魔眼の匣の殺人 著:今村昌弘
推理小説を読みながらメモしたもの。
●魔眼の匣の殺人 著:今村昌弘 刊行:東京創元社 定価:1700円+税●
前作「屍人荘の殺人」が面白かったため続刊を購入した。
文字や見取り図が大きい方が見やすいので、ちょっと高いがハードカバー版を購入した。
以下は読みながら推理のために、書いたメモである。
本書を未読の人には、なんのこっちゃわからないと思う。
もし、本書に興味をもったなら購入してみてもいいのではないかと思う。
【読前】
表紙をじっくりと見てみる。
英語のつづりは、" Murders in the Box of Clairvoyance "。
直訳すると「千里眼の箱の中の殺人」。
表紙の絵は、炎を背景とした藤の花と燃えつつある一枚の紙。藤の花の開花時期は4月上旬から5月上旬。つまり事件の舞台は春か。
燃えつつある紙や証拠物件だろう。例えばダイイングメッセージなどだろうか。
表紙の女性は、おそらく剣崎比留子なのだろう。首にゆったりとしたストールのようなものを巻いている。
本の帯には、「閉ざされた匣の中で告げられた死の予言は成就するのか?」「あと二日で四人死ぬ」と書かれている。クローズドサークルで連続殺人が起きるようだ。犯人による犯行予告ではなく、予言者による犯行予告らしい。千里眼とは予言のことか。
少しページをめくるとマップが示されている。箱型の建物。地上1階、地下1階という変わった建物。建物の名前が、本のタイトルである魔眼の匣というらしい。
しかも建物には窓がない?書かれていないだけ?地下の客室らしきものは、当然窓はない。つまり入室はドアだけから可能。密室殺人が起きるようだ。建物のMAPに花瓶がわざわざ書かれている点が気にかかる。
建物の裏手側は崖になっており、崖には抜け道がある。抜け道は滝まで通じている。いかにもクライマックスは滝で起きるかのように見える。
魔眼の匣に通じる道の途中には人家らしきものが4軒書かれている。魔眼の箱への道は、底無川にかかった橋につながっている。この橋は、いかにも落ちそうである。
お、表紙の裏のところにあらすじが書かれている。やはり橋は落ちるらしい。
建物を訪れるのは9人。登場人物一覧のそれらしい人物は11人。建物の住民は2人。サキミと神服のようだ。
全世界シリーズ100万部突破と書かれている。これはすごい。文庫が大体800円ぐらいとすると、印税が10%として8000万円か。もし、ハードカバーがかなり売れていたとしたら1億円ぐらいいっちゃうのだろうか。なかなか夢がある数字だ。
【剣崎比留子への報告書】
班目機関は、このシリーズを通しての謎というか敵役らしい。
そして、今回の話の舞台は班目機関の超能力研究所であったとのこと。
つまり、タイトルを言い換えると「匣型建物である旧未来予知研究所で発生した連続殺人事件」といったところか。
なんだか建物の形が、京極夏彦の魍魎の匣にでてきた建物を思い起こさせる。魍魎の匣でも、戦時中の変な機関がつくった匣型の研究所がでてきたな。旧日本軍がそういう建物を作った史実でもあるのだろうか?検索すると登戸研究所が、箱っぽい建物といえなくもないが普通に窓がある。公立小学校とかでありがちな形のコンクリート造の建物のように見える。
ちなみに前話で浜坂教授の手帳を持っていたことでどこかに連れていかれた重元は、失踪しっぱなしらしい。
重元について、わざわざ書いたということは何かの伏線だろうか。
【序章 新生ミステリ愛好会】
月刊アトランティスに届いた犯行予告状。
以下の事件が予告通り起きている。
6月上旬の大阪のビル火災。火だるまの被災者が周囲のものに掴みかかったというのは前話のゾンビの実験?
8月最終週の日曜日の事件とは屍人荘の殺人の話だろう。
主人公たちが通っているのは、関関同立のどれかが元ネタのようだ。
すると、前回のS県というのは滋賀県?
