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桜の花とすみれ月  作者: 小波漣
序章:プロローグ
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プロローグ

────少しだけ、ほんの少しだけ強い風が木々の間を吹き抜けていった。


 風は、その身体に薄桃色の花びらを乗せ、また次の街へと旅立っていく。


 衣食住や交通には困らない程度の利便性と、田舎ならではの空気の良さを兼ね備えた、言ってしまえばTHE・ベッドタウンといった様相を見せるとある街のとある高校。


 敷地の周りをぐるりと取り囲む桜の木々は、今日がこの学校の入学式であるという事実をこれでもかと主張しているかのような綺麗な満開。辺り一面は桜色に染まり、春の暖かい空気と相まって、これから何かいい事が起こるような、そのような気を感じさせる気持ちの良い空間がそこに在った。


「今日から高校生か……。」


 そこに一人の少年が立っていた。その顔つきにはどこか幼さも残っていて、しかし体つきはもう大人のそれと同じものだ。そんな曖昧な特性の共存する身体を真新しい制服で包み込み、何か緊張を孕んだ表情をもってそこに佇んでいた。


……そう俺は今日から高校生。

 花も恥じらう……と、これは違う。とにかく、今日から高校生なのだ。鼻先に落ちてきた花びらを払い、そして下らない事を考えつつ、これから過ごすであろう輝かしい高校生活に思いを馳せる。


 高校生といえば何が思い浮かばれるだろうか。

 中学校より勉強が難しい……当たり前と言えば当たり前だし、漠然としているためこれはあまり考えたくない。

 では屋上で過ごす昼休み!放課後には友達と買い食い!……捨てがたい選択肢だ。むしろそういう高校生活を送っていきたいまである。


 華の高校生活……青春は良いものだろう。

 中学校の延長で高校でも同じクラブに所属し、今しか流せない汗や涙を流すのも良し、校則では禁止されているアルバイトをこっそり始め、アルバイトに費やす時間もまた良し。

 学校の図書館で借りた本の貸出カードに、いつも同じ男子の名前が書いてあって気になっちゃう!とか。あるいは夜の校舎の窓ガラスを割って回る!はたまた、学園祭で夜遅くまで前日準備で盛り上がるとか……まあ全て妄想に過ぎないのだが。


 しかしそういったものとは別に、高校生と言えば切っても切れないものがあるだろう。


……そう、恋愛だ。高校生活と恋愛は切っても切れない関係にある。と俺は数多の青春ドラマや少女漫画に教えられてきた。


 そもそも恋愛とは何か。とある説では子孫繁栄のための行為──セックスをするための偽りの感情と言われている。が、まだ性を知らない小学生、いやそれより小さい子供ですら恋愛感情は抱くものだ。本能から来るものと言われてしまえばそれまでではあるが、性欲より先に恋愛感情が来る子供に"偽りの感情"などという説は果たして当てはまるのだろうか?いや当てはまらないだろう。

 つまり、極めて個人的な意見ではあるが恋愛感情は純粋に、相手を好きだという気持ちから来るものである。と俺は言いたい。

 社会心理学的には、友情が強くなった状態であるとかいう立場もあるが、個人的には別の側面である、恋愛と友情は別物だという立場を推していきたい所存だ。……恋人になる為に友達というステップを踏まざるを得ない事は、この際置いておこう。気持ちは別物である。




 まあつまり何が言いたいかと言えば。



──────彼女が、欲しい。



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