第一話 Impression No.3
「この度は私のためにこのような会を開いて下さってありがとうございます。自分の名前は佐藤豊樹と言います。これからよろしくお願いします」
緊張してありきたりな挨拶しか出来なかったと思いつつステージを降りる。
『それではこれから自由時間とさせていただきます。皆様、自由な時間をお過ごし下さい』
「あのメイド、司会なんかやりやがって」
現在の状況を説明すると屋敷に住んでいる人達全員で自分の歓迎会が行われている。参加人数は100名ほどで、光代さんの話ではこの会場の2/3はふつうの人間らしい。俺は自由時間になったら質問攻めになるのかと思ったが意外にも皆タイミングを見計らって来てくれるのでそんなことはなかった。
「そんな節度のない人なんてこの屋敷に入れないわよ」
とは光代さんの話である。そして挨拶にやってくるのは神様ばかりだった、それを話を聞きに来た神様に聞いたところみんな怖がって神様にあまり話しかけないそうだ、神様相手となるとやはり話すのは相当勇気がいるものなのだろう。そして以外にも外見が若い人ばかりだったがそれ以上に全員外見に似合わない年齢だということが驚いたことだった。中には紀元前から生きているものもいて、しかも外見は25歳ぐらいにしか見えなかった。俺が不老不死なのかと聞くと、
「不老ではあるが、不死ではないよ」
との事だった。神様にも死という概念はあるようである。
「やあ、どうだねこの屋敷は」
翔が話しかけてきた。
「意外とみんなフレンドリーなんだね。神様限定だけど」
「そうさ、神道の方針がそんな感じの方針だからね」
そんなんでいいのか・・・ってもう気にしない事にしよう。
「しかし、神様じゃないみんなも別け隔てなく話しすればいいのにね、こっちの神様で拒む人なんていないだろうに・・・」
やはり、神様とそうじゃない人との間には少なからず壁があるようだ。
「そういえば俺の神名を言ってなかったね。俺の神名は、天財主神という。まあ新しめの神様だから元の世界では神社すらないだろうがね」
それを聞いて思い出した、自分も神様になったのだとしたら神名を貰わないといけないのではないかと思っていたのだ。
「光代さん名付けには時間かけると思うよ、俺の時だって1ヶ月かかったからね。でも適当につけるよりはよっぽどいいと思う」
光代さんが名前をつけるのか、今はじめて知った。
「よっ、そんな奴といると女たらしが移るよっ!」
里見ちゃんがそんなことを行って近づいてくる。
「おまえ放送の方はいいのかよ」
俺は、まさか自分の事を言ってるのではと思い振り返るが、翔が一足先に続ける。
「え?おんなたらし?」
「PAって呼んでくれない?放送機器とイベント用機器は微妙に違うんだから」
話がバラバラでよくわからない。
「話しについていけないんだが」
「こいつ放送機器の管理を任されてるんだよ」
「いやそれは分かった、問題はその前」
女たらしと聞こえたような・・・
「ああ、こいつ極度の女たらしでね」
自分のことじゃないのか。てっきり秋がそう言いふらしてるのかと勘違いした。
「女性が好きで何が悪い!男が女性を愛することは義務であり必然なんだ!」
うわーこんな側面があったのかよ、てっきり普通の人かと思っていた。
「はいはい」
そんな翔を里見ちゃんは軽く受け流す。
「そういえばパーティー終ったらこの3人でなにか話さない?新人3人同士でさ」
里見ちゃんも新人だったのか。
「あー・・・俺は早めに寝るかなー、市場分析が意外と時間かかって徹夜に近いんだよ~」
「そうかーじゃあ終了後に集まることは無理そうだね、私は今日中にモジュール作り終わっちゃおうかな~」
どうやら終了後の集まりは不可能なようだった。
「俺は他の神様のあいさつ回りが終ってないからこれで失敬するわ」
「あーそう、それじゃあまた今度ね」
意外とこの二人は仲良しのようである。
「女好きじゃなければ完璧なんだけどねえ」
翔の女好きがどれほどのものかしらないので詳しくは分からないが、それ以外はかなり優秀そうなだけに同意せずにはいられなかった。
「正式な自己紹介はまだだったよね?」
神名を聞いていなかったのでそうかと思う
「私の名前は原田里見 神名は天照姫神っていうの。よろしくね」
「てる」のほうが呼びやすいかもと思いそれでもいいかと言うと
「そういう風に読んでる人もいるからおっけー」
ということだった
「機械とか好きみたいだけど普段なにやってるの?やっぱり機械いじりとか?」
こちらの機械に興味があったので聞いてみる。
「あっちの世界でも同じようなことをやってたからその流れでやってるね、というかこちらの世界での仕事かな」
「そうなのか、それじゃあ翔も経済学を使って何か仕事してるの?」
彼も独自の能力を生かして何か仕事をやってるのだろうか?
