言うよりやってみないと分からないと言うのが正しいだろうか。
「手始めに経営学の入門書みたいなものを図書館でかりるといいわ。もといた世界のものから華界のもの、異世界のものまであるはずよ」
「そんな唐突に言われてもどうしたらいいか分からないんですが」
「まあ、騙されたと思ってやってみなさい。すぐに楽しくなるはずよ」
「は、はあ・・・」
実感がないのでその様な返事の仕方になるのは仕方ない。
喉が乾いたので紅茶を飲むと、かなり美味しかったので少し驚く
「この紅茶おいしいですね」
「秋は紅茶いれるのがこの屋敷の中で一番うまいのよ」
ほー、あの人は以外となぞに包まれてるのかもしれない。
「で、これから華界でやってもらうことだけど、経営に関する勉強したあと行く行くは大きな会社のトップになってもらって華界の経済の活性化に一躍かってもらうつもりよ。大丈夫、あなたならできるわ」
「会社のトップに・・・って、それって社長じゃないですか!できないですよそんなの!」
そんなの無理に決まっている。
「それができないようならここに呼んだりしてないわ、自信をもって行動しなさい。そうしないとできることもできなくなるわ」
「そう言われましてもねぇ・・・」
何か大変なことになってきた。いきなり異世界に飛ばされて社長をやれなんて唐突にも程がある。
しかし、唐突ではあるものの興味はない訳でもないし期待されてるし、もうこうなったら徹底的にやろう心に決める。
「華界からこの屋敷に常駐してる華界役員もいるわ、昔は監視の意味が強かったけど今は連絡要員だわね。くわしい華界の経政や治体制についてはそちらから聞いた方が良いでしょう」
応接室のドアが叩かれる
「どうぞー」
「失礼します。遅れてしまい申し訳ありません」
そう言いながら桜が入ってくる
「おはようございます」
「おはようございます。何処まで話は進みましたか?」
「丁度とよくんの能力について説明し終わったところよ」
正直あまりに急な話なのでついていけていないのだが。
「それではこちらの世界、華界について説明いたしましょう」
そう言うと淡々と話始める
「華界の歴史の大体は豊樹君のいた世界と同じような世界です。違うのは花が咲いていることと、技術レベルが高いことぐらいですかね。今いる場所も日本という場所まあ詳しくは文化圏ですか」
と言うことはアメリカとかもあるのか?
「文化圏としてアメリカも存在します。基本的にこの世界には国という概念は無くなりました。その代わり文化圏と言う物があります。3回の世界対戦の末もう二度と戦争が起こらないようにと、全ての国はまとまり共通の政府を作ったのです」
それはそれで面倒が起きそうだけど大丈夫なのか?
「ただし文化圏ごとに条例の制定もできるので、ある程度は自由にやっています。通貨も共通通貨の他に地域通貨を採用しているところも多くなっています。例えば、ここ日本では共通通貨の他に円も使われているのです。共通通貨には国独自の呼び方があり、ここでは40輪などと数えられます。アメリカでは40フラワーと数えられるそうです」
なんだかいろいろ話が出てきたが通貨が二種類あって円の他に世界共通の通貨があると言うことか。
「さて、その経済ですが実は世界的な不況になっているのです。華界を代表する大企業が2年前に倒産しグループは解散しています。その影響で経済は大混乱、いまだにそれの尾を引いているのです。貴方に建て直す力があれば是非力になってほしい」
そう言うことか、それで経営の才能があると見られた俺は・・・
「もとの世界には帰られないのですか?」
「あー、それ残念だけど無理なのよ」
光代さんが続ける。
「元々、あなたがここに来た理由は確かに才能をかわれたこともあるけど、それ以外に大事な要素があるわ。あなた、もとの世界では命を落としてるのよ」
「え?」
思わず声が出た。命を落としてるって?
「電車が脱線して即死だったわ・・・」
なんと言うことだ、もう俺は死んでいたのか・・・
「神道の世界では、まあこれは仏教になるんだけど仏と神の区別って曖昧なのよ。だから亡くなったら神様になった何て話は珍しくないのよ」
もうこうなったらここで生きていくしかないのだが踏ん切りがつかない、もう少し考える時間が必要だ。
「そう言えば仏教一族もこの世界ににきているわ、本山は海外になるけど、神道と仏教は比較的繋がりが強く、私たちがここに来たときに一緒に来たのよ」
「私は担当ではありませんが、専属の派遣員もいて神道の皆様と同じように華界のために活動しているようです」
いろんなことを言われて頭が混乱している。
「とりあえず、考えをまとめる時間をください」
「そうね、ちょっと負担が大きかったかもしれないわね。でもとりあえず経営学の参考書は読んでみるといいわ、誰かに図書館への案内頼める?二人とも忙しいのよ」
里美辺りに頼めば案内してくれそうだ
「大丈夫だと思います」
「分かったわ、取り敢えず私たちの話は終わりよ、なにか質問ある?」
「特にないです」
すると2人が立ち上がったので俺も立ち上がる。
「期待しております。頑張ってください、それでは失礼します」
そう言うと桜さんは部屋を出ていく。
「私たちも部屋に戻りましょう」
そう言うと2人は応接室をあとにした。
さあ、何を書くかもうお分かりですね。
ゆるい経営小説ですはい。
人気出なさそうだなーおい。
でも俺が書きたいから全てOK。