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いろいろ  作者: よむよむ
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読書の技法 著:佐藤優

●読書の技法 著者:佐藤優 刊行:東洋経済新聞社 定価:本体1500円+税●


 この本の著者は元外交官の佐藤氏である。気まぐれでブックオフに行ったところ、なんと彼の本が220円で売っており、こいつはラッキーだいうことで購入した。この本を買うにあたり知りたいと思ったことは、どのような読み方をすれば本の内容を記憶できるかという点だ。


 一通り読んでみて、内容を記憶するために大事なことは以下の4点であると理解した。これまで私は本を1回しか読んでいなかったので、それが本の内容を十分に吸収できない原因だったようだ。


①3回読む

②重要な箇所にマークを付ける

③ノートに書き写す


 そのほかに心に残ったのは以下の点である。


・その分野の基礎知識がない書籍は速読できない

・最初に読むときに、いい加減な仮読みのような形で読んでしまうと、その後に重要な点が頭に入らなくなる

・数学や外国語の教科書を読むだけで理解することは不可能だ。これらの勉強は体で覚える技術の要素がある。例題を解きながら体で理解していく必要がある


 佐藤氏は、素晴らしい速読の技術をもっているようだ。一方で私の読書スピードは非常に遅い。もう少し読書スピードを上げたいと思って調べてみると、どうやら脳内で音読していることと、同じ行を何度も読み返すことが原因とわかった。


 脳内で音読するということは、文字から音に変換し、さらにその音を意味に変換し、その意味から画像を想像するという工程になっているのだと思う。音に変換のところで一工程多いうえに、話すスピード程度に律速されてしまう。脳内で音読することをやめて、文字から意味へと直接的に変換する練習をしていかねばらなないなと感じた。なかなか難しいことだが。


 古本で買ってしまったのが申し訳ないぐらい得るところの多い本だった。なお電子書籍の試し読みでは目次をみることができる。目次を見るだけでもそれなりに得るものがあると思うので、もし本書に興味を持った方がおられたら目次だけでも見てみてはいかがだろうか。


以上


 読み直していて大事な点を見過ごしていたことに気付いたので追記する。最初に読んだときは今一つピンとこなかったので、「イマイチわらかない」と書き込んで読み流していたのだが、改めて読むと実は非常に重要だと気づいたのだ。


 以下は、佐藤氏が文章を読み解くコツとして「NEW出口現代文講義の実況中継 著者:出口汪」から引用した部分を、さらに私が引用したものである。


『文章を”論理的につかむ”

(1) 人間は皆先入主を持っているから、客観的に文章を読むということは不可能である。

(2) だから、自分の頭を信用してはいけない。

(3) 入試問題の文章は論理的である限り一つの結論・主張を形を変えて何度も繰り返す構造になっている。同じ主張を反復しているのだから、それらの主張を重ねて解釈しなさい。

(4) この作業によって、先入主がおおい隠していた影の部分が光の部分と重ね合わされ、そこで初めて筆者の主張が正しく把握できることになる。


 言葉を”文脈で固定する”

(1)言葉というものは所詮、個人言語であって、一人ひとりの感覚や知識の度合いによって様々な使われ方をするし、また状況や場合によっても揺れ動くものである。

(2)だから、筆者の個人言語を読者の個人言語で理解しようとしてはならない。筆者の言語は筆者の言語の中でつかむということ。

(3)それはとりもなおさず、文章の前後関係、つまり文脈から言葉の意味をつかむということである。』(引用終わり)


 最初にこれを読んだとき感じたのは、「そうは言っても辞書の定義どおり読めば、解釈にさほどのズレはないだろう」というものだった。そして、もう一度読んだときに、「そういえば人によって正義や悪のとらえ方は違うなぁ」と思った。


 そこで、はたと気付いたのは著者の佐藤氏が外交関係者だったことである。

 例えばプーチン大統領が演説で繰り返し「正義」「悪」「ファシスト」という言葉を使ったとする。その「正義」「悪」「ファシスト」の指す意味は、日本人にとっての「正義」「悪」「ファシスト」と異なるだろう。他の例で言うとアメリカ大統領が演説で「強いアメリカの復活」という言葉を使ったとする。その「強い」は、経済を指すのか、あるいは軍事を指すのか、それとも単に特定のスポーツを指すのか。


 おそらく外交とは、上記のような言葉の解釈の誤りが致命的な判断ミスを産む世界なのではないかと感じた。また、民間でも覚書や秘密保持契約、共同開発契約など様々な文章が取り交わされる。上位概念化された抽象的な言葉を手前勝手な基準で解釈すると、思わぬところで足をすくわれるかもしれない。


 特に抽象的な言葉がでてきたら、自分の中の基準と異なる意味を含むかもしれないと疑って読むようにしよう。


 フムン、高校生のころにこうしたことを学んだものと、社会人になってから知ったものとでは、かなり差があるな。

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