湖は琵琶湖にしては大きすぎるので、余呉湖か?ちょっと大きすぎだしJR沿線なので違うか。
ダム湖という記載はなかったが、犬上川ダムか永源寺ダムか宇曽川ダムのダム湖が舞台だったのだろうか。
今回の舞台のW県というのは、きっと和歌山県だろう。
ちなみに大阪のビル火災というと、例の大阪のクリニックの放火事件が思い浮かぶ。
あの事件が2021年で本書の発行が2019年。
現実の事件前の発行だから、たまたまの一致のようだ。
どうも剣崎比留子と葉村の関係を見ていると、機本伸司の神様のパズルの穂瑞と綿貫みたいな感じだ。
よくある組み合わせと言ってしまえばそれまでだが。
そういえばあのシリーズにも謎の研究機関がでていたな。
人工授精で天才児を作る研究機関だったっけ?
剣崎が使っている探偵の名前はカイドウ。
班目機関の研究所を目指して移動。目的地は、W県の好見。
高校生二人連れ。
十色少女 猪との衝突事故を予知。
茎沢少年 躁の気質あり。論理的思考はしない人物という設定か?ミスリード?
好見は、携帯電波の範囲外。
SoftBankのサービスエリアマップを見ると和歌山の山の方が圏外の範囲が結構広い。ちょっと意外。
剣崎と葉村は、バスの後ろの乗客を見ている。見すぎでは?
バスが猪と衝突。人為的事件?とは思えないが。
好見集落に到着。工事フェンスで封鎖。
工事用フェンスは、どこから出てきた?フェンスは1枚あたり安くて6000円。
好見集落の住民が工事用フェンスを所有しているのか?
それともネット注文?
未舗装路と聞くと、オフ車で走りたくて興奮してくる。
人家は無人。限界集落なのか、廃村なのか、農業だけしにきているのか?
廃村になると、あっという間に家が潰えてくるので、廃村ではないか。
しかし、車一台分の未舗装路の林道というのは現実的ではないな。
台風が来ると、すぐに道が潰えてしまいそうだ。
好見集落の住民は一時的に集落をでているだけのようだ。
王寺貴士 ハンサム、ツーリング、ライダーズジャケット、バイクはガス欠
ライダーズジャケットということは、オン車かな。11月に和歌山の山奥あたりか。結構寒そうだ。
朱鷺野 女、ホステス風美人、20代、赤服、赤髪、墓参り
師々田巌雄 ずんぐり、社会学教授
師々田純 少年
底無川の向こう側の人家は廃屋。
魔眼の匣に到着。菜園が熊らしきものに荒らされている。
神服 猟銃所持、小ぶり、単発弾を装填、女、黒ワンピース、30前後、キツネ目美人
神服と朱鷺野は、昔からの知り合いかつ、仲が悪い。
魔眼の匣の中に入った。
受付の4体のフェルト人形。春夏秋冬を表している。何かの伏線?
臼井 40代、薄毛、しょぼいパチンカーっぽい男
エリカという花が花台に活けてある。表紙の絵は、藤の花ではなかった。
わざわざ表紙絵に書いてあることから、重要なヒントか、本書のテーマと関係あるのか?
花言葉は孤独、寂しさか。寂しく孤独な土地という意味合いからきているとのこと。
単に魔眼の匣の隔離されたかのような立地を指しているだけ?
ひょっとして別の花言葉があるのでは?
別の花言葉で裏切りと博愛という花言葉がある。
裏切りか…。誰が誰を裏切るのか?
単純に考えると、サキミを神服が裏切る?
他の可能性は、茎沢少年が十色少女を、あるいは葉村が剣崎を裏切る?
前話で葉村は剣崎に重要な情報を伏せた前科があるな。
王寺は、オカルト話に関心がなさそう。演技か?
ひょっとして王寺は公安関係者で、魔眼の匣に近づくものを監視しており、自然な風を装って近づいたとか?
臼井で薄毛で薄給か、同病相憐れむ。
サキミとの面会時に茎沢少年と十色少女は何をしている?
十色少女が何かを予知したという伏線だろうか。
超能力が存在するという世界観?
サキミ 白装束、老女、猛禽類の眼
サキミの部屋は、引き戸。換気用の通気口。窓無し。
サキミは、臼井に対して「命知らずな」と言った。最初の犠牲者は臼井?
サキミは、神服に来月に来いといった。
なにもなかれば、神服は無人の集落に帰るのか?それともバスで集落外のホテルへでも移動する?
