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meeting and parting  作者: あらま
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ことの始まり

「ちょっとこれどうなっているの!こんなの聞いてない!」


今現在の私の状況を説明すれば、私の後ろにはトカゲのような大きな怪物が追いかけてきている。私がいったい何をしたんだか。


時はさかのぼること数カ月


私はお父さんのパソコンを使ってネットサーフィンに勤しんでいた。

最近、私こと崎山佳織は、友達のふうちゃんに誘われてソーシャルネットワークサイト<EVEイヴ>で活動を開始したのだ。どうだ。凄いだろう。

とは言っても、私が誘われた頃には学校のみんなは既にサイトに登録済み。

要は私だけ流行にとり残されていたということだ。何気にこれってひどくない?

気にしたら負けな気がするので、そこらへんは置いておく。考え始めちゃったら止まらないのが私の悪い癖。そんなこんなでいつも通り友達の日記や、気に入っているコミュニティの書き込みなど見ていたのはいいんだけど、ブラウザの履歴を見てみると。その。あれなサイトの足跡がちらほらと。このパソコンを使うのは私とお父さんしかいない。私はネットでこの<EVE>とYahooのニュースを見るくらいなのだ。ということは、犯人は一人しかいない。娘もパソコンを使っているのに、そんなこともお構いなしにあれなサイトを堂々と閲覧しているのには恐れ入る。ひと月前にお父さんに問い詰めた時


「俺は包み隠さずさらけ出す主義だ。」


と言っていたっけ。ちょうどその時にお母さんに聞かれていて「なにを?」を聞かれてお父さんが脂汗をかいていたのは言うまでもなく。そこから裏取引ということで、私はこのパソコンを使えるようになったのだ。こんな取引に応じてしまう私も私だけど。そんなどうでもいいことを考えながら、ブラウザの履歴をボーっと眺めていると<koneko>というurlを見つけたのでクリックしてみる。お父さんもあれなサイトばかりでなく、こういった可愛いサイトを閲覧しているんだなと思うと少し安心する。でも次の瞬間やっぱり後悔することになる。<koneko>というサイトではあるが、子猫違いなのだ。既に免疫がついているとは言え、私自身の顔が引きつっているのが分かる。


「・・・最低。」


ブラウザを閉じてパソコンの電源を落とすと、後ろにはそれはそれはもう気まずそうにしているお父さんの姿があった。


「いや、あの、佳織。ちょっと話しがある。」


















「うーん。どれがいいんだろ?」

あの後にお父さんから諭吉さんを何枚か貰って自分専用のパソコンを買うことになった。

理由は押して知るべし。お母さんがそんな高額な買い物を許してくれないので、今から買うパソコンも私のバイト代で買ったということにしておいて欲しいとか。お父さんもしっかりしている。


「佳織―。これなんて可愛くていいんじゃない?」


パソコンのパンフレットを指差してくるこの子は桜井 優。ゲームというゲームが大好きで、一時期ゲームマイスターの称号を付けられたほど。本人は何が嫌だったのか、ゲームマイスターって呼ばれるたびに怒ってたっけ。


「それって見た目だけで、中身がね。買うならやっぱりこっち!」


と横から出てきたこの子は崎山 風子。優にゲームマイスターの称号を付けた張本人。はてさてどうしたものか。インターネットやメールが出来るのは知っていたものの、きちんと色々な事を調べてみるとパソコンって動画が見れたり、通話が出来たりと、とにかく何でもできちゃう。凄いじゃんお前。そして今その優秀なパソコンが横一列に綺麗に並べられている。正直どれがいいのか見た目じゃさっぱり。素人目から見て、製品スペックと書かれたパンフレッド内容に目を通してみてもさっぱり。いまいち分からなかったので、特に何も考えずに適当にパソコンを買おうと友達に話したら


