第一話 Impression No.1
気がついたら袴をきて神社の中のような場所に立っていた。やたら広くその辺のヤワな神社ではないと言うことがわかった。
さっきまで電車の座席に座っていたはずなのにおかしい、服装も私服だったはずだ。
「え?」
ついそんな声が漏れる。こういう場合のおきまりの行動としてホッペをつねってみるというのがあるが夢であろうが現実だろうがつねったら痛い、いたくて目が覚めるというのも聞かれるがそもそも痛くても夢から覚めるなんてことなんて無かった。そもそも・・・
「ってなに考えてるんだおれは」
まず夢か現実かわからないこの状況を何とかしないといけない。
「なんなんだここは・・・」
そんなとき正面の大きな引き戸がガラガラと音を立てて開いた。そこには1人の妙齢の女性が立っていた。
「ようこそ、花の咲き乱れる世界へ、神道族一同心から歓迎するわ」
そう女性が言うと俺に手をさしのべてきた
「はいぃ?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「まあ最初はそんな反応よね、ほかの2人もそうだったし・・・まあいいわ」
腰に手を当てた妙齢の女性は続ける
「とにかくこっちへ来なさい、そこに突っ立ててもなにも進まないでしょ?」
「わ、わかりました」
頭が混乱したままだがこのまま女性の言うとおり突っ立っててもどうしようもないので、部屋の入り口へ歩いていく。
部屋の見た目が神社だったために部屋の外は野外かと思ったがそうではなく意外にも洋館であった、部屋の入り口からは下の階へと続く階段があった。
俺はここがどこであるのか、なぜこんな格好をしてるのかわからないので、近くにあった窓から外の様子をうかがう、なにかのヒントになるかもしれないからだ。
そこにはあたり一面花だらけの景色だった。
「ここはいったい・・」
「言ったでしょう『花の咲き乱れる世界』って現地の人は『華界』と呼んでいるわ」
状況はつかめない、ただ自分がとんでもない世界に来たということだけは悟った。
「取りあえず、大広間にいきましょう。話すと長くなるのでそこでゆっくり話すわ。自己紹介もそこでしましょう」
窓を覗いてた顔を上げるとすでに妙齢の女性は階段を降り初めていた。来たこともない屋敷、よりにもよって来たこともない世界で迷うなど想像したくもないので大人しくついて行くことにした。
階段を降りると左右に道が分かれていてさらに下へつづく階段もあったさらに階段の正面には大きな扉があった。
「ここよ、どうぞ入ってちょうだい」
言われたままに部屋に入る。
そこには大広間があった、中央には椅子が鎮座している。入り口から椅子まではレッドカーペットが敷かれており、まるで・・・そう、中世のお城の王の間のような感じか、しかし、神社のような部屋の下に城のような部屋とはなんともアンバランス・・・
「さて・・・」
いつの間にか女性は中央のいすに座っていた。えらい人なのだろうか?女性は続ける。
「まずはわたしの自己紹介からするわ」
俺はこんな椅子に座っているのだからよっぽど偉い人だと思った、公爵か?王様か?しかしそんなチャチなものではなかったのである。
「わたしは天王寺 光代、天照大神ともよばれてるわ」
「・・・へ?」
いまなんと?俺は恐らく唖然とした顔になっているだろう、しかし光代と名乗った女性は続ける。
「神道の神々の長を努めているわ、まあ長と言っても他の神々とあまりかわらないんだけど」
天照大神ってあの?神道と言ったし・・・
「ええええええええぇぇぇぇ!!!!」
俺は心底びっくりした、神という存在がこの世にいるのかと。しかしそれをもこえる衝撃発言が飛び出す。
「あなたも今日から神様よ、誇りに思いなさい」
「・・・」
もはや言葉にならなかった。目の前にいるのがあの天照大神で、しかも自分が神様なったと言われれば誰でも言葉がでなくなること必死である。
混乱している頭を必死に動かして言葉を出す。
「え、えーと。天照大神と仰いましたが何か証明できるものがありますかね?」
にわかには信じがたいので証明するものを求めた。
「うーん、そうねえ」
しばらく考えたあと、
「火をおこすぐらいなら神なら誰でもできると思うわよ?」
そう言うと手を前に出し小さな火の玉を出して見せた。よく観察して見るも、タネや仕掛けらしきものは見つからなかった。
「あなたにだってこの程度ならできるはずよ?」
「いやいや、そんなこと信じられませんよ」
「やってみなければわからないじゃない」
そう言うと俺に火の出し方をレクチャーして来た。
「手を前に出して、そう。そして火が出ているところをイメージするの・・・」
言われたとおりにして手を前に出した。そして火がでているところをイメージ・・・
するとボッと音を立てて火がでた
「ほら、出たじゃない。まあこれ以上となるとまだ無理だろうけどね」
「これが魔法ね、練習すればもっといろんなことができるようになるわよ」
本当に自分は神様になったのだろうか。さっき火の玉がでていたのは確かで、通常起こりえないことが起こっているのだが、ここで「ハイそうですか」とはいかない。脳が受け付けてくれないのだ。
「ああ、これからは神様に様ってつけなくてもいいわよ、名前で呼んでちょうだい」
そんなことを言われてもそれ以前の問題で混乱していた俺はハイとしか答えられなかった。
「そういえばあなたの名前を聞いていなかったわね名前は?」
「佐藤豊樹です」
「とよきね・・・んじゃあ、とよくんって呼ぶようにするわね」
とよくんってそんなフレンドリーな感じでいいのかと思った
「私のことはみっちゃんって呼んでいいわよ?」
・・・フレンドリーな感じでいいらしい。
「混乱しているようだし、部屋を用意してるからそこでゆっくりしてなさい。秋ちゃんが案内するわ。あきー」
秋ちゃん?
