表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ

「---心臓をお一つくださいませんか?ーーー」


執務室の中で、赤い頭巾の少女は机にもたれかかっている老年男性に問いかける。

「な、何を...いっている」

男は言葉を発することもままならない程、体が恐怖で震えていた。無理もない、

無邪気な表情をした少女の手には、赤い液体が付着したステンレス製のキッチンナイフが握られているし、

少女の足元には、血で染まった死体が転がっているのだから。

おそらくこの状況で、笑顔を保てる人間はいないだろう。


再び少女は問う。

「心臓をください。無ければ肝臓でもいいですよ」

狂気じみた問とは裏腹に、優しい声で話す少女に男は何故かこれまで以上に強い恐怖を感じ、

思わず近くにあったルームランプで思い切り少女を殴りつけた。

「はぁ、はぁ、はぁ、し、死んだか?」

男は荒くなった息を落ち着けながら、倒れた少女の方へ行こうとして、何かグニャっとしたものを踏んずけてしまった。

「ん?何だ..」

その踏んづけた何かを拾い上げようとして...絶句する。

「何..だ...これ..」

それは、心臓だった。

紛れもなく本物の。

よく見てみると、他にも床にたくさん心臓が散らばっている。

すぐに、その場を離れようとしたが

”突然、自分の腹部が切り裂かれた”

「な..が、ああああああああ」

体に焼けるような激痛が走る、

「な....ぜ..」

床に倒れた血塗れの男を見下ろすかのように、少女はそこに立っていた。

少女は瀕死の男を優しい笑顔で見下ろし言う

「ああ...また、やってしまった.. でも、”あなたが私を食べようと”するから悪いんですよ?」

少女はゆっくりと男の方へ近づき、

「代償はちゃんと、払ってもらわないと..ね?」

少女のその手に握られている武器が、ナイフから大きなハサミへと変わっている事に気付いた時には

もう、遅い。


ジョキリと、遠のく自分の意識の最奥で聞こえた音と共に、男の心臓が奪われた。












   














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