決闘:開始
どうぞお読みください!
「…ほぉ。逃げずに来ましたか。」
「…断る理由も、ないもので。」
決闘の日。
それは、クレアシモニーの闘技場でやっぱり行われるようだ。
「…何をそんなにニヤニヤしているのです。」
「いやー。試験の結果が総合1位だったからさ、ついつい。」
その言葉に。
シオン・ギョウアンが目を見開く。
…おお、やっぱりスゴいことなのかと。
「おー。じゃあ、ラン君が勝ったら再来年はシオンみたいになるのかな…?」
…げ。
クリーゼの言葉通りだとすると…。
…この人、ここの3年ですか。
組織が学校来てていいの?
とか考えちゃだめか。
「クリーゼ。…こんなどこの馬の骨かも分からない人に惚れたのですか?」
「惚れたって言うなー! …酷いよ…。」
乙女心、おもいっきり傷つけやがった…!
「…ギョウアン、やっぱりお前に勝つ。」
おい、リュー起きろ。
『ふぁ? …おっと失礼。 了解。』
一瞬で状況を理解したリュー。
さすが相棒。
『前回のあれでいいんだね。…くれぐれも、その上は詠唱しないように。』
まだ知らないんだよなぁ…これが。
上があることは知ってる。
『まだこれ以上、君には詠唱できないよ。…禁術でも一回死にかけたくせに。』
それは…。でも、リューと組んだら勝てただろう?
『いやいや。…それでも限界って物があるでしょうに。…とにかく、今から魔力を増やす訓練をしよう、な?』
そんな訓練があるんですか!
…リンに聞いてこないと!
『ま、大賢者様に許しを請わないと行けないんじゃないかな。』
…そんな大事なのか…。
ま、今は決闘に集中だ。
『はぁ。…遠距離の方法は分かってるね?』
ばっちぐー!
と、係員から【犠牲の腕輪】5つを渡された。
2つだけ付けて、構える。
いつでも詠唱の準備はできている。
「…おっと。俺、ラウ・ガイロウはシオン・ギョウアンの共闘者として参加する。」
…乱入者ぁー!
帰れ! 入ってくんな!
「…なら、カレル・アテラットがラン・ロキアスの共闘者として入ろう。」
「カレルぅ!?」
担任の先生であり、俺の兄貴分でもあるカレルが2回爆転宙返りをして着地。
無駄にかっこつけなくてもいいから。
…かっこよかったです。
ちなみに、なぜこんなに簡単に乱入できるかといえば。
【腕輪】の数が足りていれば、最大5人まで決闘には参加できる。ある程度なら誰でも。
もう一度言おう、ある程度なら誰でも。
そのばあい、決闘じゃなくて乱闘のような気がするけど。
…審判が何も言わないあたり、カレルが乱入してもいいものか。
…いいのか、なるほど。
「…2つくれ。」
「ん、ああ。」
【犠牲の腕輪】を2つ渡す。
……一気に肩の荷が降りた。
マジパネェっす、カレル。
「…ラウ、貴様のせいでとんでもないことになってますよ。」
「…し、知らんがな。」
いやー。
カレルがいたら、余計負ける気がしないわー。
「…さて?」
「決闘開始と行きますか。」
『最強コンビだね…、やっぱりこう並ばれると。相手が可哀想に見えてくるよ。』
リュー…。
言わないであげて。
「決闘開始!」
やはり、観客者は多いみたいだな。
…クラスの男子どもが、微妙な顔で俺を見つめてくる。
こっちみんな。
…気持ち悪い。
「【光】属性上級近距離創造魔法、《光聖刀》」
カレルが、湾曲した片刃剣を手元に。
曲刀じゃないですかぁー!
ゲームとかでしか見たことないけど、カッコいい!
てか応用系どうやるの!?
かっこいい!
「ま、今度教えてやる。工夫は簡単だからな。」
こんなにかっこいいのに、何で彼女いないのかね?
…あ、倹約家だからか。
どケチめ。
「【闇】属性上級近距離創造魔法、《闇魔剣》」
俺も闇の剣を創造する。
幾度なく、俺を助けてくれた剣だから。
…禁術は使わなくてもいいような…ことにしたい。
「ガイロウは俺がやる。」
そういうなり、カレルはシュバッ! と一気に間合いを詰めた。
はやっ!
なにあの超人技。
「なら、私は貴様とですね。」
「首席と戦えるなんて夢みたいだなー。」
棒読み。
ギョウアンが刀を抜いたのを確認して、一気に躍り出た。
軽やかなステップを繰り返しながら、刀の太刀筋を見極めていく。
「ケレイジか。」
ギョウアンの頭がゆれ、ちょこんと乗った犬耳を見てなんだか達成感。
…彼は顔色一つ変えないけどね!
「おっと。」
突きを手で弾いたため、そこがスッパリ切れた。
…いった…!
一瞬の油断があれか。
ダメなのか…?
やはり戦闘は本気でしろと?
『遊びすぎだ。…本気でいこうよ。』
リューの言葉に頷いてみせる。
「【光】属性上級回復魔法、《聖癒矢》!」
カレルが癒しの弓矢を俺の手に命中させる。
…おまっ、そんな余裕あるのかよ。
ていうか、よく見たら目ぇつぶって戦ってんじゃねーか。
「化け物はあっちの方みたいですね。」
「…うーん。化け物なんかね。いろんな意味で、君も化け物だよ。」
みるみる内に、傷がふさがっていくのは…どういうことだってばよ。
流石上級回復魔法。
と、俺は一気にギョウアンから距離をとった。
怪訝な顔をしている彼に向かって一言。
「…突き通せ。」
《闇魔剣》を、彼に向かって投げた。
もちろん、そのモーションだけリューに頼んで出力最大。
つまり、恐ろしい威力とスピードでそれは飛んでいくということ。
「…っ! ……!?」
彼はよけた。
しかし、それは想定済みであり、俺の狙いはそちらではない。
後ろにいたガイロウの頭を、《闇魔剣》が貫通した。
…もちろん、すぐに【犠牲の腕輪】効果で霧散したが。
「ナイス、ラン。」
カレルが容赦ない最後の一撃をガイロウに突き立てる。
…あとはギョウアンだけだ。
「…やりますね。なかなか。」
相当いらだっているようだ。
…まあ、仕方がないが。
「…とっておきを見せてやるよ。」
みんななら、分かるよね?
なにがとっておきかって。
とっておき(意味深)




