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成長痛が激しすぎて泣いちゃいそうだ

作者: ふわふわり 内臓物

骨が、伸びた。

つまり、背が伸びたということだった。


みしみし音を立てるみたいにぼくの体は急成長してゆく。

中庭の遮光ネットでアサガオが蔓を伸ばして、斜めな空中を這いずり回っていた。


でもね、僕が育っているのは体だけじゃない。

脳が、育っている。

昨日見たものと、今日見たもの。同じ学校からの景色。全く違く見える。

どれが本物なの?と思ったら、一番新しいぼくの脳が「これが正しい」って言う。


小さい頃に好きだった科学館の小ささ。

ぼくはそんな、2メートルとか大きくなったわけじゃないのになんでそんなに小ぢんまりしたんだい?蜂の巣の模型。

小さくなっただけじゃない、光が、消えている。

世界の端にブレが見えた。


いったいぼくは何を見ていた?きっと明日のぼくは、きょうのぼくを見下ろして、きょう僕が見たものをカンペキに捌き、暴き、缶の中に入れる。なんでもないものを。


なんでもないものに、苦しんでいた過去のぼくは、いったいなんなんだい?

明日のぼくは神様で

昨日の僕たちは死体なんだ

理解ができなかった、この世の解像が出来なかった者らは骨や肉のだるーんとした機構になって、ぼくのうしろに列をなして転がっていた。


ぼくはこうやって悲苦しみつづける。ようだ。

脳が、脳がね、。育つ事は、良いことだけどね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 日常の中で何気なく感じるものに、懐かしい儚さ、ノスタルジーを感じる短編でした。 “いったいぼくは何を見ていた?きっと明日のぼくは、きょうのぼくを見下ろして、きょう僕が見たものをカンペキに捌…
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