第一話 Impression No.5
「プルルル」
寝ていると部屋の電話が鳴った。いわいるモーニングコールというやつだ。
だるい体を起こし電話に出る。
「はい、もしもし」
「もしもし、寝坊助さんのお部屋ですか?」
「はぃ?」
寝起きの頭で変んなことを言われたので混乱してしまう。
「どちら様で?」
「ラブリーメイドの秋ちゃんですよ。せっかく時間をさいておこしてやったと言うのになんですかその態度は」
「あー、お前か」
そう言えば変な世界に来ていたことを忘れていた。
「朝8時までには起きててほしいですね、目覚ましつきの時計もあったはずです」
初めてここで寝たからわからなかったんだよ、察しろよ。
「朝食の準備ができていますので食堂にいらしてください。ああちゃんと着替えてきてくださいね、決して全裸でこないようにしてください」
「行かねーよ、おれは露出狂か」
こうしてる間に眠気が吹っ飛んでいた。
「食堂の場所は分かりますよね、昨日パーティーやったところです」
「ああ把握してる」
「それではお待ちしています」
俺は朝の支度をして部屋を出た。
食堂は昨日のお祭り騒ぎとは無縁のような雰囲気だった。例えるならば朝のホテルのレストランのような感じだ。
秋は入り口に立ち俺を待っていたようだ。
「お遅いお着きですね」
「朝の支度をしてたんだ仕方ないだろ」
「何をいっても言い訳ですね」
このメイドはどうしたらいいものか
「で朝食はどうなってるんだ」
ついでですので昼食と夕食の説明もしますと付け加えて秋は説明を始める。
「朝食は基本バイキング、使用人もここで朝食をとります。食堂は朝8時から10時迄空いております。お好みの時間にお越しください」
ずいぶん珍しいシステムだ使用人も一緒に食事だなんてあまりないのではないだろうか。
「昼食はバイキングではありませんが皆一緒に食事と言うわけではなく12時から14時迄の間に食堂に来て各自昼食をとっていだだきます。昼は朝とは違い使用人は利用しません」
昼食もホテル式なのか。この屋敷のシステムは変わってることが多いのかもしれない。
「夕食は定時で行います時間は20時です、夕食も使用人は参加しません。時間などが変更になる場合は事前に連絡を行います、また夕食に出られなかった場合は23時までに食堂にお越しいただければ夕食をご用意することができます」
うん、良く分かった。たまにはメイドらしいことも言えるんだな。
「覚えられましたか?あなたの足りない頭では心配ですね、毎日お付き合いしても宜しいですがいかがいたしますか?」
前言撤回、やっぱり暴言吐くよこいつ。
「大丈夫だよ、心配すんな」
「そうですか・・・」
何故か少し残念そうにしている。期待したりアクションじゃなかったのか?
「あと光代様から言付けを承っておりますので申し上げます」
「10時30分に応接室に来るように」
突然光代さんの声が聞こえてビックリして辺りを見回すが居なかった
「私の声ですよ、すっかりだまされましたね」
まさか秋が喋ったのか?だとしたら似すぎって言うレベルじゃなかったぞ?
「い、今のって・・・」
「まあそういうことです。察してください」
察してくださいと言われても・・・
「それでは私は仕事に戻りますんで失礼します」
そう言うと食堂を出ていった。
「何だったんだ今のは・・・」
しかし驚いてばかりもいられない、さっきから朝食の香りに我慢が限界なのだ、俺はバイキングの方に歩いていく。
好みの料理を取り皿にとったあと席を探していると席に座っていた里見から声をかけられる。
「おーい、こっちこっち」
声のしたほうを向くと里見が手をふっている。俺は一緒に朝食を取ろうとそっちの方向に歩き始める。近づくと翔も一緒なことが分かった。
「おはよう」
「おはようさん」
「おはよう」
3人で朝の挨拶をする。
「なに?里見の作ったあの超絶難易度ゲームを簡単にクリアしたって?」
早速昨日の夜の事を里見から聞いたのか昨日のやったゲームの質問をしてきた。
「あんな鬼畜ゲーを良くクリアできたもんだ、俺なんか最弱設定でも四苦八苦してようやく勝てたのに」
「いや、普通にやっただけなんだけどね。そんな大それたことはしてないよ」
そんなに誉められることはしていない。
ふと疑問に思う、あんなにできがいいのなら市販はされているのだろうか?
