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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第8章 光の剣を携えて、残された『日常』という生活を過ごしていこうと思います。…後悔は、あまりしたくなかったから。
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脚力

「…なんていうか、疲れた。」


 カレルが職員会議で抜け、俺たちは寮に戻ることとなった。

 さすが夏である。

 特別授業後、滝のように噴出する汗を拭いながら、俺はリンセル達を見つめた。


 輝いている。そう感じた。

 リンセルもアンセルも、俺のことをきちんと信じてくれている。


「…どうかしたの?」

「いや、なんでもないよ。」


 全部全部全部、好きだ。

 …なんで、俺の方が泣きそうになってるんだよ。


「疲れたー…。」

「お疲れさまです。」


 ミレイに、アンセルがタオルを渡す。

 うんうん、仲良くしてくれよ?


「アンセルさん、なんで汗一つかかないの?」

「私は【氷】属性なので…。」


 周りにバリアが半自動的に形成されるんです、とアンセルは申し訳なさそうに笑った。

 ミレイはいいなーと笑って受け取る。

 …平和である。


「クリーゼも、そんなに疲れた感じはないよな?」

「慣れてるからね、僕は。」


 軽々しくいってくれるクリーゼである。

 …おい、羨ましい。


 ここの世界、前の世界と長さ等の単位は同じだった。

 …違うのは金の単位くらいである。


「何メートル走った?」

「…3時間トップスピードでずっと走ってたから…。」


 指を折って数えるクリーゼに、もういいと伝えておく。

 人外な数値が出てきそうだ。


「120キロくらいかな?」

「時速40キロ!?」


 100メートルを9秒。

 リアルチート…とか思ってたら、もっとすごい人がいることを忘れていた。


「ミレイは、飛ばないのか?」

「…ん、あまり飛ばない。」


 あれ、体力使うのよ、とミレイ。

 へー、そうなんだーとクリーゼ。

 そして俺から離れないトワイライト。


 …5人か。プチハーレムじゃなくなってきたな。

 どの基準でプチなのか分からんが。


「…っ?」

「どうしたの…?」


 違和感を感じた。

 人とすれ違う、しかし、それは何か違うようで。


 思わず後ろを向く。

 銀髪…の二人組だ。

 男も女も、容姿が整っている。

 …いや、整いすぎている?


「…浮気?」

「いやいや。」

「新しいターゲット?」

「いやいやいやいや。」


 クリーゼとリンセルの言葉を否定し、もう一度注意深く見やる。

 …しかし、二人は角を曲がってしまっていた。


「…なんか変な感じがするんだよな…。さっきの人を見ると。」

「…興奮?」


 違うわ!


「クリーゼ、何でもその方向にするのはどうかと思うぞ。」

「…性欲の達者なラン君だから。」


 性欲言うなて。


「…クリーゼの今日の夜はなしかなー。」

「ふみゃぅ!? …お願いします…ぅ!!!」


 泣きつかれた。

 こんな道の真ん中で泣くな!

 俺の評判がさらに悪くなるだろうが!







------------------





 今日はやっぱりやめといた。

 授業が予想以上に体力を削ってたのだ。

 というわけで、今はアンセルとミレイの同室にいる。


「…な、なんか恥ずかしい。…でもうれしいな。…ランとこうやっていれるなんて。」


 何度も言おう、俺とミレイはつきあっていなかった。

 でも…、薄々気づいていたからな。


「ミレイさん、ちゃんとラン君は優しいですから…。」

「俺がいつ優しいなんて言った?」


 アンセルの髪の毛をなでる。

 ビクッってなった。可愛い。


 それよりも…、ちゃんとミレイに聞きたいことがあるんだよおれは。


「ミレイって、全部の属性を使えるのか?」

「えーっと、《賛歌アンセム系》魔法だけ、全属性使えるけど…。私は攻撃系いっさい使えないからね…?」


 不便である。

 彼女と旅にでるとき、俺は彼女を守りながらいかないといけないのか…?

 しかし、その不具合を遥かに上回るアドバンテージを、俺は得られるのだ。


「…さて、寝ますかね?」

「ふみゅーぅ。」


 アンセルは、すでに半分寝ていた。

 彼女に口づけをし、ミレイを見つめる。


「…んっ?」

「色っぽい声出すなよ…、可愛いんだからさ。」


 ポッ。

 …赤くなった。

 さすが元日本人、ウブだ。


「…どうした?」

「い、いえっ…。」


 そっと彼女の肩に手を置く。

 …おびえたようにこちらを見つめるのもいい。

 ある種の快感が…。げふんげふん。


「大丈夫、怖くはしないから。」

「ん…ランなら大丈夫だから…ね?」


 ミレイに唇を重ねる。

 夜は始まったばかりであった。

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