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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第8章 光の剣を携えて、残された『日常』という生活を過ごしていこうと思います。…後悔は、あまりしたくなかったから。
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制限解除

どうぞお読みください!

「ほら、早く早く。」

「…いや、こんな地下深くに行く必要あるの?」

「あまりない。」


 リンセル達との楽しい遊園地の日の次。

 俺はミレイにつれられて、クレアシモニー学園の地下にきていた。

 …のだが、ミレイに理由は余りないとさっぱり言われ、少し呆気にとられている状態である。


「でも、こっちの方が信用性は高いし。」

「それは…。」


 確かに、ここは学園の中で、秘匿できる可能性がほぼ100パーセントを誇る地下室だ。

 制限解除の魔法には、専用の長い呪文があり。

 その呪文を秘匿するために、今回はここを利用するのだという。


「今日は特別扱いしてよ?」

「それ目的で、すんの?」

「…だって、これは正妻アンセルちゃんとリンセルちゃんのためでしょう?」


 正妻て。

 まだ完全に決まった訳じゃないのに、正妻て。

 …ミレイも充分すぎるほど魅力的なんだぜ?


「今からでも可能性は充分ある。」

「…いやいや、ランの考えていることくらい分かっているつもりなんだけどなぁ…。」


 ぐっ。

 俺の思考はやはり、読みとられやすいようだ。

 …そんなつもりじゃないんだけどね。

 顔にでるんだろうか、それともリンセルの言ってた女の勘!?


「特別扱いねぇ。」


 あるある…ねーよ!


「ないとか思った!?」

「思ってないよ。…いや、【あの日】も近くなってきたなってさ。」

「…うん。」


 あの日、でこの周りは通用するようになってきたな。

 …みんな、自分のことのようにリンセルとアンセルの状況を受け止めてくれているから、少しくらいは負担が軽減されるんだけども。

 …もっと強くなりたいけどなぁ…。


「もっと、強くなってよ。あの二人だけじゃなくて、私や…クリーゼちゃんのことも守れるくらい。」

「…分かってる。」


 そのくらい分かってるよ。


「…頼りにしてるんだから…」

「わかってる!」

「…どうしたの?」


 途中でミレイの話を遮るように叫ぶと、ミレイは不安そうな目俺をみた。

 その視線にたまらず、抱きついてしまう。


「不安なんだ…。察してくれ…。」

「…分かった。…ラン、気が落ち着いたら…いって。」


 ミレイの優しさに、今は感謝しよう。

 …彼女が、そっと俺を両手で包む。


「ごめん…、落ち着く…。」

「…前の世界だと、逆の立場だったのにね。」

「…ああ…。」


 前世の記憶が、蘇った。

 …いつまでも、俺のそばにいたミレイ。

 …今は、逆の立場にいるなんて、あのとき俺たちは想像しただろうか?

 しなかったな。…うん。


「落ち着いたかな? …そこにたってて。」

「…。」


 ミレイに指示された、場所にたつ。

 手を組んで、彼女は唱え始めた。


「《こうそらを砕くのか、あんかみを滅するのか》」


 地下室の陰から、闇が。

 ミレイの体から、光が。


 俺とミレイの間を繋ぐように、螺旋状のパイプを作り出す。

 …ミレイ…、もしかして…。


「《えんやみを溶かすのか、ひょうほむらを包むのか》」


 俺の魔力がごっそり削り取られ、そこに火焔と氷が加わる。

 ミレイもかなりきている。

 …言っておこう、唱えるのはさっさと唱えればいいと言うものではなく、まるで君が代を歌っているかのようにゆったりしているものだ。

 簡単に言えば、その間ずっと魔力を吸い取られていく。


「《かくを創るのか、ふうは大地を抉るのか》」


 地震。…暴風。

 …いや…これ、ハードすぎるだろ…!


 ミレイは詠唱をやめない。


「《摂理せつり対抗あらがい、運命に立向さからえ》」


 虹色にパイプの色が。

 ……ミレイは、今にも倒れそうだった。

 …俺もそうだ。……これはキツい。

 魂ですら手放してしまいそうな、そんな感覚…。


「《闇を照らし、人々の希望となれ》」


 一歩。

 一歩。


 俺にミレイが近づいていき、手を伸ばす。

 俺が手を伸ばして、その手を握ると、ミレイは笑顔を見せて言い切った。


「【光】属性禁術特殊魔法、《制限解除アン・リミット》。」

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