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ご ガチャの誘惑
「一回だけ…一回だけだからな?」
誰に言い訳しているのか分からないまま、半次郎はガチャを回した。
ぽち。
外れ。
「まぁまぁ、確率だからな」
ぽち。
外れ。
「いや逆に次は来る流れ!」
ぽち。
外れ。
「おかしいだろぉぉぉ!?」
気づけば連打。指が止まらない。
ぽちぽちぽちぽちぽちぽち――
数分後。
画面に表示されたのは、無情な現実。
『通貨が不足しています』
「……は?」
残高、ゼロ。
「俺の全財産、数分で蒸発したんだが???」
さらに追い打ちのように、新ガチャの広告が出る。
『今なら確率アップ!』
「いやさっき上げとけよぉぉぉ!!!」
半次郎はスマホを見つめたまま、しばらく動けなかった。
この世界は、優しさと――悪意で出来ている。




