第4話〜入隊試験〜
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「いまから〈爪〉入隊試験を行います」
「はい!」
ここは、カイジュの都市から南に行ったところにある〈爪〉の隊舎のさらに南の深い森の中。
とんでもないとこまで来たな。午前中なのに薄暗い。
おまけに深い霧まで漂っている。
不気味だ。カイジュにこんな場所があったのか。
「あのー・・・試験って何をするんですか?」
マトリさんだっけ。とんでもなく移動が早い。
小枝を切るときのナイフ捌きとか、どこから出したのかわからないけどロープを使った移動とかがプロだ。
なんとか追いついているけれど、マトリさんは息すら乱れていない。
おまけにこっちを見向きもしない。
泣いちゃうぞ。
「君には食料調達も兼ねて魔獣討伐をしてもらいます」
「ここでいいでしょう」
少し開けた場所に来た。
相変わらず霧が濃い。
「魔獣なんでいませんよ?」
「今から呼びます」
と、マトリさんは上空に何か投げた。
ドン!
!手榴弾だ!
あんなもの持ってたか?
「私の生まれ持った魔法は〈手品〉、手のひらにあるものと視界にあるものとを入れ替えます。
手のひらに乗る大きさ限定です。
二つ目に得た魔法は〈千里眼〉、目を閉じると遠くの場所が見えます。この二つの魔法を使って手元に私の倉庫のものを持ってきます」
なるほど。さっきのナイフやロープはそうやって手元に持ってきたのか。
すごい魔法の組み合わせだな!
小石があるだけで手元に手榴弾とか持ってかれるじゃん!
「すごい魔法ですね!羨ましいです!」
「・・・ぼーっとしないでください。魔獣が来ますよ」
木々の間からイノシシの魔獣と見られるものが出てきた。
俺が知ってるやつよりでかい!?
そういえば、バトンさんが言ってた。
「魔獣ってのはなぁ、悪魔が体に宿ったせいか体がでかい。通常の5倍はある。育ったものだと10倍ある。
気性も荒くなって人間や他の動物を襲う。
魔法を使う奴もいるぞ!」
「ブゴオオオオオオオオオオ!」
「うわっと!」
イノシシ野郎がこっちに突っ込んできた。
避けることはできたけど当たったら大怪我だ。
治るけれども。
「ブゴッブゴッフゴォォオオオオ!」
地面が揺れる。
魔法だ!こいつ魔法を使う!
イノシシ野郎のくせに俺より強い魔法持ってんじゃねえよ!
泣いちゃうぞ!
「ブゴブゴフゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!」
地面を揺らしながらの突進!エグいな!
(ずいぶん戦い慣れしていますね・・・魔法なしであそこまで立ち回れるのは強いです。バトンさんが〈爪〉に連れてくるだけはあります。場慣れも早い。もう地震に慣れています。これなら〈爪〉で活動するのも問題ないでしょう。強さだけなら。)
「アベル君!」
「はい!」
「そのまま聞いてください!」
「今ですか?!」
木の上で眺めていると思ったらどんなタイミングだよ!
こっちは食われそうになっているんですけどおおおお!
「ブガガガガガガ!」
やばいやばい!食べられちゃうよ!
「君が〈梟〉に入った理由は聞きました!弟君を連れ戻すんでしょう?全力で協力します!
でも君が戦う必要はない!
〈爪〉にいたら人もたくさん殺すでしょう。
弟君を見つけたとして、手遅れだったらどうします?
無事だったとして、人を殺したせいで払いのけられたら?
君の努力は報われるかわからない!
それでも〈爪〉に入ると言うのですか?」
「・・・ずいぶん言ってくれるじゃあないですか。
・・・俺だって何も考えずに〈爪〉に入ろうなんて思っていませんよ。
今も今日の夜のことを悔しく思います。弟がどうなっているか分からずに図だと不安です。
弟の・・・ベゼルのための努力が報われるかどうかなんて分かりません。
でも、報われるには努力しかないんですよ!」
「ブゴオオオオオオ!」
ブチチチチチ!
(腕を・・・食いちぎらせた?)
「オラァ!」
左腕はくれてやるよイノシシ野郎!
そのまま右手で剣を握り、手を食いちぎって頭を低くしたイノシシ野郎の左目から右目にかけて剣を振る。
「ブギャアアアアアアアアア!」
これでも目は見えないだろうよ!
ザシュ
横に回り込み首を切る。
「〜〜〜〜〜〜!」
イノシシ野郎は倒れた。
ちなみに左腕はすっかり治っている。
これぞ〈再生〉の戦い方。
もちろん痛かったよ?
泣いちゃうぞ?
「お疲れ様です。君の覚悟はよく分かりました。
試験は合格です!」
「マトリさん・・・」
「「「「ウキャアアアアアア!!!!」」」」
「「?!」」
あれは・・・猿の群れ?
いやでかい!猿の魔獣の群れだ!
むちゃくちゃいる!すごい厄介な奴だ!討伐訓練でも逃げろって言われているんだった!
「マトリさん!逃げましょう!」
「さっきの地震で起きちゃったんでしょう。
アベル君、猿って美味しいですか?」
「そうですね!苦味の中にある渋みがとってもまずいです!人の食べるもんじゃありません!」
おれは何を言ってるんだ。
焦りで、軽くパニックになる。
まずい!あの足の速さはやばい!逃げきれない!
あ、終わtー
ガガガガガガガガガ!
?!
猿が全員止まった・・・
死んだ?
「「「「ウギャアアァァァアァァァア!」」」」
ちがう!生きてる!足を怪我している!
「新しく〈梟〉に入った人が魔法を得るときの生贄になってもらいましょう」
マトリさんの両手には銃があった。
今の一瞬で全員の足を撃ち抜いたのか?!
どんな技術だよ!
〈爪〉パネぇな・・・
「猿は〈足〉に任せてイノシシは隊舎に持って帰りましょうか」
「はい・・・」
「ハハハ!そんなことがあったのか!」
「〈爪〉ってすごいですね・・・自分も頑張ります!」
「アベル・・・実は〈爪〉に入隊試験なんてないんだ」
クロウさんが口を開く。
身長が高いせいで怖い。
てか、入隊試験がない?
「そうなんですか?!」
「ああ、マトリはお前の覚悟を聞きたかったんだろう。
前線部隊の〈爪〉では魔法が強くても覚悟が中途半端な奴から死んでいく。
魔法が弱いお前が心配だったんだろう」
「マトリは厳しく見えるけど実は優しいからなぁ。
ちょっと不器用だけど」
そうか・・・マトリさん・・・
マトリさんは台所でイノシシを解体してた。
いやナイフ捌きすごいな!
「マトリさん!」
「アベル君!どうしたんですか?」
「解体、手伝いますよ?」
「そうですか。じゃあついでに料理も一緒にやりましょう」
「はい!」
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