第一話 Impression No.4
自室に戻ったあと少したつと電話が鳴った
「もしもし、とよくん?里美だけどいま大丈夫?」
パーティーは結構遅くまで続いたので夜は結構更けている、なのでこんな時間に何ようかと内心思う。
「いやー仕事が進まんでさあ、もともとあまりヤル気がなかったし。だから、ちょっと息抜きに話し相手にでもなってもらおうかと」
「おれが寝てるとは考えなかったのか?」
「いやまだそんな時間じゃないよ」
時計を見ると23時を少し回っている、おかしいなと思っていると
「ああそうか、とよくんは今日こっちに来たからわからないか。この星は1日26時間なのよ、慣れるまで戸惑うわよね」
「ああなるほど・・・」
それならばなっとくがいく、用はこっちの23時はもとの世界の感覚で言う21時頃の感覚なのだろう
「今から私の部屋に来ない?とよくんのこともよく知らないから知っておきたいのよ」
なぜ里美の部屋なのか、いきなり見知らぬ男を自分の部屋に呼んでも大丈夫なのか?
「いきなり男の人を部屋に入れて大丈夫なの?」
「だいじょぶだいじょぶ」
いや少しは気にしろよと思ったがスルーすることにする
「そう言うことなら行こう、そっちの部屋はどこ?」
「私の部屋は廊下に出て部屋へ向かって右に2つめの部屋よ」
「分かったすぐいくよ」
そう言って受話器をおき部屋を後にする。
廊下に出て右に2つ目の部屋をノックする。
「どうぞー」
「失礼します」
正直女の子の部屋に入るのが初めてなので少し緊張する
中に入ると本棚には数々の専門書、大きなデスクの上にはモニターとおぼしき物があった、おぼしきものと言ったのはこの世界のテレビが実体がなかったようにそれも空中に浮かんで文字が写し出されているからである。それがデスクの上に3枚並んでいる。
「よっ!」
デスクに座ってた里美に声をかけられる。
「なんと言うかベットがあることを除けばどっかの研究室っぽいね」
「よく言われる」
デスクにある以外は椅子はないのでベッドの上に座るように言われ、素直にベッドに座る事にする。
「なにか飲む?冷蔵庫に色々入ってるよ?」
「んじゃあお茶でお願いします」
里美は部屋のすみにある冷蔵庫から缶に入ったお茶を取り出すとこちらに投げてきた
「おう、ありがとう」
俺は缶に入ったお茶をぷしゅっとあけて口に流し込む。
「ホントはあの女たらしも呼びたかったんだけどねえ、仕事があるって言うし君だけを呼んだわけ」
そういえばそんな話をパーティーのときにしていたと思い出す。
「で、なにようなのさ」
わざわざ自室に呼び出したからには何かしら話したかったのだと思った。
「雑談したかったってのもあるけど、貴方がなにをかわれて入ったのか知りたかったと言うのが一番かな」
どうやら何かの才能をかわれてこちらに来たと言うのは確定らしい。翔に言われてあれから色々考えては見たもののイマイチピンと来るものがなかった。
「翔にも言われたけどそんなもの思い浮かばないんだよね」
「うーん、おかしいわねぇ。遊びとか娯楽でも得意なものはなかった?」
「娯楽か、考えたことなかったな」
そういえば向こうの世界ではビデオゲームを良く遊んでいた、しかも経営シミュレーションやら戦略シミュレーション等といった頭を使う物を。正直人間相手ではあまり遊んだことないので得意かどうかはわからない。それを言うと
「それかもしれない!」
と声をあげ、つづけて
「戦略シミュレーションみたいなものならこのパソコンに入ってるけど、やってみる?」
こっちにもゲームのようなものが有るのかと感心すると同時に興味がわいてきた
「やってみるかな、そのゲームも気になるし」
こうしてこっちの世界に来てから初めてのビデオゲームをやることとなった。
ゲームの内容は一言で言えば文明を築いて勝利を納めるゲーム、もといた世界だとシヴィライゼーションが近いだろうか、あれをもっと複雑にした感じだった、常人からすればかなり難しいゲームと言えるだろう。
俺は無難に中くらいの難易度を選ぶ、マップサイズは時間がないので一番小さいのをを選ぶ。
