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meeting and parting  作者: あらま
3/4

アバターと現実のギャップ

テスト期間も終了し、背伸びをしていると


「テストも終わったし、遊びに行く?いいよ!じゃ行こう!」


一人ノリ突っ込みとかする妙にテンションが高い優が話かけてきた。

なんだろう。ちょっとうざい。


「補修受ける前の最後の晩餐みたいな感じだね、きっと。」


帰り支度をしながら悟る風子。


「違うし!まだ補修って決まったわけじゃないし!・・・たぶん。」


あ、なんかしゅんって小さくなった。可愛い。


「ってそんなことよりまずなんか食べに行こ!お腹すいたし!」


すぐに復活する優って時々凄いと思う。


「そう言えばさー風子と佳織ってこないだのどうするか決めた?」


そう、ある日のこと。ゲーム内のチームを管理しているリーダーさんがこんなことをおっしゃったのです。


「オフ会をしましょう!」


ネットの先生である風子の説明によるとオフ会っていうのは、ネットで好きなものを共有するコミュニティに所属する人たちが実際に会ってご飯を食べたり、大人はお酒を飲んだりするらしい。要は実際に会って遊びましょうってこと。

確かに顔合わせしないネットの世界って、画面の向こう側の相手ってどんな顔してるんだろうって気になることはあったけど。実際に会おうって考えたことはなかったかも。

風子は少し考えた様子で


「行っても問題ないんじゃない?変な人いなさそうだし。」


変な人って言ったら優がと言い出したら話がこじれそうなのでそれ以上は考えないことにした。

その後、話はすいすい進み実際に会うのは来週の週末に。

連絡方法をどうするのかって話になった時に、今は携帯電話の番号やメールアドレスを知らなくてもSNSで直接メッセージが送れるのでそれでということに。

そして当日。何にも考えずに迎えたわけだけど。


「やっばい!どうしよ!緊張してきた!」


すっごいそわどわしてる風子。


「テレビで見たんだけど、抹茶ソフトって京都でしか売ってないのかな?」


いつも通りの優。

相変わらずこの人たちイメージと違うというか。うん。


「というか、そもそも貴方たちなんで私の家にいるんですかね。」


時刻は午前9時。はい。今さっき起きたらこの人たちいたんです。なんででしょうね。


「いつから来てたの?」


ベッドから起きてみると風子はパソコンいじってるし、優はまたこないだの続きの漫画読んでるし。自由すぎるでしょこの人たち。何言っても無駄だろうから着替えて準備しないと。


「着替えるからちょっと待ってて。」


「待ち合わせ場所ってあそこでいいんだよね?」


「ねーいくら探しても5巻ないんだけど?」


言葉のキャッチボールってなんだろう。


なんやかんやで待ち合わせ場所の渋谷へ出発。電車が渋谷に近づくにつれてだんだんと混雑していく。なんでこの人たちはそんなに渋谷という場所に行きたいのか。時々思う時があるけど、私も渋谷に向かってる側なわけであって。電車に時々乗ってくる派手な格好の人を目で追いつつそんなことを考えていると渋谷はもう目前だった。渋谷に到着すると待ち合わせ場所のハチ公前へ向かったのはいいとして、やっぱり人、人、人。待ち合わせしている人でいっぱい。この人たちの誰かがギルドのメンバーだとしても一度も会ったことい人をいきなり


「オフで会うのは初めてですね!こんにちは!」


とは言えないし。まずこの大人数の中からギルドの人たちをピンポイントで声かけるなんて不可能だし、出来たらそれこそエスパー。もし私が声を掛けられた側だとしてもさすがにそれは引く。オフ会がかなり突発的なもので何の計画性もなかったってのがこうなった一番の原因なんだけれど。当然こうなることも予想済みで到着したらSNSでメッセージを送ることになっていたので到着しましたと早速送信。送信してすぐにメッセージが返ってきた。


[私、今あなたの後ろにいるの]


