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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第6章 戦争に傭兵として雇われるらしいよ。
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無限の吹雪

最後まで読んでいただければ光栄です!

 少女の息を確認して、ほっと一安心。

 髪の毛…。


 クリーゼの髪の毛は深い青。

 …しかし、この娘の髪はかなり薄い。


 雪の中、白い砦の中で青みがかかっていることが確認できるが、ふつうに『銀髪です』といっても差し支えがないくらい薄い。


 …睫長いな…、ってそういうことじゃないな。

 凍死する可能性もあるだろう、半袖ショートパンツだしこの娘。



 そっと抱き上げて、中で保護しよう。

 首と足の方に手を伸ばし、抱える。


「…こんばんは。」

「あひっ!?」


 少女がいきなり声を発したため、俺は思わず奇声をあげてしまった。

 のぞけば、赤い目の美少女。


「…イケメンさん、だれですか?」

「いや、君が誰だよ。」


 透き通るような声だった。

 少女は首を傾げ、俺に顔を近づけてくる。


「ヒョウガ。」

「名字は?」

「…ないです。」


 深追いはしないでおこう。

 彼女に向かって、自分の名前を告げる。

 たぶんこの調子だと俺のことは知らないはずだ。


「ラン・ロキアスだ。」

「…【聖魔の牙バルデュバル・ケル】さん、よろしくです。」


 …知られてた。
















「いらっしゃい、【無限吹雪ブリザード・オブ・インフィニティ】。」


 俺がヒョウガを食堂に運ぶと、ルークさんが立ち上がって声を掛けた。


「…着地したときに力つきちゃいました、えへへ。…【聖魔の牙バルデュバル・ケル】さんがいてくれなかったら、凍死してました…。」

「動けないようだから、もう少し抱いてあげてくれ、ラン君。」

「この人なんですか?」


 俺の質問に答えたのは、ユニコルノ部隊長だった。


「…君たちの部屋に加わる仲間だけど?」

「え。」


 この少女が?

 よく見てみると、ヒョウガはきょとんとした顔で俺を見つめる。


 ちなみに、高身長である。

 アンセルと同じくらいだろうか。

 …参ったな、アンセルも氷使うんだけど。


「キャラ被りしないので大丈夫です、イケメンさん。」

「…心読むなよ。」

「ふふ。…私は絶対にキャラ被りしませんよ、イケメンさん。」

「…恥ずかしいから、その呼び方やめてくれる?」


 そしてルークさんに仲が良いなと笑われる。


「それにしてもどういうことだ? 仲良くなるなんて結構珍しいことなのに。」

「…そういう気分ですよ。」


 どういう気分なんだよ。

 …こっちからは不思議ちゃんなんだがこの子。


「イケメンさん、おねがいしまーす。」

「何を?」

「愛の巣まで連れてってください~。」


 愛の巣!?


 目を見開いて驚く俺に、今にも吹き出しそうなルークさんが話しかけてきた。


「彼女が人に懐くのはとても…珍しいことなんだ。」

「…なぜ?」

「それは、彼女と交流を深めて彼女の口から聞いてくれ。」


 …攻略しろと、今言われたような気がする。

 マジかぁ。


 攻略ってどうやってするんだ?

 俺、前の世界ではそういうゲーム…してないぞ?

 俺はイラスト派なんだ。

 二次元に恋なんてしないもの。


「イケメンさんイケメンさん、愛の巣に連れてってください。」

「まだ続けるか。…とりあえず、朝までは待てよ。」

「…一緒に寝ましょう!」


 ………。

 危機感がこの子にはないのだろうか。

 …大丈夫かな、俺は君が心配だよ。


「寝ましょ? あの、私こうで…動けないですし、イケメンさんに添い寝してもらいたいです。」

「…だまってろ。」


 そんなことしたら確実に…。

 リンセルに殺されちゃう!














「…で、結局ここで寝るんですか? イケメンさん。」

「本当は個々で寝たいんだがな。」


 ユニコルノ部隊長からは、一つしか毛布をもらえなかった。

 そのため、ヒョウガを出来るだけ暖めることにする。


 俺は魔法で何とかしたいんだけど…。

 寝たら効果が切れるため寝れない。


 …それにしても、端整な顔立ちである。

 …おうふ。


「ところで…警戒しないんだな。」

「…下心を露わにして襲いかかってきたら、容赦なく変態さんに格下げですっ。」


 毛布の固まりになりながら、ヒョウガは物騒なことを呟いた。

 寝起きのアンセル…じゃない!


 彼女ヒョウガ自身はもっとミステリアスだ。

 一見ほわほわして無防備に見えるが、その内側から何か…別の物を発散しているように見える。

 覇気…?


「…そんなに見つめないでください~。」


 …正直言って、この子めちゃくちゃガード堅い。

 仲良くなったような感じが表向き・・・にはしているが、結局社交辞令だ。

 内側から怯え、みたいな物が感じられる。


「無理すんなヒョウガ。」

「…大丈夫です、イケメンさん優しそうですから。…って、イケメンさんも心読めるんですか?」

「まあ、感情が感じ取れる程度かな。」


 声とか、表情とか、近づいたときの身体の反応とか。

 ルークさんやユニコルノ部隊長さんには反応を示さず、自然体に近いのに、俺に対しては変に積極的である。


「…あの…苛めたりとか…、しないでください…ね?」

「おうよ。」


 返事をすると、ヒョウガは安心したように身体の力を抜いて。


「襲っちゃだめですよ?」


 と念を押されて。

 眠りについたようだ。

ありがとうございました。

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