「えー、その難易度で出来るの?かなり難しいと思うけど」
「取り敢えず小手調べでさ、難しかったら難易度下げればいいし」
「それもそうね、これに関連する能力で買われたのなら尚更」
最初の数分はゲームについての説明もかねてゲーム要素を教わりながらやったが、要素が多いがもといた世界のゲームと同じような感じでできることが分かったので、さくさくと進めるようになるまで時間はかからなかった。
「飲み込み早いね、これならわたしが教えなくても大丈夫そう。でもすごいね、普通の人ならまともにできるようになるまで4週間はかかるよ」
そう言うと本棚から専門誌を出してベッドの上に寝転がり読みはじめた。
更に30分立ったところで大分形勢が傾き勝利は確実という所まで来て声をあげる。
「悪いけどすぐ終わっちゃうよこれ」
「え?」
里美は驚いた顔でこっちを見る
「ホントに?嘘じゃないよね?」
そう言うとこちらに駆け寄ってきてゲーム画面を見る。
「もう敵の陣地を大分奪ったし相手の戦力はほとんど残っていない、もう人間なら降伏するレベルだと思うけど」
「うん、たしかに・・・」
里美は驚きを隠せないようだ
「やっぱこれに関係するなにかの能力をみっちゃんは見込んだんだよ!スゴいよ感動したよ!」
「そうなのかな」
「絶対そうだよ!開発した私でもこの難易度を30分は無理だよ!」
いまとんでもないことを聞いたような気がした。
「まさかこれ作ったのって・・・」
「ああ、私だよ。こっちに来て最初に作ったプログラムだったんだ、調子にのって色々やってたら超難易度になっちゃったんだけどね」
こっちこそ驚きである。こんなゲームを一人で作り上げるなんてただ者じゃない。世の中にはすごい人もいるもんだと思った。
「今度でいいからさ最高難易度やってみない?私でもできないから半分諦めてたんだけどとよくんならできそうだよ!何回もやってゲームのコツつかめばできるよ!」
「いや、それはいいし挑戦したいところなんだけど俺の部屋にはパソコンがないんだ」
「ああそうかー、それならメイドさんに頼み込めばいいよ。よほどのことがない限り断られることはないからさ」
秋に頼むのか、また色々小言を言われそうだ。
「分かった今度聞いてみるよ」
「それがいいね」
俺はこのゲームを作った話が聞きたいと思い聞いてみる。俺だってゲームをやる人間だ、開発秘話を聞きたくないわけがない。
「良くこんなゲーム作れるね、元の世界でもゲーム作ってたの?」
「うーん、同人ゲームなら作ってたね。まだ高校生だったし会社には入ってなかったよ」
高校生でゲームが作れるのか、なんか目の前にいる人が超人に見えてきた、だから神様になったんだろうけど。
「さっき調子にのって色々やったっていってたけど何をやったの?」
ちょっと気になる
「ああ調子に乗ったってのは、向こうでできなかったことがこっちのパソコンだとマシンパワー有りすぎでいとも簡単にやってしまうの。だから調子にのってAIを色々いじってるうちに人間には、まあ私たちは神様だけどそれでも到底勝てないAIが出来てしまったって言う話よ」
「ほう」
そんなについよいのか、最高難易度にちょっと興味がわいてきた
「そもそも言語が全く違うし3進数コンピューターって言う違いもあるし結構大変だったけどね」
「うん、大変でもやってしまう辺りがすごいと思うけどね」
ふと時計を見ると24時を回っていた
「さてもうそろそろいい時間だし部屋に戻るか」
「そうね、今日はいいものが見られた。また遊びにきてね」
「おう、おやすみ」
「おやすみー」
そういって部屋をあとにして自室にもどる。
世の中にはすごい人がいるもんだなと思いながら寝る準備を始める。
こうして激動の花界1日目は終わりを迎える。未だに不安は拭いきれていないがもうこうなったら流れに乗るしかないと覚悟を決めたのであった。
ようやく1日目終了です。
というか忙しくて手がつかなかった。遅れたことをお詫びもうしますん。
例のごとく、誤字脱字あったらほうこくしてくだしあ。