まだ、最初の被害者の殺害動機らしきものは語られていない。
臼井がサキミへ取材
・魔眼の匣に住み始めたのが約半世紀前
・半世紀間、事件の予知をしてきた
臼井が受け取った手紙
・魔眼の匣で超能力実験が行われていた
・魔眼の匣の住所とそこへ向かえとの指示
・サキミが予言している
・予言に関連して死者が出る
・サキミを断罪すべきとの主張の記載
この手紙から推測できること
・臼井が魔眼の匣に来ることと、その来訪時期。
・臼井が魔眼の匣へ来るだけで、手紙を出したものにとって都合の良いことがあること。
やはり王寺が怪しい。
サキミの推測によると、手紙を出したのは好見集落の住民。
多分ミスリード。
しかし、公安か班目機関の関係者、班目機関を探っている企業の可能性もある。
サキミの予言
・11月29日と30日の間に、男2名、女2名が死ぬ。
誰が被害者候補だろう。
男は、葉村、師々田巌雄、師々田純、王寺、臼井、茎沢少年。
女は、剣崎比留子、神服、十色、サキミ、朱鷺野。
・十色が、底無川にかかる橋の炎上、崩落を予知してスケッチ。葉村がそれを目撃。
・茎沢は、逃げることを提案。十色は渋っている。
・師々田巌雄が戻ってきて、橋が燃えたと告げた。
誰が橋を燃やした?
燃え方の描写からしてガソリンや灯油をかけて燃やしたらしい。
橋に向かったのは朱鷺野、師々田親子の3名。
そういえば、王寺はなぜ彼等と一緒に帰ろうとしなかったか?
橋は、自動車が渡れるような強度はない。
すると王寺の目的であるガソリン入手はできないと思うのが普通ではないか?
自家発電機用のガソリンが魔眼の匣にあると思ったのか?
魔眼の匣への橋を自動車で渡れそうにはない。
しかし、魔眼の匣まで神服が日常的に燃料タンクを手で運んでくるとは考えにくい。
誰か橋を渡った後で単独行動をしたか?
そのような描写はない。
崩落した橋からはガソリン臭。
橋の向こうに5,6人の人影。
王寺が彼らに助けを求めた。
しかし、彼らは無視した。彼らが橋を燃やしたらしい。何者?
彼らが、電話線を橋の向こうで切断したということか。
神服が調理開始。
そういえば、電気はつながっているらしい。
電話線は切断したのに、電力線は切断していない理由は何か?
神服は、橋の向こうにいたのは好見集落の住民だと言った。
神服は、好見集落の住民が橋を燃やした動機を語った。
一応、筋は通っている。
しかし、それなら電話線を切断した理由はなんだ?
宿泊の部屋割り発表。
王寺はベッドのない部屋。師々田親子は1つのベッドを共有。
部屋にあるものは、ベッド、石油ストーブ、天井付近の格子付き通気口。
通気口を塞げば一酸化炭素中毒を起こすのではないか?
灯油は、やはり神服が手で運んできたのか?
魔眼の匣の立っている場所の地名は真雁。シンガンか。真贋。
なにかが本当で何かが嘘なのか?つまりウソを見抜くか。
そういえば、序盤で剣崎比留子が推理小説の叙述トリックに引っ掛かるという話があったな。
叙述トリックってなんだ?
性別、年齢、時系列、場所を文章中でぼかし、隠匿すること。先入観や思い込みを利用してミスリードする。
これまでに何か語られていないことがあったか?今のところ、気にかかるのは以下の点。
・橋から魔眼の匣までの間での隊列が語られていないこと。
・王寺のバイクを目撃した話がないこと。
・師々田親子は、このような山奥になにをしにきたか。
・高校生二人組は、どうやってサキミのことを知ったか。
ただし、王寺の初登場時にヘルメットの形に抑えつけられた髪との説明があるので、出会う少し前までヘルメットは着用していたようだ。
茎沢少年は、初めて魔眼の匣の建物を見て「すごいぞ、ここが。」と発言している。
また、茎沢少年と十色少女はサキミのことを知っていて会いに来たらしい。
彼はどこから魔眼の匣とサキミのことを知ったのか。
月刊アトランティスには、そこまでの情報は書かれていなかった。
剣崎は探偵を雇ったが、高校生が興信所をつかったとは考えにくい。
誰かが彼等を誘導して、この地へ招いた。
明らかに招かれたのは、茎沢少年、十色少女、臼井。
この地に元からいるのはサキミ。合わせて男2名、女2名か。
元々は、この四名が犠牲者候補だったのだろうか。
十色少女は、茎沢少年とこの地へやってきた理由を問われて目をそらした。
茎沢少年が、十色少女の求めるサキミの情報を伝えて、一緒にやってきたと捉えられる。
すると茎沢少年が、どこからその情報を得たかだが、これは後に語られるのだろう。
葉村が、十色少女を途中まで送ったのが28日の23時。
【第二章 予言と予知】
予言と予知か。伝えたか伝えていないかの差?
