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トンネルの中の年若い男女

作者: 島猫。

 トンネルの少し手前、制服姿の若い男女の背中が見えた。

 横に並んだ肩と肩は触れそうなほど近い距離で、けれども二人の手は重力に逆らわず、それぞれ真っ直ぐ下に伸びていた。


 自転車の速度は緩めない。

 日が急に陰ったのはトンネルに差し掛かったから。

 勢いよく追い越して、後ろは振り返ることなく、薄暗いトンネルを一直線に突き進む。

 あっという間に戻って来た外の世界の眩しさに目を細めながら、若い二人が手を繋ぐに至る様を想像する。


 太陽の光から遮断された二人きりの世界。

 訪れたばかりの闇に紛れ、心はソワソワと、伸ばされた手もソワソワと。

 甲と甲とがトンと触れ、彼の手が彼女の手を、彼女の手が彼の手を求め、互いに指をそらし、距離を無くすようにそっと近付ける。触れた手と手で彼は彼女の、彼女は彼の熱を知る。

 接する面は、手の甲から手の平へ。

 そうして内側の温かさ、また、柔らかさを知る。


 固く結ばれた手と手はトンネルを出ても一つのままで、明日、またトンネルを通る二人の手は、きっと始めから繋がれていることだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 青春……やなぁ( ˘ω˘ )
[一言] (*´ー`*)する。想像する。しますです。 新学年になってまだ2ヶ月経っていない今の時期に制服姿の男女が慣れていない感じで狭い歩道を並んで歩いているだけで、植え込みで見えない手のあたりの想像…
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