駆け巡る衝動。
季節は真夏。
照りつける太陽からは逃れられない。
汗を流すも息を切らすも立ち止まらず走り抜けていった。
少し前のこと。
予想だにしていなかった告白。
つい断ってしまったが果たして正解だったのか。
寧ろ、薄々気付いてはいた。
いつかは答えなくてはと思いつつ遠回しにしてきたツケだろう。
ただの友達でいればと。
幼馴染みとしてあればと。
心が苦しい。
あんなこと忘れてしまいたい。
行き違う群衆の隙間をぬって必死に叫び続けた。
好きってなんだよ、と。
多分、自分は幼いんだと思う。
いつまでたっても子供なんだと。
お母さん。
教えてよ。
どうしてお父さんを好きになったの?
お父さん。
教えてよ。
どうしてお母さんを好きになったの?
アタシはまだ子供。
恋の一角すら意味がわからないんだから。
いくら走り抜けても鼓動が鳴り止まない。
ようやく足を止めた先に見えた夕焼けが嘲笑しているかのよう。
大の字に寝転ぶ私は涙を溢し芝生と一体化した。
どこか優しい風に委ねながら。
これが「初恋」なのかなぁ。
嬉し涙か、成長した証しなのか。
夕闇迫る川縁で、頬を真っ赤に染めながら。