誤っていても予言だが、誤っていた予知は予知といえるか?
師々田親子 葬式帰りの礼服
朱鷺野明子 母親の祥月命日の墓参り(故人が死んだのと同じ月日)
王寺貴士 ツーリング、芝居がかっている
臼井頼太 取材
十色少女 予知スケッチは秘密にしたい
茎沢少年 ストーカー
サキミ ALS、住民票なし、60代後半
ということは、師々田親子もこのあたりに親族がいるのか。
その親族は、何者?ひょっとして班目機関の関係者という伏線か?
王寺は、実は本当に芝居なのでは?
フェルト人形の描写がまた出てきた。何の暗示?
4体。予言の犠牲者数も4名。
そういえば、アガサクリスティーの小説でも一人殺害されるごとに壊される人形の話がでてきたな。
「そして誰もいなくなった」の見立て殺人の話か。
たしかあの小説では、犯人が殺害予定の人々を集めたんだったかな。
集められた人同士のつながりはあまりなかったと思う。
すると王寺は、アガサの小説にでてきたドライブ好きの男のオマージュか?
また、電話線は真雁側で細工されているのかもしれない。
あれは信頼できない語り手の話だったけ。
序盤で葉村が剣崎比留子に貸した本は、アガサクリスティーと横溝正史。
横溝正史は読んだことがない。検索すると叙述トリックでは「夜歩く」が有名らしい。
とにかく、作者は本作で叙述トリックをやりますよ、という予告をしているようだ。
散弾銃は、受付の鍵付きロッカーの中に仕舞われた。
昨夜は雨。トイレ前の床に雨漏り。神服が掃除した。
11月29日 朝食時
・全員無事。
・昨晩、朱鷺野の部屋の換気口はガサガサという音がした。
・朱鷺野は、神服から後で殺鼠剤を受け取る予定。
・師々田純によると、師々田親子の部屋はお化け屋敷みたいで怖い?
・底無川の上流は滝。
・去年、O県のトンネル火災跡に肝試しに行った若者4人のうち3人が死亡。
・一人目は虚血性心疾患、二人目は前作、三人目は大阪ビル火災で死亡。
・四人目は不明、誰だ?王寺か?
・サキミは昼頃に臼井と会う。
・神服は煙草のにおいが嫌い。
滝といえば、ホームズ対モリアーティーの舞台だな。
11月29日 9時
・臼井と純以外が、脱出方法探しに外出。
・剣崎、葉村、朱鷺野、王寺が魔眼の匣周囲を探索。
・師々田巌雄、茎沢、十色が橋のほうを探索。
・橋よりこちら側は忌地。
・滝を見に行った。
・地下の王寺と朱鷺野の部屋は吸音仕様。
・王寺は原生林を探索するために分かれた。
・朱鷺野の部屋を訪問、扉はうち開き、重い。
・換気口に関する記述はなし。ガサガサ煩かったのは何?
・実験室1は、長机とイスのみ。
・実験室2は、色付きの石ころ、木の棒、針金。
・十色少女が抜け駆けしてサキミと会おうとして神服に怒られた。
・臼井が意図的に真雁に招かれた示唆あり。
・師々田巌雄、十色、剣崎、臼井、葉村、茎沢が合流。
・十色少女が予知スケッチを作成。
・地震発生。
・臼井が崩れた石垣の崩落に巻き込まれて死亡。
臼井の死亡は事故としか思えない。
予知能力があるなら可能かもしれないが、どうなんだろう?
予知能力があることを前提にして推理を組み立てるのか?
