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授与と未来への光

それから僕は父から剣術を教わることになった。


この世界に来てからというもの魔法や魔物などがいると知ったころから好奇心が止まることを知らない。


それにもうこの体にもだいぶ慣れた。


毎日のように木剣を振り、体を鍛えた。そして時々ステータスを覗く。


《ステータス》




名前:アルク

年齢:4

レベル:1


生命力:3

攻撃力:2

防御力:3

素早さ:5

精神力:C

幸運:S


固有スキル:未発現


そうこれだ。体を鍛えるたびに、成長するたびステータスが上がっていくこの達成感。


目に見えて結果が見えることはとてもうれしい。


よし、このまま世界最強なんか目指してみちゃったりして...なんてな。


そして五歳の誕生日。


村は朝から少しだけ浮ついていた。


子どもが五歳の歳になると、神殿で“授与の儀”を受ける。

この世界では、そこで固有スキルが判明する。


父は朝から何度も僕の肩を叩いた。


「緊張してるか?」


「してないよ」


本当は、している。


「アルクなら大丈夫だ。きっといいスキルを授かるよ」


父は僕を勇気づけてくれた。


視界の端には、あの表示。


固有スキル判明まで:残り0日


数字が消えた瞬間、胸がひやりと冷えた。


神殿に入る。


石造りの小さな神殿。


村人たちが集まる。

最初は、セリナだった。


白い髪が朝日に透ける。

いつもより少しだけ真剣な顔。


「アルク、見ててね!」


「うん」


彼女が祭壇に手を置く。


空気が、震えた。


神官が息を呑む。


淡い光が彼女を包む。


村人がざわつく。


「……珍しい」


神官が言う。


「固有スキル、《聖刻解放》」


空気が一瞬、止まる。


僕の視界には、はっきり表示された。


《ステータス》


名前:セリナ

年齢:5

レベル:1


生命力:2

攻撃力:1

防御力:3

素早さ:6

精神力:F

幸運:B


固有スキル:《聖刻解放》


効果:身体能力の段階的増幅/味方との共鳴強化

条件:強い意思・守護対象の存在


レア度:高


(……強い)


これは明らかに“当たり”だ。


セリナは少し戸惑いながらも、胸を張った。


「なんか、よく分からないけど……すごいらしい!」


村人たちが祝福する。


父が小さく呟く。


「……将来、騎士になれるかもしれんな」


僕は、少しだけ安心した。


(守れる力がある)


彼女は強い。


本当に。


次は僕の番だ。


「アルクも頑張ってね!」


セリナが後ろから声援を送ってくれる。


僕は祭壇に手を置く。


光は、出ない。


ざわめき。


神官が眉をひそめる。


「……反応がない?」


父の顔が曇る。


だが僕の視界には、はっきりと表示されていた。


_____________________________________________

《固有スキル:代償勇者》


自身が“所有している”と認識するものを代償に変換可能。


代償は不可逆。


レア度 : ---

_____________________________________________

喉が乾く。


(不可逆……それにレア度が表示されていないのはなんでだ?)


画面の下部に、一瞬ノイズが走る。


だが、まだ“それ”は表示されない。


隠されている。


セリナが駆け寄ってきた。


「アルク、どうだった?」


僕は笑う。


「……よく分からない」


嘘ではない。


だが本当でもない。


授与の儀の後、村の広場。


セリナは木剣を振っている。


ぎこちないが、筋がいい。


「ねえアルク、将来一緒に騎士団入ろうよ!」


「騎士団?」


「うん! 村を守れるし、かっこいいし!」


彼女は本気だ。


僕は、彼女のステータスを見る。


《聖刻解放》


条件:守護対象の存在


(……僕か)


その瞬間、胸がわずかに熱くなる。


「アルク?」


「……いいよ」


言った瞬間、直感が微かに震えた。


これは“約束”になる。


*夜


その日の夜。


森の奥から、また風が吹いた。


冷たい。


視界の端に、文字が浮かぶ。


《警告:脅威接近率 上昇》


「まだ早いだろ」


僕は思わず呟く。


セリナのスキルは強い。


でもまだレベル1だ。


僕は代償勇者。


でも、使えば何かを失う。


村は静かだ。


父は武器を手入れしている。


母はパンを焼いている。


セリナは、明日の練習を楽しみにしている。


僕は空を見る。


星がきれいだ。


そして、直感が言う。


――守れるかどうかは、お前次第だ。


僕は空に向け拳を握る。


まだ五歳だ。


でも、もう逃げない。


この世界で生きると決めたから。

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