勉強会
どうぞおよみください!
「妥協して遊ばないようにだけ! ってこら!」
「あ、ごめん!」
今日から勉強会である。もちろん、今は放課後だ。
リンセル達は勿論、ウスギリやジル達も参加することになったため、学園内にあるウスギリの準備室でする事になったのだ。
しかし、ウスギリはいやそうな顔をしない。
さすが優男。
「リンセル、…魔法基礎教えて。」
「暗記問題じゃない? …別に教えることない…。」
スパッとリンセルにきられた。
…うん、仰るとおりなんだけどね!
テスト範囲すら俺は把握していない訳よ!
「どこがでるかくらい分からないのか?」
「アテラット先生に直接聞けばいいのに。」
「…その思考はいったいどこから。」
勉強時、リンセルは甘えない。
…素晴らしき冷酷ぶりである。
…【火】属性もちなのに。
「いやいや…。」
「教えてくれますよ。アテラット先生、ラン君に甘いですし…。」
アンセルもそんな事言う!?
たしかに、カレルは俺に対して甘すぎるという節がないわけでもないけども!
今、甘えに行くのは違うと思うんだ!
「……。」
「ミレイちゃんが気を失ったー!」
…カクン、とミレイの頭が落ちて意識がなくなる。
…ヲイ。
起きろ。
揺り起こす。
「うぅ…、私は誰? ここはどこ?」
「君の名前はミレイ・ヘリオス。ここはウスギリの遊び場だ。…ボケるのも大概にして勉強しよう。」
ちょっと無関心気味に言ってやると、ミレイはてへっと舌を出した。
…可愛いのは認めよう。
しかし、今は違うんだよ。
ミレイも勉強分かってないみたいなのに、いいんだろうか。
「転生前の世界でも、ミレイは勉強しなかったよな。」
「あっちは勉強しなくても何とかなったから…。」
なんとかなるミレイの頭が怖い。
…俺は何ともならなかった。
…勉強は出来ないのだ。
「…あのときから、ランは喧嘩強かったよね。」
「ミレイがよく泣きついてくるからな。…てか話題すり替わってない?」
…ミレイはあの頃から可愛かったな。
小さかったし、なんかロリコンがまとわりついていたから殴った記憶がある。
…俺は、ミレイの護衛係だったような気がする。
「な、泣いてなんか…。」
「証拠を持ってきていないのが残念だ。」
泣き顔も可愛かったぞーとからかってやると、ミレイは顔を真っ赤にした。
…いやー、あのときからクラスメイトの人たちには「何でつき合ってないの?」と頻繁に聞かれたもんだ。
クラスのなかでもミレイは人気だったからな…。
「ほら、二人とも勉強する!」
「ご、ごめんよリンセル。」
リンセルの注意が飛んできて、思わず謝ってしまう。
…こええ。
いや、ていうかなんでクリーゼも隣で騒いでいるのに俺?
あれ、リンセルがニコニコしている。
なんかあった? と思っていたら一枚のプリントを渡された。
「この問題、全問正解できたらご褒美あげる☆」
「…了解、って。…難題ばっかりじゃないか!」
一言でイメージを言おう。
切削機とかで使われる、Gコードだ。
…頭がくらくらしてきた。
「ご褒美いらないの…?」
ふふふ、と妖しげな笑み。
期待しておこう。
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「…本当に解けちゃったよ…。」
「ふはははは!」
リンセルが唖然としている。
…だってがんばったんだぜ、これでも。
すっからかんの頭から、無理矢理答えを導き出す!
ってのは冗談で、半分リンセルのヒントを聞きながらなんだけどな。
何もないところでは何も生まれないのだ。
「…ご褒美は…はい!」
「…いつのまに作った!?」
目の前に差し出されたのは、ショートケーキだった。
いや、マジでいつのまに!?
「朝から作ってたからね…。糖分があったら当分、集中できるでしょう?」
「はい、面白くない。出直してこい。」
むぅ、とリンセルが膨れる。
本当に面白いと思ったのだろうか。
…ケーキはおいしかったです。
「ジル、これはなんだ?」
「テスト範囲のプリントですよ?」
俺たちから少し離れたところで、ウスギリとジルが勉強していた。
なんというか、ジルは今にも崩れそうな紙の山をこしらえている。
「いや、いくら何でも多すぎるだろう。」
「このくらい余裕ですよ、ウスギリ。脳筋はダメですね。」
「脳筋じゃねーよ! ジルが明らかに異常だよ!」
ウスギリが叫んだが、俺も思う。
ジル、お前は異常だ。
なんだその資料の数。
紙束。
「関係ないのが大半ですね。…図書館中の本で調べたのですか?」
「はい、知識は多いほどいいですよね。」
アンセルの言葉に、ジルが誇らしげに返事をする。
「…テストにでないものだと無駄…。」
「無駄とは何ですか!」
ボソッとリンセルが呟き、ジルが過剰反応を示した。
どこの神経質だ。
モッタイナいじゃないんだよ。
「役に立たないものって言う意味。」
リンセルがまたもやスパッと。
…そろそろ、リンセルの怒りのボルテージも上がってきているようだ。
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