「うんそうね、私は経済学はさっぱりだけど光代さんから仕事もらってやってるみたい」
ここの神様はどうやら超能力的なものを使って何かするわけでは無さそうだ、そのことを聞いてみると。
「それは護身用とか補助ツールとしてしか使ってないね、基本的に神道の神様は争いごとを嫌うから」
神様で超能力的なものを使えるとなるとバトル展開でドンパチのようなことを想像してたのですこし落胆した。
「そうそう、こっちの電子機器は性能が良くて最初はびっくりしたわ、元いた世界のスーパーコンピューターに匹敵する計算能力が家庭用パソコンに入ってるのよ。モニターも素粒子加速器を利用したホログラムで光度も高いし。でも出来なかったことができるようになって今は少し持て余してる感じなのよね。あとこっちのプログラム言語も完全に覚えたわけではないし」
・・・何を言ってるんですか?
「あ、ごめんついていけなかった?」
はい、全くわかりませんでした。
「変な話に付き合わせて悪かったわ」
「もう少しわかりやすく説明して、興味ないわけではないから」
すると、てるの表情が明るい表情に変わった。
「おお!興味があるなんて少し才能あるんじゃない?」
そして腕につけていた時計を見てちょっと長話しすぎたという表情になり。
「おっと!もうこんな時間か。それじゃあ長く放送ブースを開けておく訳にはいかないからそろそろ失礼するねー」
結局自分で放送ブースって言ってるじゃんと言うツッコミはしないようにした。
「おう、頑張れよ!」
しかし、パーティーにもろく参加せず裏方に徹するとは彼女もなかなか世話焼きなのかもしn拶が治まってきた頃妙齢の女性が挨拶をしにやってきた。
「新しい神様ですね」
「あ、はい」
「わたくし、華界統一管理局の桜と申します」
初めてこちらの神様でないらしい人と会話することができて少し嬉しい。
軽く自己紹介を済ませ気になっていたことを聞いてみる。
「すみません、いきなりなんですが華界統一管理局とはなんでしょうか?」
ニュースにもたまに出てきていたが何かわからなかったので質問してみた
「簡単に説明すると、華界を統一する政府機関のようなものです、私は神道の神様の拠点であるここに常駐して連絡を取ることが主な仕事です」
なるほど、華界としても神様の存在はかなり重要視されているらしい。
「これからの働きに期待しています。今の華界の状況は報道されているより深刻で即急に手を打たなければなりません、私達にとって神道の神様は救世主なのです」
「はあ」
「詳しいことはあす天照大御神様から伝えられると思います、その後またお話しましょう」
それでは、といい桜さんは歩いて去っていく。
状況はつかめないが、華界の状況はかなり悪化しているらしいということは理解できた。
『時間になりましたので歓迎パーティーを終了いたします。本日はご参加いただき誠にありがとうございました』
時刻は9時を回っている、俗にいう早寝の人はもうそろそろ寝る時間帯だ、参加者は会場から続々出て行く。
「どうだった?パーティーは」
後ろから光代さんに声をかけられる。
「あ、光代さん」
「とう?これでだいぶ馴染めたんじゃない?」
確かに付き合いやすい人達が多かったのでだいぶなじむことが出来た
「明日詳しいことを話すから10時に応接室に来て。今度は迷わないでね」
「はい」
「それじゃあお休み」
そう言うと光代さんは部屋から出て行く。
俺は自分の部屋に戻ることにした。
さて、もう察しのいい方はこれからどんな事が起こるかだいたいわかってきたのではないでしょうか?しかしこれはコメディなのか?ちょっとジャンルの見なおしが必要ですね。
追記:友人の助言によってジャンルをファンタジーに変更しました。まだ少し疑問がありますが暫定でということで。
例によって、誤字脱字があったら遠慮無く指摘して下さい。