11月29日 13:00
・剣崎、葉村がサキミと面談
・サキミは班目機関が既に消滅済と思っていたと語った。
・班目機関は半世紀前に立ち去ってから戻ってきていない。
・班目機関は倫理、道徳を無視するための研究機関。
・半世紀前は、この研究所に10名が詰めていた。今なら70代以上か。。
・班目機関は戦時中の組織ではなく、戦後の組織。
・サキミの予知は、祈祷により予知夢をみるというもの。
・サキミの予言が原因で、公安に目をつけられて班目機関はこの研究所から撤退した。
・サキミは、十色少女の身元に心当たりがある。
どうも、超能力前提の世界観らしい。
十色少女は、昔のサキミの被験者仲間の孫あたりだろうか。
春を表すフェルト人形がなくなった。やはり見立て殺人?
そこから犯人を推測できる?しかし、誰でも盗める位置にある。
叙述トリックか…。何かが語られなかったのか?
葉村の考察の中でアガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」が語られた。
わざわざ、これを示すということは「そして誰もいなくなった」と同じ叙述トリックを使いませんよ、という意味合いなのだろう。
おそらく、「そして誰もいなくなった」と同じ文脈で考えると、ミスリードに嵌るということになるのではないか。
しかし、あまり内容をしっかり覚えていない。
11月29日 14:00
・神服が十色少女をサキミとの面談の呼び出しに行った。
・その途中で神服から葉村は、フロが沸いたことと神服から食事が19時からと言われた。
11月29日 15:00
・王寺が、葉村に入浴について連絡に来た。
・王寺は、臼井の死にショックを受けている様子。普通の人っぽい。
・王寺に下着を1枚あげた。
11月29日 16:00
葉村は、16:00に入浴終了して自室に戻った。
11月29日 17:30
・葉村が一酸化炭素中毒になりかけたのを、剣崎が救った。
・十色少女のスケッチを見た。ストーブがついた床でネズミが死んだ部屋。朱鷺野の部屋?
・しかし、葉村の部屋でもネズミが死んでいた。ベッドの下にあったネズミの死体は干からびている。ずいぶん前からあるようだ。
・昨日、ネズミはいなかった。
・十色少女が予知能力を告白。彼女の祖父は半世紀前に魔眼の匣に勤務した班目機関の研究者だった。
・十色少女は、サキミの孫であった。
・通気口の出口付近の目詰まりが原因。
スケッチのネズミの位置とは違うのではないか?
一酸化炭素が発生するからには、ストーブは消えるものではないか?
ネズミは、倉庫にもあったはずだが、何かの関係があるのか。
11月29日 18:00
・十色少女の部屋を、剣崎と葉村が訪問。朱鷺野の部屋との違いは壁掛けのアナログ時計。ガラスの覆いなし。
・十色祖父のノートを入手。
・サキミは十色少女との血縁を否定。
・茎沢は、普通の高校生の枠を出ない程度の少年のようだ。
・十色少女の予知スケッチは、10分間以内に実現する。
・予知スケッチは俯瞰視点。
・十色少女はスケッチ中の様子を誰かに見られたかもしれないと語った。
・18:30に退室
時計は、これから時間トリックをやるという前振り?
超能力の枠決めの設定が語られつつあるのか。
スケッチ中の様子を見られるのは何の伏線?
【第三章 相互監視】
十色祖父の研究ノート
・助手の名前は岡町。
・4名の被験者の名前 宮野藤次郎(交霊術)、北上ハル(ダウジング)、槐寛吉、アマネサキミ(未来視)。
・祖父のフルネームは、十色勤。
11月29日 18:45 キッチン
・冷蔵庫が故障。
・サキミは夕食を抜くとのこと。
・神服は狩猟免許もち。散弾銃歴5年。真雁に来てすぐ取った。
・19時になっても王寺が来ない。
・皆の留守中に純は倉庫でネズミの干からびた死体を目撃。神服が案内。
・王寺がきたという言及がないが、王寺が連休を取っていることが語られた。
・純はウィジャボード(紙)を入手。
・純はトイレにたったが、王寺とともに帰ってきた。
・十色少女が、サキミの毒物摂取を予知した。
・サキミは、湯飲みの中の毒物を飲んでしまったと説明。
・サキミの自室と、部屋の前に赤いエリカが散らばっている。
・室内の花は、文机の上の花瓶に活けてあったものをサキミが倒したものらしい。
・廊下の花は、誰かが植え込みからもってきたようだ。
表紙で燃えている紙は、ウィジャボードか。
赤いエリカの花を散らしている理由は何か?花言葉は裏切り。
サキミと何等かの信頼関係があるのは神服と十色少女。
しかし、神服が犯人ならだれも来ていない時にサキミを殺害すればばれないのに、わざわざ人が来てから毒を盛るのは非合理だ。
サキミと十色少女の予知の方法がトリックと関係あるのでは?