「絶対に佳織だと変なの買っちゃう。」


とか言われる始末。やかましいわ。とは言え、友達の言う通り変なのを買ってしまいそうなので付いてきてもらうことになったわけで。はじめは安めのパソコンを買って、余ったお金で周りの子が持っているスマートフォンを買おうかなとも思っていたんだけれど、友達いわく、長く使うんだろうから、多少なりとも高めのパソコンを買っておいて損はないとのこと。そして今に至るというわけ。なんて言えばいいのか。今まで私がした一番高い買いものが1万円もするシルバーアクセサリーで、その10倍以上もする買いものをしようとしているのだ。適当に買おうと思ったものの、実際に買うとなると、もの凄く躊躇してしまう。自分のお金ではないとは言え、やっぱり怖い。結局その日はどんなパソコンが売ってるのか見るだけ見て終わり。帰りにマック寄った時にちょっとだけお金使っちゃった。こんな無駄使いばかりして、お金がなくならないうちに早くパソコンを買わないと笑えない。ちょっと凹んだ。


そんなことを思いながら来た週末の秋葉原。ちょっと人が多過ぎやしませんか?前回行ったお店とは別のお店に行こうとしてるわけだけど、道には人、人、人。渋谷や原宿もそうだけど、その場所によって何か人を寄せ付ける特別な魔法とかかかっているんじゃないだろうか。そしてその場所には人の生命力を吸い取ってしまうような何かが潜んでいるのではないか。と、こんな妄想をしてしまうのも、きっとこれから高額なものを購入するんだと頭のなかがグルグルしているからに違いない。どんだけ小心者なんだ私。そんなくだらない妄想に耽りながらもふと私の目に入ったのは、画面の中で可愛らしいキャラクターが飛んだり跳ねたりしているモニターだった。風子に聞くと、パソコンでもゲームができて、しかもみんなで遊べちゃったりもするらしい。

プレーステーションだとか、PSPでしかゲームというものを見たことがなかった私には新鮮だった。それが切っ掛けなのか、風子が今遊んでいるゲームが画面に映っているものだというので、それを買っちゃおうという話に。別にゲーム買いに来たんじゃないんだけど。もの凄く口車に乗せられた感じがあるんだけど。とは言え私も気になってたし、いいかってことで納得してしまった。さよなら諭吉さんたち。


購入が決まってからの風子の行動力は尋常じゃなかった。パソコンを買えば何でも出来ると思っていたら、パソコン専用のモニターが必要だったり、キーボードやマウス、スピーカーといった周辺機器が必要とか、とにかく色々で。風子はとにかく私の予算ぴったりにそれらを見積もってくれた。正直パソコン買えば、なんでも出来ると思っていた私はやっぱり風子に付いてきてもらって正解だと実感した瞬間である。ただ失敗した思ったのが、予算ぴったりに購入をしてしまったため、家までの郵送費が残っていなかったこと。どうしようか慌てていたら店員さんが

「一定の金額を購入されたお客様には無料で郵送させて頂きますので、ご安心ください。」

とかなんとか。店員さん、愛してます。そして風子はそのことを知っていて予算ぴったりに見積もりを行ったのだと、その時に知った。なんだか少し意地悪をされた気分になった。てきぱきと店員さんが郵送手続きを行っている中、さり気なく関係ないゲームが二本も一緒に梱包されていたのは後になって知ることになる。


「佳織、宅急便届いてるわよ。」


日曜日の午前中着。宅急便のお兄様。貴方凄くいいお仕事してます。

お母さんからの知らせで宅急便を取りに行ったはいいけど。なにこれ。でかい。大きい。ビック。重い。大きければいいもんちゃうねんで!そんなつまらない突っ込みを入れてしまいたいくらいに物凄く大きくて、重たい。パソコンってこんなに大きくて重たいものなんだ。なんか中に人とか入ってるんじゃないのこれ。そう思いつつも部屋に宅急便の段ボールを運ぶ。問題はこの後だった。


「なんか、えらいバラバラですね。あなたたち。」


もう開けたら綺麗に包まれたパソコンの部品くんたち。なにこれ。パズル?完成したらミッ○ーマウスとか出来ちゃうの?そんなことを考えてたら丁度いいタイミングで携帯の着信。このタイミングで掛けてくれるのは風子に違いない。そう思って出て見ると


「あー佳織?今から遊びいこー!」


アホの声した優からだった。今パソコン作ってる最中だから無理って言ったら


「今から行くねー。」


だって。この子日本語通じてるんだろうか。しかも来たのは電話から20分以内。もう出かける支度してたのね。用意が宜しいことで。風子にも電話を掛けて、結局三人でパソコンを組み立てることになった。と言っても組み立てたのは風子一人だけなんだけど。わけわからないから説明書読んでたら出来てたとか、そういう落ち。ちなみに優はというと、今は漫画読んでます。最初は


