遊園地
「みんなで遊園地行こうよ。」
そんなことを、リンセルに提案された。
ここは教室、昼休みである。
「…いいね、みんなで行くのって楽しそうだね…。僕も行きたい!」
「ウスギリ君たちもみんな一緒に行こ?」
クリーゼが一気にハイテンションになった。
さっきまで暗かったのは、テストの点数が悪かったからである。
テストは100点満点×7。
クリーゼ、まさかの280点。
…俺は500点くらいだった。
…くやしい。
アンセルとリンセルは満点である。
「いいのか?」
「うん、ヘレナちゃんも。リンちゃんも行こう?」
「久しぶりにしてはいいかもね。…最近は勉強詰めだったから…。」
「勉強してないでしょ。絵を描いてるだけでしょ。」
ヘレナの発言に対して、リンが突っ込む。
実は彼女、将来の夢は画家だったりするのだ。
…俺の夢は…まだない。
「ジル君は?」
「いいのですか? …では、お言葉に甘えて。」
ジルがうなずき、手に取っていた資料を床におく。
何の資料かは言わないでおこう。
明らかに犯罪行為である。
「…あの、私もいいですか?」
「マイカちゃんもおいでー!」
マイカ・エウクスも許可をもらったようだ。
…彼女はウェイカーである。
…『超絶能力開花』はまだ発現していないようだが。
「私たちも構いませんか?」
「ギョウアンさんも来るんですか?」
後ろに気配を感じたと思ったら、3年首席がいた。
クラスのほかの女子がキャーと黄色い声をあげるが、ギョウアンの耳には全くと言っていいほど届いていない。
「あれ、でもこの近くに遊園地あった…?」
「ない…。でも、セリシト魔法王国の国境の…ちかくに。」
…遠いな。
歩きでいったら1週間くらいかかりそうだ。
…まあ、【デルエクス】が一般的だろう。
…しかし、やっぱり大人数でいくなら、バスタイプの方が良さそうだが…。
「それなら、俺が出す。…【大人数用デルエクス】なー。」
思考を読みとられた。
リンセルに続き、次はガイロウにまで読みとられた。
ショック。
「ガイロウさん、いいんですか? …不法侵入じゃあ…。」
「は? ナメてもらったら困るぜ? 俺は特別許可証を持っているからな、どやぁ。」
ドヤられても困る。
しかも、強面イケメンのドヤ顔は正直言って怖い。
「で、結局人数は…?」
「11人だな。」
「団体様だー。」
リンセルがはしゃぐ。
…異常と思えるほど、彼女ははしゃいでいたのだ。
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「最近、無理をしているよなアンセルもリンセルも。」
「…そんなこと…ないです。」
「ないよ?」
放課後、寮のリビングにて。
俺はリンセルとアンセルに話をすることにした。
時間は俺たちを待ってくれない。
…時は、本当に…あと1ヶ月といったところか。
「不安だもんな、ごめん。」
「いいえ、私たちはちゃんとラン君を信じていますから、心配しないでください。謝るのは禁止です。」
アンセルがほほえむ。
しかし、その笑みも自然な物ではなかった。
「ほら、無理してるっていうけど、貴方も絶対に無理してるよ。自分だけで抱え込まないで、笑って?」
リンセルが、俺の肩を軽く叩いた。
…仕方がないな。
「…わかったよ。」
「ミレイちゃんも、そろそろ全詠唱いけるかもって言ってたし…。」
ミレイも、尋常じゃないほどの体力を付けようとしていた。
完全な支援型であるミレイに、今まで体力というものは皆無でも構わなかったのだろう。
しかし…俺の制限を解除するために。
…本当に、頑張っている。
それは俺もだ。
カレルに、「一か八か、で戦うんじゃなくてもいいんじゃないか?」とお褒めの言葉をいただいた。
「本当に有り難う…。」
「気にするな、当然だろ?」
彼氏として。
仲間として。
将来のパートナーとして。
当然のことなのだ。
…それは。