「うちのメイドよ、美人で博学で働き者なのよ?」
「美人でも博学でもありません」
「うわぁ!」
いきなり背後から聞こえた声にびっくりした。
「お呼びでしょうか?」
この人が天照大神が言ってた秋ちゃんか、確かに幼さは残っているがかなり美人であった、いやむしろかわいいと言った方がいいだろうか、年齢は16歳ぐらいだろうか・・・
「なにをじっと見ていらっしゃるんですか?」
「え!いや、そのー・・・」
知らぬ間にジロジロ見ていたらしい。
「秋、とよちゃんに部屋を案内してちょうだい」
「承知しました」
こちらへどうぞと、退室を促されて失礼しました。と言って部屋を出ていく。
部屋を出てちょっとした所で秋さんに声をかけられた
「どうしてあの時じっと見てたんですか?」
「あ、えーとあれは・・・」
どんな言い訳をしようかと悩んでいると。
「スケベ」
「は?」
暴言吐いたよ!このメイド暴言吐いたよ!
「いや確かに悪かったけどその言い草はないだろうよ・・・」
「スケベに弁論の余地はありません。どうするんですか?お嫁にいけなくなったら・・・」
いきなりの爆弾発言!
「いやいや、お嫁に行けなくなるわけないだろう!よくかんがえろよ!というか絶対わかって言ってるだろ!」
さすがに初対面といえども口調を荒くしてもいいレベルだと思う。
「あ、つきました」
「無視したよね?今絶対無視したよね!?」
「早く入ってください」
わかったよもう、中で話そう。
俺は中に入りとりあえずベットに座った。
「とりあえず、今日中は屋敷内から出ないでください。おそらくあなたの居た世界とはまったく違う世界なのでついていけないでしょう。」
いきなり普通になりやがった、なんなんだこのメイドは。
「外で変態行為されても困りますし」
おい。
「まあ、外に出ないほうがいいというのは本当です。こちらの世界のことを十分学んでから出たほうがいいでしょう」
「わかった、出ないようにするよ」
そりゃあそうだろう花だらけの世界なんて見たことも聞いたこともない世界にノコノコひとりで出ていくわけには行かないだろう。
「用事がありましたらそちらの電話に内線で呼び出しを行いますのでなるべく早く出てください」
「これが電話?」
そこには受話器しかない電話っぽいものがあった。
「電話以外のなにに見えるんですか?もしかしてスケベに飽きたらずバカだったのですか?」
「おい!」
もうこのメイドは・・・
「まあ、受話器をとってみてください。どんなものかすぐに解ると思いますよ?」
俺が受話器を取ると受話器スタンドの横に数字のホログラムが現れた。
「あーなるほど」
以外とこの世界はハイテクなんだなと思い、受話器をおいた。
「意外と物分りがいいんですね」
「まあね」
前から察しがいいともっぱらの評判だった。前の世界での話だけど。
「着替えはクローゼットの中に有りますので自由にお使いください。洗濯物はクロゼットの中のかごの中においれください。」
中には前の世界で着ていたような服があった、ずっと袴なのは辛いのでさっさと着替えよう。
「夕飯ができたらコールしますのでそれまでお休みください」
ようやく終わったかと一息つくと
「あ」
「うぉっと!」
行ったと思ったら急に戻ってきた。
「夕飯の時に自己紹介お願いしますね」
そう言えば自己紹介してなかったね。そして、名前も知らないのにあの態度って随分な態度だなと思った、しかしなぜか悪い気はしなかった。
「何だったんだ?」
俺はこれからの生活がどうなるものかと心配するのであった。
いやーここまで書くのに時間かかりました。今までの経験上設定をちゃんとしないと途中で破断するってわかってますから。
はてさて登場人物は3人出てきました。まだどんな人物か掴みきれていないと思います特に主人公。異世界に移動し終わったところからのお話なのでさすがにこんな短時間では書ききれないでしょう。いや、単に自分の文章能力がないのかもしれませんが・・・
このおはなしがどんなお話なのかはまだナイショにしておきたいとおもいます。
ああ、誤字脱字等ありましたら遠慮なく突っ込んでください。もちろん校正はしてるんですが見落としてる可能性があるので。