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リベリオン  作者: すこやか
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第7話〜初任務①〜

「ようこそ。ここが〈正義団(せいぎだん)〉の本部です。ウラバ様とウリ様は新規団員ですね?

これから共に教祖ジャスト様を崇め、善行に勤めましょう」

白装束の男がそう言う。

下手な宗教の格好だ。

「はい」「押忍」

おれとスチル先輩は〈正義団〉に入団している真っ最中だ。


一昨日のことである。


広間に全員集合している。

任務についての会議だそうだ。

「アベルは俺がつきっきりで特訓した。

簡単にはやられない。

俺も任務に行かなきゃいけない。

よって次の任務にはアベルも参加だ」

初めにクロウさんがそう言った。

「はい!」

やっと参加できる。頑張らねば。

「任務の内容を説明する

①俺、シルク、バトンは南の国に遠征している〈金剛石〉の調査だ。

国王は今回の南の国との戦争は本気らしい。〈金剛石〉を全員派遣している。

おかげさまでやっと〈金剛石〉の調査ができる。


②カイジュの隣都市、海の都市シーリアスにちょっと前にできた新興宗教〈正義団〉の壊滅だ。

これにはスチル、マトリ、アベルで当たってもらう」

「「「「「はい!(押忍!)」」」」」


「それでは任務についての少し付け加えます。

まず、なぜ〈正義団〉が壊滅対象になってるのかという話なんですが、簡単に言うと『国から〈正義団〉を通して麻薬を売り利益を得ている』からです。

〈正義団〉は麻薬を近隣で売ったり信者に麻薬と言わずに買わせたりしています」

ひどい・・・国がそんなことをしたらダメだろう。

国に苦しめられて救いを求めて入信したら麻薬を買わされ国が潤う。

全くもって救いがない。

「悪い奴は大好きだぜ。ぶっ殺しても文句言われないからな!」

大変怒っていらっしゃる。

でもみんな怒っている。

「これは〈耳〉からの情報です。国と悪事を働いているのは『教祖ジャスト』の1人です。

よって彼の首をとれば任務完了です。

私はシーリアスの都市で聞き込みをします。

スチルとアベル君は〈正義団〉に入団して教祖ジャストの首を狙ってください。

殺せるならば殺していいです。

私は確実に殺せる方法を調べます」

「いいのか?俺たちがすぐ殺しちまうぞ?」

「それならそれでいいんです。

アベル君。今回は人を殺します。覚悟はできていますか?」

「はい。大丈夫です。

そんな奴ぶっ殺してやりますよ!」

「おお!良い意気じゃねえか!ぶっ殺してやろうぜ!」

「押忍!」




「次は瞑想の時間です。この部屋で瞑想を行ってください」

少し暗い部屋に通された。ロウソクが一本だけ灯っている。雰囲気重視のようだ。

「私が呼びに来るまで瞑想しててください」


白装束の男が去っていった。

「・・・おいアベル」

「押忍」

「今回は戦闘になる。俺の魔法を教えておく。


俺の生まれ持った魔法は〈鉄化(てつか)〉だ。

体を鉄に変える。鉄を作り出すわけじゃないから質量は変化するが体から切り離すことはできない。

感覚は残るが自分で動かせない。

質量の変化は大きい。70キロの俺の体でもそれ以上の鉄を再現できる。

形も自由自在だ。


二つ目に得た魔法は〈操鎖(そうさ)〉だ。

鎖を重さを無視して動かすことができる。

普通の人だったらそれだけなんだが、俺の場合は違った。


しかし俺の〈鉄化〉で鎖を形作り〈操鎖〉操る。

それぞれの魔法の性質がうまい具合に合わさって、因果が噛み合って『鎖に変えた体を操作できる魔法』のようになった。


鎖を体の一部のように動かせるようになった。

質量も関係ない。

かなりの精度だ。

感覚は残っているから痛みとかは感じるけどな」

因果が噛み合うってそんなことあるんだな。

「こんな感じだ。

〈チェーン1〉」

スチル先輩の両手から鎖が出てきて伸びている。

どんどん伸びる。

しかも蛇のように動いている。

振り回すだけでも強いだろう。


「お前の入隊理由を聞いた。

俺の入隊理由は・・・




俺は生まれがスラム街だった。

生まれた頃から国はこの調子で悪い仲間と連んでその日暮らしをしていた。

今から4年前、俺が18歳の頃、仲間に殺されかけた。

商人に俺の鉄は純度100%で価値が高いやらなんやら言われたらしく、体がバラバラにされかけた。

金が欲しかったんだろう。俺だって仲間の立場だったらそうしたかもしれない。

俺たちに話を持ってきた商人を殺す任務で来たクロウさんが俺を助けてくれた。

俺は命拾いした。

さらには仲間たちも〈爪〉に入れてくれた。

今〈足〉で活動している。

俺は入隊の時に得た魔法が強いのもあったが、恩を感じて〈爪〉に入隊した。


俺の入隊理由は100%恩返しだ。

でも十分命をかけられる。


絶対にこの任務、成功させるぞ!」

「おす!」

「まずは教祖ジャストに近づくとからだ!」




結局この日、教祖ジャストは見ることすら出来なかった。




夜、シーリアスにある居酒屋の前にいる。

マトリさんと店の前で合流した。

「晩飯を食べるんですか?」

「違います。ついてきてください」

店の横の狭い通路を通る。そのままついていくと下に降る階段があった。地下に行くのだろうか。

その先にある扉を開けると〈爪〉隊舎の広間ぐらいの部屋があった。

「この上にある居酒屋は〈耳〉が経営しています。

情報を集めるためのものです。

その地下を借りて〈梟〉関係者の隠しアジトにしています」

おおお!秘密基地みたいでかっこいい!

居酒屋で情報収集してその地下にアジト。

実に効率的だ。

「いろいろなところにあるんだよ。遠征の時に使うと良い」

「それでは今日の報告をしましょう」


「今日俺たちは、瞑想やら座学やら変な修行ばっかで教祖ジャストはみることすら出来なかった。

その様子だと対面できるのはもっと先だな」

「なるほど、そのまま修行に励んでください。

ついでに瞑想で性格も直してきてください」

「んだとオラァ?」

マトリさんがナチュラルに煽る。

「私の方は〈耳〉から情報を聞きました。

どうやら教祖ジャストは複数の魔法を持っているようです」

「お2人みたいに魔法を二つ持っているってことですか?」

「・・・いや・・・そうではなく、確認できただけでも約50個だそうです。しかもまだまだ使えそうな様子だとのこと」

「「は?」」

なんだそりゃ?

子供が考えそう設定だな。

「だとしたらおかしいだろ。

そんなすげえ力があるのにこんな教祖とかセコいことしてるのは」

「そこなんです。何かあるとまた間違いないでしょう。私は調査を続けます」

「ケッ、お前の方も全然情報が集まってねえじゃないか」

「なんですか?君よりは働いているでしょう」

「お前の情報も〈耳〉からのだけだろ?

働いていないのはお前もだろ?」

「「・・・」」

「アベル君!上の店でご飯を食べましょう!」

「アベル!シーリアスの温泉は海底火山での源泉だ!

銭湯に行くぞ!」

「アベル君は私とご飯を食べるんです」

「アベルは俺と裸の付き合いをするんだ!」

「「アベル(君)はどっちだ(です)?!」」

「えええ・・・」


こんな調子で大丈夫だろうか?

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