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リスナーは壁〜超陽キャのVtuberがド隠キャVtuberに恋をした〜  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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新人募集中 3

 

 ――それから約二ヶ月。

 まずイラストの完成に約一週間。

 かなり筆の速いイラストレーターさんに頼んだおかげで、普段より早く納品してもらえた。

 振り込みも完了確認、と。

 そこからLive2Dの依頼を出す。

 通常Live2Dの納品には技師さんにもよるが早い人だと一ヶ月と半月程度。

 今回は事前に依頼していた八人分プラス、アマリの分の追加一人分。

 アマリの分を最優先にしてもらった結果、ついにアマリのガワが完成した。

 その間にアマリの部屋もライバー仕様に改造済み。

 パソコンのスペックを上げ、回線を改善。

 OBSを繋げ、マイクと防音設備を購入。

 カーテンを防音、遮光にして窓も防音用につけ替えた。

 

「おい、椎名! 妹さん契約書は書いたのか?」

「あ、これからです。Live2Dのデータを納品してもらったら、一緒に持って行こうかと……」

「一応、スタッフとの顔合わせも兼ねてできることなら事務所に連れてきて書いてもらえるか? スタッフもライバーの顔覚えておいた方がいいだろうし」

「ああ、なりすましとかありましたしね」

 

 うちの会社の話ではないのだが、女性ライバーガチ恋勢の中で「そちらに所属している○○というライバーの恋人なのですが、彼女と昨日の夜から連絡が取れない。そちらでは連絡取れますか? 事故に巻き込まれたりしていないでしょうか?」というライバーの身内のふりをしてライバーの個人情報を探る男が事務所に現れた。

 すぐさまマネージャーがライバーに連絡をしたところ、本当に連絡がつかずに男と共にライバーの家に行ってしまう。

 ライバーはただ、深夜配信を終えて寝ていただけで、家に突然マネージャーと見知らぬ男が現れて一悶着。

 幸いライバーの身は無事だったが、引っ越しを余儀なくされた。

 その上、顔バレしてしまったのが大きく彼女は恐怖のあまり引退してしまったのだ。

 と、まあ、そういうこともあるので事務所の方としては交友関係に口は出さないが、身内と本人の顔をスタッフも把握しておくのに越したことはないって思っている。

 それに、身内の俺の前で契約書を書くよりも第三者がいるところで契約書を書いてもらった方がいいだろう。

 問題はアマリが外に出られるかどうか――だ。

 

「どうしても無理そうなら、椎名が立会人と説明をしてくれていいけど」

「うん、まあ……でも、そうだな。スタジオの使い方とかも説明できたらいいし……とりあえず聞いてみるよ」

「頼む。来る時は予約もな」

「おう」

 

 と、いうことで立ち絵とLive2Dのデータが入ったUSBを持って、帰宅する。

 アマリは今日も部屋で配信者ごっこをしながら、ゲーム実況の練習をしていた。

 目標ができてからアマリは本当に毎日真剣に頑張っていると思う。

 部屋から微かに聞こえる音に涙が出そうになるのを耐えながら、扉をノックした。

 

「アマリ、ただいま。立ち絵とLive2Dのデータ届いたぞ」

 

 そう声をかけると、椅子が軋む音。

 それから慌てたような声と、バタバタとした足音。

 

「ほんと!?」

 

 勢いよく開く扉から顔を出すアマリ。

 ラフは見せているから、完成品が楽しみで仕方なかったのだろう。

 どれくらいぶりだろうか、こんなに期待に満ちた顔のアマリは。

 俺も泣きそうな気持ちになりながら、USBメモリをアマリに手渡す。

 アマリはそれを大事そうに両手で持ち「見てもいい?」と見上げてきた。もちろんである。

 この瞬間から、あのデータはアマリのものだ。

 パソコンに戻り、ゲームを中断してUSBメモリを挿して中身をロードする。

 そして、フォルダを開く。

 

「わ……わ、わあ……」

 

 言葉にならない声が漏れる。

 アマリの注文通りの顔。

 パソコンのカメラを起動させて、Live2Dのデータを連動させる。

 モニターの中で動くアマリの分身。

 目を見開いて、口をぱくぱくさせて、にっこり笑顔。

 ぐう……可愛い。一生推せる。

 

「………………お兄ちゃん……私、Vtuberになってる……」

「ああ」

「ありがとう……」

「おいおい、まだ始まってないだろう。準備が一通り終わっただけなんだから、気が早いぞ」

「う、うん。そうだよね……」

 

 ぼろ、と涙をこぼすアマリ。

 本当に、気が早い。

 

「テーブルの方で契約の話も説明したいんだけど、もう少し見てるか?」

「う、うん。いい?」

「いいぞ。ライバー名も前伝えていたやつとは違う方がいいんだろう? ちゃんと決めたか?」

「あ、う、うん。あ、うん……やっぱり今話す」

「そうか?」

 

 もう少し見ていたそうなアマリだが、仕事の話を優先してくれるらしい。

 パソコンを一度スリープにして、テーブルにやってくる。

 持ってきた書類を見せながら、契約に関する説明をして、ライバー名を記入せた。

 

 ――甘梨(あまり)リン。

 

 アマリがあの立ち絵を見て考えたのは、そんな名前。

 本名を苗字にすることで、返事がすぐできるようにしたらしい。

 しかし、これ身バレの確率高くなってない? 大丈夫か?

 

「本当に本名入れて大丈夫か?」

「うん、私のこと覚えてる子なんていないと思うし、愛称で『あまりん』って呼んでもらうんだ。それならわからないと思う」

「なるほど?」

 

 まあ、本人がそれでいいならいいのかな?

 心配ではあるけど……。

 

「で、一応事務所で他のスタッフにもアマリの顔を覚えてもらいたいんだ。ガチ恋不審者とかから守るためにも必要だとお兄ちゃんは思う。契約の説明はいましたけれど、こういうの第三者の立ち合いがあった方が安心だし」

「お兄ちゃんの事務所……」

「そう。あと、スタジオを使うようなオフライン企画とかしたい場合とか、スタジオの設備の使い方の説明とかしたいんだよな」

「スタジオ……」

「そう。収録スタジオとかあるんだ。ほら、Vtuberといえば歌ってみたとか」



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