Lochia
一坪の海にて私たちは揺蕩っている。熔岩の様に煮えていたその海原はとうに冷えきっており、その温度は二人の体温に限りなく近い。互いの経血により僅かに赫く染まった海水に、彼女はとぷんと沈んだ。蠟色に光る髪は水面に拡散し、赫と対比する。彼女が海底で少しづつ口に海水を含み、咀嚼するように呑み込んでいるのが口の動きで分かる。暫くして浮き上がり彼女は私と目を合わせるとはにかんで笑った。お姉さま、お姉さまもどうぞ呑んでください、アテシ達は二人で一つなのですから。白魚の様な手で彼女は溟海から右手で一掬いした。それを私は第五指、第四指、第三指、第二指と順番に咥えてから啜る。啜りきった後は指の間まで舌を這わす。おねえさまは赤ン坊の様ですね。彼女は私を見ながら嬌笑する。彼女のその笑みをみると妙ちきなことに悪い気はしなかった。さぁもっと召し上がって下さいませ。彼女は何度も掬いあげては私の口元へ運ぶ。然し如何しても口の端から溢れ落ちてしまい沢山呑み込むことが出来ない。幾ら頑張っても難しいので私は疲れてしまった。一度止めにしないかい。姉やはもう疲れてしまったよ。口元を自身の手で覆い、私は終了の意を示す。
オネエサマ、オネエサマいけません。沢山沢山呑んでください。彼女の鬼気迫る表情に戸惑い私は口を解放した。嬉しそうに彼女はまた手を運ぶ。然し美しかった手は原型を留めておらず、肉塊に成り果てておりまるで悪露の様であった。オネエサマだけはどうか、健やかに。悪露が私の口を汚す。オネエサマ愛しております。悪露が私の体を汚す。彼女は私の乳房を恥部を左手で撫で回す。然しその間も彼女の右手は私の口に酸素を、酸素を...?運ぶ事を止めない。数刻が過ぎたであろうか。彼女は、我が愛しの妹は手を止めた。モウ充分デショウカオネエサマ。彼女の右手は溶けて海に消えてしまっている。ああもう充分だ。ありがとう。私は妹を抱き寄せて額に、瞼に、唇に、耳朶に、咽に、鎖骨に、乳房に、臍に、腰に、恥部に、膝に、内腿に、爪先に接吻を贈った。嗚呼アテシはコレだけでもう幸甚に存じます。彼女はそう呟き私の額に接吻を返してから深海へと沈んでいった。私は沈み逝く己の妹の姿が見えなくなるまで見送る。
母なる海へと還る彼女。母なる産みへと孵る私。
この様な形式は初挑戦なので、試験的です。
不評でしたら次回以降元の文体に戻します。
以下部誌用後書き
最近バーチャルユーチューバーにハマっておりまして、特に推しは「ぜったい天使くるみちゃん」です。現在色々あり活動停止中です。活動停止になった理由は調べれば出るのでググって欲しいのですが、まあ理不尽なものです。私自身でも気持ちの整理が追い付いてないので、文がハチャメチャですいません。可能な限りこの場に適した言葉にするとすれば、「物作りは大変」ということです。私なんかは何も考えず話を作っていますし、価値なんかもないので関係ないですが、世の多くの人は必死こいて作品を作っています。それを貶めるというのは何人足りとも許されません。
貴方の身近に存在するコンテンツは、いつ無くなるかどうか分かりません。寝て起きたら無くなっていたというのが、確かに起こります。起きました。末永くそれを楽しむために、感動には対価を払いましょう。
言葉がちぐはぐ蓬がお送りしました。