サキミの予知法
①十色祖父の研究ノート
事前の祈祷で日時、場所指定し、その結果を夢見する。遠いほど身心負担増す。
②サキミ当人談
朝夜2時間ずつ3日~1週間、日時、場所、事件規模を指定して祈祷。その結果を夢見する。遠いほど身心負担増す。
十色少女の予知法
頭の中にパッと思い付き、それをスケッチするまで自分では止められない。
思い浮かぶのはミクロな色配置。エピソード記憶的ではなく、写真記憶的なものらしい。
絵は第三者視点。幽体離脱的な視点。予知可能なのは十分間以内。
サキミは、剣崎、葉村との面談時に湯飲みに口をつけている。
次に十色少女がサキミと面談。その後、神服が花を取り換えに入った。
11月29日 20:30
食堂で師々田親子、王寺、朱鷺野、剣崎、葉村、茎沢が夜明かし。
サキミの部屋では、サキミと神服。
十色少女は自室で夜を過ごすことになった。
それぞれの持ち場へ移動する前に夏のフェルト人形が消えた。
これって、すでに誰かが殺害されている?
剣崎比留子は、被害者が魔眼の匣へ誘い込まれた点を指摘した。
11月29日 21:30
互いのバックグラウンドを開示することになった。
11月29日 21:30~22:15
茎沢少年の話。関東在住。十色少女と知り合ったのは中一。
茎沢少年は、その後、15分間トイレにたっている。長い。
11月29日 22:15~22:50
王寺の話。1年前に転職、関西へ引っ越してきた。23:00まで離席。王寺は、タバコを吸いにいった。前髪が濡れている。
王寺は、服を脱ぐことを嫌がった。暗がりで朱鷺野と会って悲鳴。
去年、肝試しに行った4人の若者の最後の一人が王寺か?トラウマ?
交通事故の傷跡でもあるのか。
しかし、肝試しに行っただけで殺害されるか?
11月29日 22:50~23:20
朱鷺野の話。元好見集落の住民。父が亡くなり好見を出た。スナック勤務。赤いグッズは客のプレゼント。超能力研究のことは知っていた。23:25まで離席。
11月29日 23:20~23:40
純の話。師々田夫妻は数年前に離婚。おそらく鳥取在住。父方の祖母の葬式。名前は「えんじゅ」つまり槐。23:55まで巌雄と一緒に離席。
師々田巌雄の旧姓は、槐。これは半世紀前の班目機関の予知研究の被験者 槐寛吉の姓と同じ。
被験者か、その子孫が集められたのではないか?
師々田巌雄が、超能力を否定するのは親に対する反発か?
11月29日 23:55
神服が、受付のロッカーのカギが壊されており、散弾銃がないことを告げた。
十色少女が散弾銃で射殺されているのを発見。
壁の血痕からみて立った状態で射殺された。
おそらく犯人はドアを入ってすぐの所に立ち、防音のためドアを閉めて射殺した。
茎沢少年は、建物外へ飛び出していった。
ロッカーのカギは、倉庫の金切りばさみで破壊されていた。
十色少女の殺害現場の実況検分
死後2時間以内。
体温は残っている
弾は前から後ろへ抜けている。
銃は遠くに転がっており、自殺の線はなし。
食堂のドアから受付のドアは見える。
受付のロッカーの鍵を壊せば音が聞こえそうだ。
玄関側の窓から受付に入れば、見られずに受付に入れそう。
倉庫といえば、純が探検に入ったといっていた。干からびたネズミの死体があったと言った。
時間的に怪しいのは食堂に遅れてやってきた王寺。その間に受付に侵入して散弾銃を取った?
前髪が濡れているのは、飛び散った血痕を洗ったのか?
