一話 悪の官僚首になる
日が沈み始める時間帯の霧の立ち込める古びた街。
工業品を輸出することで経済が成り立っている海沿いにある小さな町カルボン、その小さな宿屋の一室
アロンソ・オスロは手紙を書いていた。
「拝啓、首になった途端に縁を切りやがった領主様元気にしておられるでしょうか?
職がないので何かコネくれないとお家の名前で恥さらすので覚悟しておいてください…っと」
アロンソ・オスロは首になったクソ役人である。
徴税士官とかいう楽で儲かりそうな仕事だと思っていたら職務怠慢で首になったのだ。
なので元クソ役人である。訂正する。
「ヤベェよ…仕事ねぇよ…死ぬ」
そんな元クソ役人は焦っていた。具体的には職がないので生物的に死にそうなのだ。
社会的には徴税士官首+実家に縁を切られたでもう死んでいる。
「仕方がない。適当なカフェで楽で稼げそうな仕事ないか聞いてみるか…」
もうすぐ二重に死ぬアロンソは真面目に(本人視点)職探しをしていた。
アロンソ・オスロは空気の読めないクソ役人である。
与えられた仕事は地方領主への徴税官。強引でも取って王様にゴマをするか、少なく取って領主にゴマをするかしてどちらかの庇護を得ないと社会的に死ぬのだ。
が、アロンソは空気の読めない仕事を適当にするクソ役人。
与えられた或いは集めた資料通りに税金を取った結果、中途半端に徴税したため両方から嫌われるというある種の偉業をなしとげたのだ。
結果、
「きちんと売上報告しないと王様に目をつけられるが、ここに来る連中はヒャッハーしかできないせいで多めに課税されるぜ…
かと言って少なく報告すればマジで殺されかねんし…」
その出会いは運命だった。
アロンソ・オスロ
ぐだぐだに仕事してたせいで首切られた公務員。一応主人公
実家の無駄に長い歴史と最低限の職務のおかげで首だけで済んだが、実質貴族的には死刑も同然。
婚約者から縁を切られた模様。哀れ。
最低限の職務経験と無駄な知識量だけが武器。なお、前職のせいでコネない模様。
この時代で賄賂や美人局に左右されない地味に凄い。ただ、空気読めない扱いにくい仕事しねぇで首。弟はあっさり靡きそうで若干不安。自分の心配しろ
地名オスロ
大きな川二本挟まれた平地。オリーブっぽいものが名産。
3000年前から人が住んでいたと言われる。温暖な田園地帯。
オスロ家は結構長い歴史を誇る家だが、歴代の当主がやる気ないせいでそんなに偉くない。というか下っ端。
弟が以外と野心家だが、あんまり空気読めないのでお家取りつぶしの可能性大。
どうでもいい。