表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第0章  始まりの始まりは、鉄骨に貫かれての異世界転生でした。
3/442

選択

 リンちゃんに、この世界のことを聞いた。


 見事に、現代社会とファンタジーが融合した世界だった。

 魔法科学、というものが存在しているらしい。

 なんというか…ああ。


「えっとね、この世界には6つの種族が存在するの。エリシュ、ウェイカー、フライド、サイコル、サミュリ、そしてケレイジ。」


 俺に見せるように、リンちゃんはノートに6つの単語を書いていく。

 …日本語じゃないですかやだー。

 どれだけご都合主義なんですか。

 …俺は誰に向かって敬語をはなしてるんだ。


「エリシュが私ね。ランが多分、ウェイカーだと思うの。」

「それって、どこで分かるの?」


 リンちゃん、体近すぎ。

 …理性がやばい。

 華奢な彼女の体…。


「えっと…エリシュは、ごらんの通り耳かな? ウェイカーは二の腕に腕輪のような紋章が…あった、これね♪」


 可愛い。

 ええ…、いったいどこの天使かね、この子。

 そして自分の二の腕をみやると、左右同じ、複雑で幾何学的な黒い紋章が見えた。

 …なんだか、おぞましい。


「色で、貴方が持っている属性が分かるの。【火】は赤、【水】は青、【地】は黄、【風】は緑、【光】は白、【闇】は黒…ってね。」


 あ、僕闇ですか。

 ちなみに、この国のことも聞いた。

 ここは『セリシト魔法王国』という国で、簡単に言えば、世界樹が多い茂っている環境に寄り添うように、町を作ったって感じか。

 なんてたって、ここはすごい。

 水道もあるし、ガスもある、電気もある。

 …ガスは「火属性を含んだ魔法の大気」で、電気は「光属性と火属性、どちらかのエネルギー」らしいけど。


「車ってないんだね。」

「クルマ? …んと、テレポートの魔法があるし、技術の進歩とともになくなっていったねー。」


 昔はあったらしい。

 …んー、あらゆるエネルギーが魔法関連に変わっているのか。

 「質量保存の法則」の「し」の文字もないらしい。


「それより…さ?」


 ぐいっとリンちゃんが顔を近づけてくる。


「これから、どうするの?」


 …返事に困った、どうしよう。

 リンちゃんに迷惑はかけたくない。すでに3日ほど世話になってるし。

 だが、出ていったところで、俺に居場所なんてあるのか?

 ここはリンちゃんのようなエリシュと、翼の生えたフライドが主な国民である『セリシト魔法王国』だ。

 転成されて3日目。

 この世界のことなんてまるで知らない。


「…二つ選択肢があるよ?」


 リンちゃんが、俺に対して2本の指を立てた。


「一つめ、私と旅にでる。」


 …いきなり度肝を抜かれました。

 なんということでしょう。


「大丈夫。…私が、ちゃんとサポートするから。」


 …下の仕事もかな?

 …いや、よこしまなことを言っちゃだめだ!

 俺の命の恩人なんだから。


「二つめ。1年間訓練を受けて、私と魔法学校に行く。」

「え?」







 …え、今なんて言った?







------------------------------------





「ダメ?」


 ああ。そうやって誘惑しないでくれたまえよ。

 かわいいなあもう!


「2番目、って…?」


 そうだ。

 説明を求める。


「一年間、ここ『セリシト魔法王国』で、エリシュの訓練を受けて、来年に有名な学園に入学するの。」


 ほう、この世界にもきちんと年という概念はあるようだ。

 ないと困るもんな。

 カレンダーもかかっている。

 数字は、アラビア数字。

 おお、都合が良くて分かりやすいぞ!

 さらに言うと、その学園は無償らしいし。


「でも、これ以上迷惑かけるわけには。」

「気にしないで。…私、一人は退屈だったし。…世界を旅するのも良いかもね。」


 ジイっと見つめられている。

 髪の毛よりも少し明るい、翡翠ヒスイ色の目。

 俺は、選択を迫られていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