朱鷺野は、23:25の時点でロッカーの鍵は壊されていなかったと語った。
すると、師々田親子と神服しか犯人候補がいない。
偽証もしくは見間違いか?
そもそもサキミに毒を盛ったトリックは何か?
読み返すと、師々田純が怪しい気がしてきた。まさか小学校低学年の子が犯人?
魔眼の匣到着時にトイレで滞在を引っ張り、倉庫内に入ったことがあり、建物周囲をみまわったことがあり、十色少女が疑いなく部屋に招き入れる人物は純である。
十色勤の研究ノート
・サキミは、十色勤がネズミ退治しようとするのを必死で止めた。また、ネズミ。
・サキミは、クモやトカゲを友人として扱っていた。
・サキミの予言は確定。十色少女の予知は変更可能だった。
・予言確定が原因で研究は中止された。
十色少女が殺害されたのは、葉村殺害を防止したことから、計画の邪魔になったから?
サキミは殺鼠剤を使うことに反対しそうなものだが、神服は殺鼠剤があると言っていた。
この齟齬はなんだ?
11月30日 7:00
・剣崎が行方不明、裏口から夜間に外出したらしい。
・ストールが裏口近くに落ちていた。多分表紙のストールだろう。
・靴跡の終着点は滝の前。
・片側の靴だけ滝の前に落ちていた。
皆が滝の前に来た時を見計らって、こっそり戻ったとかはありえないか?
剣崎と葉村の計略だった。
剣崎は、犯人は二人組以上だと主張した。
すると、師々田親子、王寺、朱鷺野しか候補がいない。
トイレに立った順番は、王寺、朱鷺野、師々田親子。
もし共謀なら、朱鷺野は確定、あとは王寺か師々田親子のいずれかとなる。
いや、待て。神服の可能性はどうだ。
朱鷺野が最初の夜に換気口でガサガサ音がしたといっていたが、それは何かを詰めていた音ではないか?
朱鷺野を殺そうとする動機は女性にしかない。すると、残りは神服かサキミだ。
サキミは不治の病らしいが、そこまで生き残ろうとする動機があるか?
その主旨からすると神服が怪しい。
11月30日 9:00
十色少女殺害現場の再捜査
・葉村は、朱鷺野と会った。
・時計を壊すために部屋を荒らしたらしい。
・朱鷺野は神服が怪しいと言った。
・朱鷺野はエリカの花言葉を葉村に教えた。
神服は確かに怪しいがミスリードか?それとも男性犯人を捜すのがメインなのか?
神服が好見集落の住民と共謀して橋を落とした可能性はある。
11月30日 ??:??
倉庫の捜査
・朱鷺野のネイルチップと亜ヒ酸を発見
朱鷺野はサキミを殺そうとし、神服は十色少女を殺した?
しかし、倉庫に都合よく毒物があるとしっているのは編ではないか?
たしか、29日の朝に朱鷺野は殺鼠剤を借りるといっていたのではないか?
そのときに、神服と朱鷺野が一緒に倉庫に入って、その時にネイルチップが落ちた?
であるなら、神服の可能性がサキミ殺害未遂の実行犯の可能性もある。
朝食時に神服は「後で取りに行く」と言った。朱鷺野が既に受け取り済なら、もう一度倉庫に入る理由がない。
十色勤の研究メモ
・サキミとの間に子供ができた。
・十色勤は、子供だけ連れて、サキミを残して研究所を立ち去った。
つまり、十色勤はサキミを裏切ったということになる。
エリカの花言葉。裏切り。残された恨みが十色少女に降りかかった?
すると実行犯はサキミとなるが、サキミが月刊アトランティスなどという雑誌を知っていたとは考えにくい。
やはり神服が怪しい?
11月30日 ??:??
葉村の部屋
・剣崎は、倉庫に他にも何かあると示唆した。
・亜ヒ酸は無味無臭、サキミ殺害の毒物と異なる。
・朱鷺野のネイルチップは29日夕食時にはなかった。
・時計が壊れても針をずらせばよいだけ。
・十色少女の部屋でも見落としがあると剣崎は言った。
・剣崎は、師々田の旧姓が槐であり、かつての被験者と同じだと語った。
弾道は、十色少女の胸部に向かって斜め下から入り、上へ抜けた。
つまり、十色少女よりかなり背の低いものが銃を使った。その条件に合うのはやはり師々田純だ。
剣崎はこの点を見落としているといっているのではないか?なにか純の犯行であることを示すものが落ちている?