振り返るとそこには風子が。


「わー!」


うん。ごめん。送る人間違えた。ノンリアクションでギルドの人たちにメッセージをしていると優が驚かせようと両手を上げた姿勢で固まってる。


「なにしてるの?」


「…こういうのってさ。」


「ん?」


「相手が驚いてくれないといつこのポーズ止めればいいのか分からなくなるよね。」


周りの人から多少怪訝な顔で優が見られてるのがちょっと面白い。


今回集まる面子は私たちを含めて全部で八人。みんなはもう到着してしかも合流しているらしい。そして人が多いからという理由で交番の前にしようということになり、三人で向かうとそこにはそれっぽい人たちが。緊張してなかったはずなのに、実際にたぶんあの人たちなんだろうなってのが分かるとこう。途端にあそこに行くべきか。行かざるべきかみたいな意味不明な選択肢が頭の中に出てくる。いや、来たんだから行くんだけどさ。なにこの緊張感。これたぶん一人でだったら無理だったかも。


「ねえ、たぶんあれそうだよね?」


「交番の前って書いてたからあの人たちしかいないんじゃない?」


なんとなくそうなんだろうなという会話をしていて、いつまでもその場に向かわない私たち。そこで優が


「しょうがないにゃー。二人とも緊張してんの?いいからいいから。任せて任せて!」


とイケメンなことを言ってずかずかその人たちの方向へ歩いていった。ちょっと尊敬。


「あの」


優が声を掛ける。そこにいる四人が振り返る。


「すいません、96番のバスってどこで乗ればいいか分かりますか。」


そこにいたまったく関係のなさそうなお姉さんが親切に教えてくれた。これでバスに乗れるね!やったね!何の打ち合わせもしてなかったのに阿吽の呼吸でその場をやり過ごし一度その場を離れる。うん。目の前にしてプレッシャーに負けたんだよね。うん。わかる。


「何の成果も上げられませんでした!」


優が全力で頭を私たちに下げる。誠に残念なことにギルドメンバーと合流しにくくなりました。私たち。こういう場合って便利なネットに解決方法とか書いてあるかもしれないと風子が調べ始め、希望が生まれようとしていた。そう、私たちの冒険はこれから始まる!いざ解決へ!


「何の成果も上げられませんでした!」


今度は風子が私たちに頭を下げる。ネットにはこんな限られたシチュエーションの打開策など何処にも載っていなかったのだ。お父さんの言葉を借りれば、お手手のしわとしわを合わせてなーむーな気分。

私には分かる。間違いなく私たちは小心‘Sであると。

しばらくして心配してくれたメンバーからメッセージが届いた。


[もしかして体調悪い?]


[無理しちゃ駄目だよ。別に今日じゃなくてもいいんだから。]


痛い痛い。心超痛い。ごめんなさい。ファーストコンタクトに失敗していかに上手くセカンドコンタクトをとるか考えてるんです。あとセカンドコンタクトの為のアイデアとかないです。ごめんなさい。きっと風子や優もきっと似たような心境だと思う。そうであって欲しい。三人で話し合った結果、ただでさえ時間に遅れているんだから、もう普通に行こう。あと謝ろう。という結論に。


「行こう!」


覚悟を決めてギルドメンバーの方々に謝罪と今から向かいますというメッセージを入れた後、交番の方を向いた。四人とも明らかにこちらを見ている。いいや、気のせい。きっと私たちの後ろにある緑色の電車。あの電車のモニュメントについて語っているのだ。なるほど、実に深い。視界から逃れるように迂回しよう。そう決めて駅の改札方面に向かって私たちは歩き始める。そうすると四人の視線はそのまま私たちを追尾するように駅の改札方面へ。そうだ。きっと私たちは電車を乗り間違えて遅れて到着すると思っているのだ。視線が改札へ向かうのは当然だ。ならば逆方向から攻めよう。気持を切り換えて逆方向へ歩き始める。そうするとまた私たちを追うように四人の視線が。完璧に怪しまれてます。本当にありがとうございました。


「もうあんたたちいつまで遊んでんのよ!」


振り返ると後ろにはさっき優がバス乗り場を親切に教えてくれたお姉さんがそこにはいた。

もしかしてバス亭の場所が分からなくてうろうろしてるって思われてる?


「交番があるんだから普通はそこで道聞くでしょ。」


わけも分からずお姉さんは笑う。


「まだ分からないかな?私がギルマス。あの山田太郎だよ。」


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