デートその2
『都市国家ポラリス』を一望できる巨大なタワー。
その名前は、『アルタイル』。
なんで星の名前なの? と疑問に持ったんだけど、なんでなんだろうか、ポラリスって言うのも北極星を意味するし。
ポラリスは宇宙がイメージだろうか。
「ふ、ふみゅーぅ…。」
「高所恐怖症か?」
リンセルの顔が、わずかにひきつっている。
…魔法戦闘の時、一体どうするんだろう。
「うん、…でも、一回ラン君と行ってみたかったんだぁ…。」
「怖かったらいつでもいえよ?」
そういってやったら、即答された。
「今も怖い。」
「…ほら、大丈夫か?」
彼女を包み込むように、そっと抱きしめてやる。
背丈の小さいリンセルだ。
すっぽり。
…何この可愛い小動物は!
「優しすぎるよ…、どうなってるの…?」
「こうなってる。…好きな子の為に頑張るのは当然の義務だと思うが。」
リンセルは愛しい俺の恋人だからな!
…本気で可愛いって思ってしまうんだよ。
…実際可愛いし。
「うん、わかった。…それにしても、綺麗だね。」
「…上も下も星河が広がっているみたいだな。」
エレベーター。
上がっていくに連れて、夜景は綺麗さを増していく。
幽玄さ、というのも相まってすごい。
…こんなのを俺は、夢見ていたような気がする。
「ロマンチックなこと、言ってくれるんだね。」
「…そうかい?」
聞き返す。
しかし、リンセルは俺を見つめ、つぶやいただけだった。
「ねえ、お姉ちゃんのこと、どう思う? 記憶、まだ戻らないみたいだけれど…。」
「戻ってこようが、同じだよ。…俺はアンセルもリンセルも…好きだから。」
その言葉に、リンセルは…。
目尻に涙を溜めていた。
おい。
…俺が戸惑ったように見つめると、彼女は俺を凝視して。
…つぶやいた。
「…みんなで暮らせたらいいのにね。…今みたいに。」
「…そうだな。」
クリーゼも、ミレイも。
みんな、一緒にいられたらいいのにな。
「ラン君なら、何とかしてくれるって信じてるよ。」
「ああ、任せろ。」
ちゃんと守り通してやるから。
…信じられないかもしれないけど、信用してほしい。
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部屋に帰ると、リンセルもついてきた。
…なんというか、なんと言えばいいんかね。
「ごろごろ〜。」
「猫か。」
そんな言葉を発しながら、彼女は俺のベッドでのたうち回っていた(?)
「にゃーん♪」
上機嫌だ。
何がその原因になっているのかは余りわかっていないけれど、かなり上機嫌だ。
「…何でこんなに可愛いんだ。狼になるぞ、俺。」
「どうぞ?」
切なげに見つめられる。
…おうよ。
彼女に多い被さる。
「んっ…ぁ…。」
「あ、ごめん、鍵かけてくる。」
え…、と戸惑っている彼女を後目に、鍵をかけてもう一度接近する!
「ほら、俺の物になれ。」
「…もう、ラン君のものだよ…?」
…おれ、我慢できない。
彼女の唇に吸いつく。
俺を受け入れるように、チロチロとリンセルは舌を伸ばしてきた。
「…このまま、続けてもいいか?」
「…うん。」
リンセルの許可を得、首に舌を這わせる。
首…は甘かった。
本当に、砂糖菓子で出来ているのかと錯覚してしまうほどに。
「んんぁっ!?」
「…矯声あげちゃったな。」
「だ、だって…。」
馴れてない、は言い訳にならない。
愛し合っている人同士、愛せばいいんだから。
「俺のこと、好きか?」
「…世界中の誰よりも好きって言うの、わかっているはずなのに…。」
ラン君のばか、とリンセルは顔を赤らめた。
…小柄なリンセルの体に触れると、別の感情が生まれてきそうで怖いが…。
そのとき、リンセルはちゃんと受け入れてくれるだろう…と判断。
「離れない? …言い寄ってくる男、死ぬほどいるだろ?」
「体目的の男に、私がのこのこついていくと思う? …栄誉目的も同じ。」
レイカー家に婿入り…ねえ。
レイカーの名前がもらえたらカエシウス聖王国ではかなりの発言権を得られるらしく、それを目的とした計略結婚も昔はあったのだという。
…ヒドいな。
愛のない結婚なんて、それこそ人生の墓場であるのに。
「だから、純粋にラン君が私のことを好きだって言ってくれたとき…本当にうれしかった。」
だって、そんなね。
あのとき、レイカー家ってなに? みたいな思想だったし。
今は違うが、俺がリンセルを好きになった理由って、ミレイに似ているからだし。
「…どういたしまして。」
「ふふ。」
そっと俺に身をゆだねてくるリンセルを抱きかかえる。
…くるってしまいそうになるほど、俺はやっぱり。
リンセルが好きだ。