「そう言えばあのゲームって市販はされてるの?」
「されてるけどあまり聞かないでほしいかな・・・」
里見が暗い表情になる。あまり芳しくなかったのだろう。
あのゲームは難易度設定に難があるのかもしれない。もっと簡単なモードをつけて売り出せばヒットするかもとも思っている。実際もとの世界では同じようなソフトが売れてたわけだし。マーケティングとかプレイ環境とか総合的に見ないと結論は出せないけど。
「なに考えてるの?」
里見が不思議そうにこちらを見る。
「え?ああ、ごめん何でもない」
「さて、頂きますか」
せっかくの朝食がさめてしまう。
朝食を食べながら雑談をしさっきの秋のモノマネを逸脱したモノマネについての話になる。
「そう言えば、あの秋の尋常じゃない声真似はなんなの?」
「あー、あれすごいよね」
と里見は続ける。
「才能の一つなんだろうけどにそれにしてもモノマネを超越してるよね。噂によると小さな空間湾曲の魔法も使ってるらしいわよ、相手の喉に似せるとかで」
「マジで?空間系の魔法ってそんなにホイホイ使えるもんじゃないだろ、あの人はやっぱりすごい」
何だか話についていけないが、秋はスゴいらしいということだけは伝わってきた。
「そんなにすごいことなの?」
「すごいなんてもんじゃないよ、私たちでも全力出しても使えないよ空間系魔法なんて」
「あの人あれでかなりの古株だからな、年ももうすぐ4桁乗るらしいし」
もうすぐ4桁ってすごい年じゃないか?900歳?
「そんなんだからあの人本気出したらどんなことになるか・・・」
「末おそろしいわね・・・」
「こわいね・・・」
あの人は怒らせないほうがいいかもしれない
「まあ身内相手に手荒な事はしないと思うから安心していいとおもうわ」
こうして朝食は進んでいく。
バイキングのわりには美味しい食事だった、向こうのバイキングだと人数不足対策でやっていることが多く外注だったりするのでそれないの味しか出せない。でもここはかなり美味しかった。
「バイキングのわりには美味しいね、真面目に作ってる」
「ここの料理はどれも美味しいのよ、バイキングだろうが関係なくね俺も最初は驚いたよ」
「私は味に関してはなにも言えないわね、バカ舌だし」
バカ舌ってなんだよ・・・
「流石に豆腐にまんま砂糖はないわ」
「えー、プリンみたいで美味しいよ。そうだ今度やってみてよとよくん!」
お断りします。
えー美味しいのにー、と返されたがそれなら普通にプリン食った方がうまい。
「それじゃあそろそろ行きますか。食器はこのままでOK?」
「朝食のみ自分で片付けることになってるわ。自主性も忘れないようにとの光代さんの方針みたい」
「なるほど、それじゃあ返却口に持っていくね」
そう言ってお盆を持ち上げる、里見もお盆を持ち立ち上がる。
「俺はもう少しゆっくりしていく」
翔はそう言うとコーヒーをゆっくりと口に運ぶ。
「了解、返却口はどこ?」
「あそこよ」
里見が指を指した先には移動式の棚がありいくつもお盆が乗っていた
「なるほど設備がないから棚で代用したのか」
二人はそこにお盆をのせると出入口に向かう
「部屋に戻るんでしょ、途中まで一緒にいこう」
そういえば里見の部屋は2部屋分しか離れてないんだった。二人ならんで歩き出す。
「今日中にとよくんが呼ばれた本当の理由が分かると思うよ、てるちゃんから呼ばれてるんでしょ?」
「うん」
「んじゃあ夕食の時にでも詳しい話を聞くわね」
そうこうしてる間に自分の部屋の前に来ていた。
「それじゃあまたあとで」
「うん、あとでね」
そう言うと自分の部屋に入る、10時30分にはまだ時間があるのでテレビでも見て時間を潰そう。
そこ、ロリババアって言うな。
例のごとく、誤字脱字あったらほうこくしてくだしあ。