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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第7章 大切な人を救うためには、やはり課題が必要。…というわけで、課題をこなすために火山に行ってきます!
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獄炎龍 -インフェルノ・ドラゴン-

 吹雪が、炎焔の渦が辺り一帯を包み、空間を洗浄するように地面を、空中をなでていく。

 それらに触れたインフェルノリザードは、悲鳴を上げる余裕もなく凍り、そのまま炎焔の渦によって粉砕された。


 また一瞬、ここが火山であることを忘れていた。

 アンセルとリンセルの放った超高威力の『魔能力サイキック』は、見事に敵を全滅。

 …しかし、そこで二人は膝を折る。

 慌てて駆け寄ると、二人は苦しそうにしながらも、起き上がろうとしていた。


「…無理するな。」

「ラン君…私…がんばりましたよ?」

「…ふふ…、次は、ラン君が私たちを助ける番だね…。」


 苦しそうに二人が喘ぐ。

 特にリンセルは、行動すべてが弱々しい。


「…大丈夫なのか!?」

「…えへへ、ちょっと疲れただけ。」


 と、俺にしがみつくリンセル。


 後ろで、いつの間にか近づいていたガイロウがアンセルを抱き上げた。


「ひっ…!? …ガイロウさん…。」


 男の感触に一瞬体を痙攣させるが、アンセルはガイロウの姿を認識すると何も言わなくなった。

 なに、ガイロウってそんなに安心できるの?

 顔は怖いのに。


「…疲れてんなら無理すんな。…ランが悲しむ。」


 護衛、さすがである。

 ガイロウが教会に向かうのをみて、俺もリンセルを抱き上げ、教会に向かった。







 しかし…この胸のざわめきは何だ?

 …何に、俺の感覚は…反応しているんだ?

 さっきから、妙に身体が落ち着かないのだ。


「ラン君も、何か感じる?」

「…ああ。」


 リンセルが俺の腕の中、俺の首に手を回して囁く。

 その言葉に頷く。

 …しかし、リンセル達をこれ以上動かす訳にはいかないだろう。



 そのときだった。




「GURUAAAAAAAAAaaaaaaaaaaa!!!!!」





 地面がとどろき、何かのうなり声が、した。

 インフェルノリザードなんて、比べものにならないほどの威圧。

 火山の火口から、巨大な、生物が出現した。



















「…獄炎龍インフェルノ・ドラゴン?」


 ガイロウが、信じられないものを見るような目で、ソレを見つめた。


 赤い、火が吹き出すかのような身体、龍鱗。

 深紅のアギト

 青い、目。


「ラン君…私たちをおいて、逃げて。」

「んなこと出来るか!」


 リンセルが鬼気迫る顔で俺から離れようとする。

 しかし、弱々しいためもちろん、離れることはなかった。

 彼女は『魔能力サイキック』使用時、魔力よりも体力を多く消費するようだ。


「あれに勝てる訳ない。…あれは伝説級レジェンドの魔物よ…!」

「…まず、その基準がわからないんだが。」


 …授業聞いてた? とあきれられた。

 基本中の基本なのに、と叱られた。


 ごめん。聞いてない。


「魔物にはその希少度、強さによってランク分けされていて。下から下級魔獣コモン上級魔獣レア深淵級魔獣エンシェント伝説級魔獣レジェンド神羅級魔獣アポカリプスって決められているの! 龍は大体、深淵級よりも上のランクなんだから!」


 深淵級エンシェントの魔物一つで、カエシウス聖王国は【聖天馬騎士団ペガソス・ナイツ】を出動させるくらいなの、とリンセルは俺に説明する。

聖天馬騎士団ペガソス・ナイツ】というのは、いわゆる軍の精鋭部隊の類だという。


 はなして、とリンセルは俺に対して懇願した。


「私は元々、捨てられた命。…ラン君、幸せになってね。」

「その命を俺が拾ったんだよ! …失ってたまるか…!」


 何のためにここまで来たんだ。

 何のために、俺は守るって決めたんだ。


 …リンセル達を救うためだろうが。


「んっ…。」


 彼女の顔に唇を落とす。

 …わずかな温もりと、甘い感触。


 唇をはなして、リンセルを駆け寄ってきたギョウアンに任せる。


「…リンセルを頼むよ。」

「…あれと戦うつもりですか?」


 ギョウアンが空を仰いだ。

 火口付近からでてきたのだ、上を向かないと龍の姿は確認できない。

 一つだけマシだと思ったのは、翼を持っていないことだろうか。

 フライドではない俺は、空中戦闘は出来ないから。


「ああ、そのとおりだ。…リンセル。」


 リンセルは、俺を見て、涙を流していた。

 …その涙は、どの感情によるものか。

 俺は知らない。

 ただし、『超絶能力開花アッパー』の発動条件がそろったのは感じられた。


「これ、持っていって。…さっき、魔力いっぱい使っちゃったでしょう?」


 彼女の手を握る。

 魔力が、【火】属性の魔力が、暖かい感触とともに身体に浸透していった。


 …あれ?

 …俺は、一時的に【火】属性も使えるようになってしまったのか?


「ううん。属性は、一般的・・・には1つの属性を極めるの。…本当は、全部使えるんだよ。」


 こんな時も解説をどうもありがとう。


「勝ってね。…生きて、帰ってきて。」

「愛してるよ、リンセル。」




「GURUAAAAAAAAAaaaaaaaaaaa!!!!!」



 再度、獄炎龍インフェルノ・ドラゴンが吼えた。

 …時間はないようだ。


「…さて…獄炎龍インフェルノ・ドラゴンさんとレイカー家当主はどっちが強いかね。」


 そんなことを考えながら、さっき魔力とともに流れてきた、【火】属性の魔法知識を頼りに、魔法を唱える。


「【火】属性上級・・近距離創造魔法、《焔迦剣イグナイト・ソード》。」


 豪ッ! と炎焔ホノオの剣が生み出される。

 それを構え、俺は獄炎龍インフェルノ・ドラゴンを見つめる。


 勝てそうにはないが、やった方がいいだろう。

 やったら成功する可能性は50パーセント。しかしやらなければ成功する可能性は0パーセントだ。


 龍が、俺を見つめる。

 その目を離さず、睨み返す。

 …1パーセントでも可能性があれば、俺はやるしかないんだよ。

龍だー!

男のロマンだー!


ってことで、お楽しみください。

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