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Episode3 酒



「はやく帰らないと家の人が心配するでしょ?」


そのディパー二の意見に確かにと思い、私は1度家に帰って後日またお店に来ることになった。どうやらディパー二には、私が家を抜け出して来たことに気づいていたようだ。婚約破棄という依頼内容のため、両親にバレるのはどうしても避けたかったため、家から抜け出すという強行手段に出たのだ。


「ご令嬢を、一人で帰らす訳には行かないな〜。俺が送ってあげようか??」

ニコニコと、なにかを含んだ不気味な笑顔でそ言う。その笑顔が気味が悪いと、思った

「...一人で帰れますわ」

ただの善意かも知れないが、私には裏があるとしか思えなかった。

「もう日が沈む時間帯だけど??」

外を指をさしながら言った。

「...お願いします。」

メイラニンはこんな、なりだが一応公爵令嬢だ命を狙われる可能性もあるのだ。そのため大体の貴族は、外に出る時は護衛を必ずつける。だが、今日のメイラニンには、護衛が居ないのだ。ディパー二のあの発言は、至極当然なのだ。


「じゃあ、家路に着くまでは俺が()()()()()()の護衛だね」

急に、メイラニン嬢と改まった言い方をされたので少し恥ずかしくなった。




もう日が沈み、辺りは一面真っ暗だった。


森には、道路の設備がされていないので足場が不安定だった。しかも、街灯がないので何も見えない。ディパー二は、その事を見越してランタンを持ってきていた。ランタンのお陰で少し明るい。1人だったら確実に、迷子になっていただろうな思った。


「足元危ないから気をつけて」

先導して歩くディパー二。その姿からは、さっきまで不気味な笑顔を浮かべてた人物と、本当に同一人物なのかと疑いたくなる気持ちだった。きっと二重人格だわと、内心で失礼なことを考えていた。その、心の中の気持ちをディパー二に言ったら、怒られるだろう。なぜメイラニンは、頑なにディパー二を認めないのかというと、メイラニン曰く見た目は良いのに性格も良かったらただの完璧なイケメンじゃないか?と、考えているため意地でも認めたくないのであった。ここだけの話、ディパー二は、別に性格がいいと、いうわけではない。メイラニンをからかっているだけだ。


森を抜けると、街道にでた。街灯があるため明るさには、何ら困らなかった。


「メイラニンの婚約者って誰なの?」

なにかを企んでいる、顔だなこれ...。と内心で思いつつ、一応依頼はしっかり遂行して欲しいので大人しく婚約者について話すことにした。

「わたしの婚約者は、エジューリオ=グロックという方ですわ。」

「エジューリオ=グロック...ね。」

「...。知り合いかしら?」

「いいや。知り合いではないよー」

真剣な顔で意味深に呟いていたが、数秒でいつもの憎たらしい笑顔に変わっていた。


そんな話をしていたらメイラニンの家に着いた。

「送ってくださりありがとうございますわ。」

「いやいや、こんな夜中にご令嬢を一人で歩かせるほうが目覚め悪いしさ」

女を誑し込むの得意そうね...。

「護衛は終わりじゃ、またね」


と、言いディパー二は転移魔法を使って戻ろうとしていた。じゃあ私の家の時も転移で行けば良かったのにと思ったが、よくよく考えると転移魔法は一度来た場所じゃないと転移できないのだ。だからその考えは一瞬にして否定された。




ディパー二は、メイラニンを家に送った後に転移魔法でお店ではなく街にあるバーに来ていた。


バーに入った瞬間アルコールの匂いが充満していた。酒に体制がない人だとこの雰囲気だけで酔うだろうなと、考えていると店員にカウンター席に座るように促された。カウンター席に座ると、目の前にはタバコをくわえた、色気のあるバーのオーナーがいた。