わざわざ朱鷺野がネイルチップをなくしたと葉村に告げるのはおかしい。
11月30日 12:00ごろ
サキミとの面談
・サキミは十色少女が孫だと知っていた。
・十色少女に対する殺意はうかがえない。
・十色勤に対する恨みは感じられない。
・神服はサキミの予言に救われたレアケース。
・サキミの部屋の奥で謎の薬を発見。
11月30日 ??:??
師々田巌雄との会話
・旧姓は槐
・父親 槐寛吉とはかなり前に縁を切っている
・槐寛吉夫妻のことは詐欺師だといっている。
・純が5歳のときに、剣崎似のかわいがってくれてた人がひき逃げに会った
・師々田は、王寺がタトゥーを入れていることを目撃したと語った
・オカルトっぽいタトゥー
・純は別れ際に「剣崎だけは助けたい」と言った
王寺も超能力実験の関係者?
しかし、十色少女殺害は純が下手人でないか?
もし、純が犯人なら、剣崎を救う目的で女性の殺害を企てる可能性がある
11月30日 15:00
・白装束の朱鷺野が1階が、地下階の自室で死亡。
・足音は水音。濡れた雑巾を踏んだ。
・木の棒で武装していた。
・靴下が片方だけ。スリッパはある。靴はどこへ行った?
・皆が朱鷺野の部屋に集まった隙に純は屋外へ出ていった。
・そこで純が茎沢少年の遺体を発見。傷跡は熊に襲われた模様。
11月30日 ??:??
朱鷺野の死亡現場の捜査
・頭の血は黒く乾きかけ。
・白装束は猫背のように見えた。
師々田と王寺の部屋の捜査
・王寺の部屋はベッドがない以外特になし。
・師々田の部屋にはウィジャーボードがあった。
つまり朱鷺野は1階ですでに頭を殴られており、逃げていた?
いや、白装束が2着あったのか?
葉村が見たのは、朱鷺野に見せかけた偽装?
猫背というのは、やはり純を指しているようではあるが、どうもしつこくてあからさまに書いている気がしてきた。
しかし、仮に白装束が純であったとして足跡の偽装をどうやってやる?
元実験室に隠れて、入れ違いに部屋に帰る?
いや、1階に上がる前に予め、足跡をつけておけば可能だ。
小学校低学年にしては知恵が回りすぎないか?しかも、師々田巌雄の監視があるだろう。
これで第4章が終わり。次は解決編。
犯人の最右翼は、純と神服の組み合わせ。純は剣崎を生き残らせる、神服は予言実現のため。
十色少女殺害の下手人は純、朱鷺野殺害の下手人は神服。
いやでも、どうもすっきりしないなぁ。特に神服犯人説。
両方とも純の犯行と見たほうがすっきりする。
わからん。
【第五章 凶器を前に】
食堂での犯人当て
・純以外が集合
・以下は書かない。
私の推理は完全に外れた。大外れだった。
確かにストーリーの筋は通っている。
これが叙述トリックというやつだろうか。
確かに意図的に語られていない。
【終章 探偵の予言】
・書かない
【読後感】
結構面白かった。
自分の推理が、まったく的外れになってしまったのは残念だった。
十色少女の殺害トリックが見破れたら、そこから芋づる式に推理できる可能性があっただろうか。
解決編を結論側からみると筋が通っているが、時系列を順に追って消去法で見ていくと難しい。
終わりの二章は、ドラマとして盛り上がりがあった。
推理物の解答としては、スッキリ感ややられた感を感じなかった。
ところどころで、推理の手がかりそのものには気づいていたが、ミスリードに引っ掛かったといえるかもしれない。
表紙の燃えている紙が登場しなかった気がする。
疑問
神服がエリカを飾っていたのは単に無知なだけ?
それともサキミが、半世紀も閉じこもっているにもかかわらずエリカの花言葉など知って、わざと飾らせているのか?
サキミは、真雁から外へ出て本屋へ外出するわけでもないのにどうやって月刊アトランティスを知ったのか?
王寺はどこから金切りばさみを入手した?
王寺の前髪の濡れはなんだったんだ?
以上