「どうすんの?これどうすんの?」


って目がキラキラしてたのに、気が付いたらベストポジションで漫画読んでくつろいでるの。なにかソワソワしてると思ったら


「この漫画の続きどこあんの?」


とか。何しに来たのこの子。気が付いたらバラバラのパソコンが風子の手によってパソコンになってた。我ながらボキャブラリーの無さに涙が出そうになる。ウキウキしながらパソコンに触ろうとすると、まだウィルスソフトやら必要なソフトインストールしてないからちょっと待てとお預けをくらいました。ぱっと組み立てて、ちゃちゃっとインターネットってわけじゃないのね。お父さん、以外に苦労してパソコン組み立てたんだ。と、少し感動した後に、あれなサイト見るために頑張ったのかと思ったら少しげんなりした。煩悩の力って侮れないのかもしれない。ようやく色々な設定やらインストールも終わって、いざ!初パソコンって時には優がそこに陣取っててなんかゲームを始めてた。いつも通りこの子は自由人だった。


「髪型とか色々あって超面白いねこれ!」


それはさり気なくパソコンを購入する時に風子が買い物かごに忍び込ませていたゲームだった。お店にあったパソコンが自分の部屋にあって、そのパソコンが動いてるのってなんか嬉しい。問題は置く場所がなかったからテーブルに置かれているってこと。ちょっと絵的に面白い感じになっちゃってる。パソコンを置く机はバイトして今度ちゃんと買おう。その日はその後に優や風子に色々とゲームの話を聞いたり、優が読んでいた漫画のことを話したりして解散。二人が帰った後に自分の部屋に戻ってみると、なんていうか。あらためましてこんにちは。みたいな。


そしてトカゲのようなヘンテコなモンスターに、操作しているキャラクターが追いかけられている今現在に至るのだ。あの二人に言われた通り、キャラクターを作って、自分が所属する国?とかいうのを決めて、始めたのはいいのだけど。町から外に出た瞬間に化け物に襲われました。どんだけ物騒なんですかこの世界。理不尽な暴力を受け、そして横たわる私のキャラクター。ああ、私のアーシャが!短い間だったけれど、ありがとう。私はこれから夕食を食べてから日記を書こうと思います。あなたのことは忘れない。あ、あと宿題もやらないと。そんな時に颯爽とゲーム内にお姫様みたいな格好をした可愛らしいキャラクターが現れた。私のアーシャーが何かの魔法を唱えられて立ち上がる。立った!アーシャーが立った!


「【日本語は話せますか?】」


チャットウィンドウに映ったのはそんな言葉だった。初めは意味が分からなかったけど、風子にこのゲームは色々な人がいるって言われたのを思い出してすぐに返事を返す。


「yes」


なんでyesだったんだろう。はいって言えば良かったのに。そう言えば明日ってお母さんいないんだっけ。夕食どうしよっかな。


「【日本語は話せますか?】」


しばらくしてもう一度同じ質問がチャットウィンドウに表示された。うん。Yesなんて言ったら日本人かどうかもわからないものね。あなたのその問いは正しいと思います。


「日本語話せます。」


そんなチャットを打って、日本語話せますじゃなくて、日本人ですって言った方が良かったのかもしれない。だって日本語話せる外人って思われるのも嫌だし。でもいいか。その後にその人からどこそこに行ったら初心者の人が狩り?をし易いだとか、お金がある程度貯まったら装備を整えた方がいいとか。色々なアドバイスをもらいました。

でもごめんなさい。見ず知らずの優しい人。あの後は日記書いてお風呂に入りました。

だってそれが私の日課だし。人の習慣って簡単には変わらないものだしね!うん。しょうがない。明日に備えて寝ようとした瞬間に優からそのゲームで遊ぼうってメール。そのメールのおかげで宿題のことを思い出して次の日は怒られずにすんだわけだけど。優の機嫌は少しだけ悪かった。理由は遊んでくれなかったから。優ちゃん、たまには勉強しようね。


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