Episode1 なんでも屋へようこそ
「お嬢様!!」
そう叫びながら、お嬢様を探し回る侍女がいた。
侍女が探してる、お嬢様ことメイラニン=ポメスは、公爵令嬢であり、公爵家を脱走したそうだ。
脱走したメイラニンは、ポメス家の領土に位置する森に来ていた。
「ふぅ〜。やっと撒くことが出来ましたわ。」
高そうな、赤色のドレスを身にまとい腰まである長い髪をもつメイラニンが汗をかきながら、そう言った。
ポメス家から森まで、あまり距離が遠くないというのに持久走を終えたとき並に、汗を流していた。
それもそうだろう、メイラニンはあまり運動をしないのだ。他の貴族も例外ではなく、運動をしない人が多いのだ。
「やっと...着きましたわ。はぁはぁ」
メイラニンの目的地に着いたようだ。
目の前には、小さい建物がある。お店だろうか?
その建物に入る前に呼吸を整えないと、呼吸が荒すぎて心配になるレベルであった。
誰が見ても顔色が悪い。
「...まって吐く」
そう言いながら、手で口を抑えた。
「オエェ」
公爵令嬢とは思えない行動であった。森の中で吐くなんて。うずくまりながら、吐いていると目の前に青年が立っていた。
「えーと...。大丈夫ですか?袋いります??」
メイラニンに、そう言い袋を差し出した。
少し引いてるような目を、しているがそんなことお構えなしにメイラニンは、胃の中が空っぽになるまで吐いた。青年は、静かにメイラニンを見た。
「吐き終わりました〜?」
ニコニコと、笑いながらメイラニンに話しかけた。
その声のするほうに顔をあげると、肩ぐらいの長さの黒髪にハーフアップをしていて、貼り付けたような笑顔でメイラニンを見つめた男がいた。誰ですか、このかた?しかも黒髪って...。東の国の方かしら?
この世界には、東の国と西の国がありメイラニンがいるところが、西の国だ。西の国では、珍しい黒髪は偏見や差別の的だった。黒髪=異国人や魔物などのイメージがある為、差別の目で見られることが多いのだ。
「ここにいるってことは、うちの店にようですか?」
と、言う男は見蕩れるほどのイケメンだ。だが、胡散臭い笑顔のせいで、イケメンだと思いたくない。
「えーと、はいそうです...。」
人の前で、吐いてしまったことへの羞恥心が込み上げてきた。そんな、メイラニンのことなんて気にせず男は不気味な笑顔を向けた。
「いらっしゃいませ、"なでも屋"へ」
カラン、カランとドアベルがなった。
ローテーブルに男は、荷物を置いてソファに座るようにメイラニンに、促した。
「で、こんな森の奥にわざわざ貴族が来るなんて珍しいこともあるな〜」
男はヘラヘラと笑う。
あれ?私貴族ってこと言ったかしら??その疑問が顔に出てたのか男は、身なりを見たら誰だって貴族だってわかると言い疑問が晴れた。
「早速だけど依頼、なに?」
「あ...あぁ。依頼ね。その前に名前教えてくださらない?」
男は、目を丸くさせて驚いているようだった。そんな驚くことかしら?呼び方が分かりずらいったら、ありゃしないわ。
「それ必要??」
「えぇ。必要ですわ!!!」
ローテーブルから身を乗り出して、興奮気味にそういう。めちゃくちゃ引いたような目で、見られてる気がするけど気の所為よね。
「まーいいや。俺の名前は、"ルシファー=ディパー二"」
大きな溜息をつきながら、名乗った。
「じゃあディパー二様よろしくお願いします。私は、メイラニン=ポメス」
「え?あ...うんよろしく。てか"ポメス"ってここの領地の貴族じゃん」
「まぁそうね...それよりもさっきは、お見苦しい姿をお見せして申し訳ございませんでした。」
ガッツリ、ディパー二の前で胃の中が空っぽになるまで吐いた事への謝罪を今更ながらにした。
「あはは。まぁ...うん貴族ってみんな君みたいな感じなの?」
私のせいで、貴族=ヤバい奴というレッテルをディパー二様によって貼られてしまうわ!!!否定すれば、私がただのヤバい奴になっちゃうじゃない...。(否定しても、しなくてもヤバい奴です。)
「さぁ...どうかしらね?そんな事より依頼内容ですけど、、、」
話題をすり替えて、逸らそうとするとディパー二がジッとこっちを見てきた。メイラニンの、作戦なんて多分バレてるのだろう。だがディパー二は、その事に触れずに話に流されてくれた。
「私...。実は政略結婚をさせられそうに、なっているんです。ですが、私的には好きな殿方と添い遂げたいんです。それが私の夢なんです。」
「ほう...ほう。じゃあ私には、その婚約を破棄して欲しいと、言うことですか?」
ディパー二の一人称が俺から私に変わっているわ。口調も。仕事とプライベートは、分けるタイプなのかしら?ちょっと厨二病臭いわ...
「なにか?失礼なこと考えなかった???」
青筋をたてて、不気味な笑顔でそう言われて私は、これはヤバイと思い何も考えていませんと、咄嗟にそう伝えていた。
「コホン。それが私からの依頼ですわ。」
「そんで、報酬は?どのくらい払えるの"貴族さん"」
口の端を吊り上げて、そう言った。頼むところ間違えたかしら?少しだけ後悔するメイラニンなのであった。




