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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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オルゴール

君ちゃんとわたし

作者: 霧野うみ
掲載日:2026/09/04

 わたしが入社式で出会ったのは、姿勢が美しい宮本君子さん(君ちゃん)。文学少女の彼女と、もっと仲よくなりたい、と思ったわたしは……。



 わたしが君(きみ)ちゃんに、もっと仲よくなりたいと思ったのは、初めて入社式で出会ったときだ。宮本(みやもと)君子(きみこ)さんは、硬そうなパイプ椅子(いす)に座っていても背筋が伸びていた。そのあとのわたしに、彼女は心配するような声をかける。その声は凛(りん)としていた。

 わたしはのぼせたように、ポニーテールの彼女を見る。

「はい……大丈夫です」

 彼女は何を思ったのか、数日後には連絡先を交換しようと言い出した。なので、わたしはすっかり舞い上がってしまった。

「あの、宮本さん。なんでそんなに姿勢が美しいんですか?」

 彼女は、そうですか? と読書していた手を止め、そんなこと言われたの初めてです、と答える。

「他人から見られたときに自分がどう思われるか、ですね」

 彼女は、ふ……、と笑い、本で半分顔を隠してしまう。わたしはそれも、かわいいな、と思った。そういえば彼女に、眼鏡(めがね)しないの、と尋ねたことがある。

「わたし? コンタクトなの。家では眼鏡だけど」

 わたしは猛烈にその彼女の姿を想像し、読書をする姿を貪(むさぼ)るように欲してしまった。

「君ちゃん……わたし、あなたとお付き合いしたい。わたし、あなたが眼鏡をかけて本を読む姿をそばで見てみたいの」

 彼女は笑い、彼女の膝に置かれた本はページを進め、硬そうな裏表紙が閉じた。

「何言ってるんですか。今度、眼鏡持ってきますよ」



「ってなわけでさ、わたしが押して押して押しまくったんだよね」

 ソファに座る彼女は、わたしの髪を撫でる手を止めてため息をついた。

「あの、変な風に脚色しないでください。わかってますか、沙織(さおり)さん?」

 本のページを繰る彼女は、名前で呼んで、と言ったわたしの顔を覗く。

「当分は沙織さんでいきますから。膝枕もなしです」

「ごめんごめん。許して」

 手を合わせて謝る。

「嫌です」

 彼女は、それでも読書の手を止めなかった。眼鏡をかけている。そういうところも、わたしは気に入っている。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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