フライド
------------------【リン視点】
「最近、リンって家から出てこないよねー。」
ラン君が私の部屋に居候をはじめて…もう2ヶ月。
彼は結構勤勉なタイプだった。
ウェイカーだから、横柄な人かな? って思っても違ったし、なにより…顔がかっこいい。
「聞いてる? リンー?」
「わわっ! …なに? ヘレナ…?」
ラン君のこと考えすぎちゃって、友達の存在を忘れてた。
彼女はヘレナ・アリュー。
フライドの少女で、翼の色は赤。
私の親友だ。
「…だから、家からでないねって。…もしかして…?」
彼女は勘が鋭い。
…バレてる?
「男、連れ込んでたりするの?」
ブフッ!
飲み込んでたお茶を吹き出した。
お茶も、お茶の葉っぱを【地】の魔法で変換することで、簡単にできる。
それよりも、ヘレナ鋭すぎ…。
「そ、そんなことないよ…?」
「動揺してるー! じゃあ今日、リンの部屋に行っても良い?」
「ゴミ屋敷…だよ?」
これは嘘、ラン君のタメにきれいにしてます。
「ぜんぜん良いよ! …ほら、親友でしょー?」
ズルズル…。
ひ、引っ張られる…。
------------------【ラン視点】
部屋でリンちゃんの帰りを待っていると、テレパシーが飛んできた。
『お願いっ! ベッドの下でもどこでも良いから、隠れてっ!』
突然の要求。
慌てて送り返す。
テレパシーのやり方も、教えてもらっていた。
まず、送りたい人の顔を思い浮かべ、頭の中でしゃべりかける。
『どうした?』
『友達くるから…! 見つかったらややこしいよ…?』
『あ、了解。』
おう、見つかったらやばそうだな。
とりあえず、ベッドの奥に…。
って。
『ベッドの下、下着類…。』
『うぁ…。今回は気にしないで!』
気にしなくていいんですか。
そして、俺が潜り込むとともに。
「やっほー!」
誰かが入ってきた。
「ほらヘレナ、誰もいないでしょ?」
ヘレナ、とリンちゃんに呼ばれた子は、明るくて幼げな声をしていた。
リンちゃんが久しぶりに焦ってる。
声で分かります。
むしろ、ここで見つかった方が状況まずくない?
「うーん、そのようだね…。」
ぺたん、と誰かが座り込む。
ベッドと床の隙間、その誰かが翼を持っているのが見えた。
おお、これが翼羽族か。
漢字は俺の想像である。
分かる訳ないでしょ!
「そっれにしても、歯ブラシは二つあるよ?」
しまったー…。
『しまったー…。』
同じこと考えてますな、リンちゃん?
テレパシー漏れてますよ?
「いろんなものが2人分あるのは?」
「うぇ!?」
…もう2ヶ月だよなぁ…。
魔法も教えてくれて、無一文の俺をこうやって世話してくれて…。
いや、一度や二度間違いを犯してしまいそうになったことがあるけど…。
最後は、感謝の気持ちを思いだして踏みとどまった。
「た、たまにお兄さんが帰ってくるんだよ!」
「へー。…リンのお兄ちゃん、かっこいいもんねー。」
リンちゃんには、兄がいただと…!?
「…イケメンのにおいがする。」
どんな嗅覚してるんだ!
しかし、焦っているうちにヘレナさんは帰っていった。
「…大丈夫だよ? 出てきて良いよ?」
声を確認して、這いでる。
リンちゃんは、顔を真っ赤にしていた。
「…なんか…いろいろとごめん。」
「ううん。大丈夫。…じゃ、今日の勉強を始めよっか。」
しかし、急にドアは開いた。
「忘れものし…た…よ?」
フライドの少女は、呆然としていた。
俺をみて、リンちゃんをみて、俺をみて…。
顔を真っ赤にした。
「「誤解です!」」
必死に否定する。
誤解だあああ。
…ん、それにしても、この子も可愛いんだな。
パッチリした目に、長いまつげ。
「…なにが誤解なの…? 異種間だよしかも…。」
…異種族の間だと何かいけないのだろうか。
さすがに、そんなことは聞いてなかったな。
「…なにも間違いは起こってないから! …ヘレナ、大丈夫。」
「て、貞操とか…。」
…なにを言い出すんだこのアマめ。
痴女なんですねはい。
「大丈夫だってば!」
「本当に…? 大丈夫なの?」
リンちゃんは必死に誤解を解こうとしている。
…これは俺は…入らないようにするのが吉か。
ヘレナさんは、なんだか…。
からかっているわけではなく、本気で心配しているらしい。
「…うん、大丈夫。…幸い、ここは…ね。」
幸いなんなんだろうか。
すると、ヘレナさんが俺の方をみた。
「あ、自己紹介がまだだったね! 私の名前はヘレナ・エール。ヘレナって呼んでね。…ご覧の通り、フライドよ?」
「…ああ、ラン・ロキアスだ。…種族はウェイカー。」
そう返すと、ヘレナさ…ヘレナは驚いたような顔をした。
「ここにウェイカーかぁ…。リンが保護したくなるのも分かるような。」
「…それどういう意味?」
リンちゃんは、完璧にあきらめたようだ。
しかし、さっきとは打って変わって、ヘレナは真面目そうにリンちゃんの言葉を聞いていた。
「ほぇー。…私もその学園にいくから、一緒にいく?」
美少女から、思いがけないお誘いがきました。
…と思ったら、多分顔目当てだ。
…自分の顔、もうちょっと悪くならないかな。
昔の俺だったら、絶対に「リア充死ね!」って言ってそうだもん。
「じゃあ、またね。」
「絶対に他の人に言っちゃダメだよ?」
リンちゃんが念を押す。
ヘレナは、はいはーいと返事をして去っていった。
「…ラン君が、空気を読んでくれてよかったよ…。」
…あのー。
…だ、抱きつかないでくださーい。
柔らかいんだよこの子…。
女の子と暮らしてるんだ、っていうね…。
実感がわくよね!
「…仲良くしてあげてね。…来年、同じクラスになると思うから。」
なんだかんだで、1年がすぎた。
4話まで読んでくれた方々、ありがとうございました。
一応設定を載せておきます。
エリシュ(知逸族)
知力と信仰を至高と考える種族。
非常に温厚で頭がいい。
戦いでは遠距離狙撃、回復に徹する後衛援護型。
種族的に細く、美形が多い。耳が少し長い。鎖骨近くに太陽を思わせる紋章。
魔法に秀でている代わりに体力系は苦手。
鎖骨あたりに太陽を思わせる紋章。
魔:体:脳で5:1:4
ウェイカー(醒眼族)
力を宿し、力を目的に使う種族。
条件付きで、自分を一定時間強化できる「アッパー」を有する。
その能力に耐えるべきか、筋肉質が多い。
二の腕に、腕輪のような紋章。
しかし脳筋ではない。
魔:体:脳で2:5:3
「アッパー」
ウェイカーの固有能力。
ある一定の条件により、一定時間自身を強化する。
強化項目も、強化条件も自分で探し出さないといけない。
フライド(翼羽族)
翼と隠された爪を有する種族。
移動力は随一であり、空気を利用するためか、気まぐれな人々が多い。翼は自分の所有する属性の色。
翼の付け根に同じく翼のような紋章。
基本的にのほほんとしている。明るい性格。
魔:体:脳で4:2:4
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