「あら、ルシファー来たの?」

「ルシファー様が来てやったんだサービスしてくれよ?」

どうやらそのオーナーと、ディパー二は知り合いらしい。

「ハイハイ」

「サービスしてくれるそうなので、このカクテルください」

とメニュー表に、指を指した。そのカクテルとは、ドライマティーニというカクテルだ。このカクテルは、度数が31パーセントと、非常に高い。お酒が弱い人なら1杯で酔うだろう。オーナーは、その注文を受け取り客の目の前で手際よく作り出す。


「はい。ドライマティーニ」

「ありがと」

と受け取り、飲む。飲んだ瞬間、喉を程よい炭酸が刺激して心地よい。味が辛口だから、飲みごたえがあって美味しいなと、心の中で食レポをしているとオーナーが話し始めた。


「ルシファーってさ...本当に酒に強いわね」

「酒に強くてもいい事なんてないさ、、。酔いたいときに酔えないって結構キツいんだよね〜。酒に酔って一時的でもいいから現実を忘れたい、みたいなことあるでしょ」

機嫌の悪そうな顔で言った。

「それもそうね...。現実は、クソだものね」

「にゃはは。よく言ったオーナーさん」

現実逃避をしたい時は、酒が1番有効だという意見にオーナーが賛同したことにより、ディパー二は同族を見つけたように感じ少し嬉しく思った。


「で...ルシファー、、、こんな話をするためにバーに来たって訳じゃないだろうね??」

「俺をなんだと思っているんだい?まぁ理由あるのは、正解だけどさ...」

「何しに来たの?」

「...エジューリオ=グロックって知ってる?」

「あぁ知ってる。エジューリオ=グロックは、グロック家の長男で跡取り候補だろ?好青年で優しく若者人気が高かったはずだ。」

おまけに顔が良いと、オーナーはグロックを褒めちぎった。


「なるほどね...。そいつヤバい噂とかないの?」

「あるっちゃある」

「どんな?」

「エジューリオって奴、、、婚約関係にあった女性が過去に3人もいたらしいね」

3本の指を立てながら片方の手で、タバコを灰皿に入れた。

「だが、その3人とも婚約破棄してんだよ」

「そりゃーなんかあるな...」

ディパー二は、顎に手を当て考える素振りを見せた。

「だろ?だが...この噂が本当かは知らん。所詮は噂だ。」


新しいタバコに、火を付けオーナーはタバコを口にくわえた。タバコの煙がディパー二の顔にあたる。


「その噂が本当なら、婚約破棄する理由ってなんだと思う?」

そうオーナーに、問いかけた。

「十中八九DVか、浮気だろうな」

苦笑いをしてそう答えてくれた。なぜDVや浮気だと思ったのかというと、婚約破綻しそうな理由がそのくらいしか出てこなかったらしい。それか、もっとどす黒いものがエジューリオ=グロックに、あるかだろう。


「公爵家同士の婚約破棄の事例は、中々ないから分からないがな。で、おまえはどんな依頼を受けたんだ?どうせ仕事なんだろ?」

ここまで教えてやったんだ。依頼内容を知る権利は、私には充分にあると思うぞ?とディパー二を丸め込んだ。

ディパー二は、あまり人に依頼内容を話さないのだ。なぜなら、依頼は個人情報でもあるからだ。そこら辺は、ちゃんとしているらしい。


オーナーに根負けしてメイラニンの事を話した。


「好きな奴と結婚するのが夢...。驚いたそのご令嬢メイラニン=ポメスと言ったか、、、面白い考えだ」

オーナーがそう言うのも、無理はない。貴族でその様な考えを持つ人は、メイラニンぐらいしかいないだろう。正直な話し、ディパー二はそれを聞いたときこのご令嬢は、頭の中が花畑なのか?と本当に心配したらしい。


「それは、ただの依頼を引き受けて貰うための口実かもな」

グロックの噂話を聞いて、ディパー二はそう確信していた。ディパー二は、元々メイラニンはなにか隠しているだろうなと、感じていた。


「私もそう思う。」

オーナーが賛同した事により、その意見に信ぴょう性が増した。








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