飲食店の中で
(⚠筆者は区切りが下手なのでかなり短くなってしまいましたが、ご了承ください)
ひたすら歩いて辿り着いたのは、市街地からやや離れたレストラン風の飲食店だった。飲食店と言っても騒がしい感じはなく、むしろ高級感さえも漂わせているように思われる。建物は大きいのにどこか落ち着いた感じも、そういうものを想起させた。
建太郎と遙香は少し洒落た店内に入ると、円形の小テーブルに案内された。
「用件がございましたら、こちらのインターフォンでお知らせください」
そう言って店員が去ったのを見てからも、遙香はずっと黙り続けていた。さすがに十秒以上も経つと建太郎が注文の話を振ったが、このときはどういうわけか空腹を覚えなかった。建太郎にメニュー一覧表を見せてもらったが、特に食べたいものもなかった。しばらく悩んだふりをしながら、遙香は自分の心を探った。分かっている。自分は建太郎にある感情を抱いているのだ。
少しすると、建太郎が言った。
「何を緊張しているんだい? 僕たちは学生時代からの付き合いじゃないか。そんな竦む必要はないんだよ」
何かを悟って、遙香は頷いた。
「・・・はい」
「この料理、メッチャ美味しいですわ。建太郎さんはよくここに来ますの?」
「ああ、特に一年前ぐらいから頻繁に来てたな。もう家には誰もいないから、怒られることもないしね」
遙香はどきりとした。胸が無暗に高鳴る。(そうだ・・・建太郎さんは清美さんと離婚してたんだ・・・ということは・・・ということは・・・ドキドキバクバク)
いよいよその時が来たのだ。遙香は深呼吸をし、意を決して、言った。
「あ、あの、建太郎さん!」
「何だい?」
「わ、私と、結婚してください!」
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