表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第6章 戦争に傭兵として雇われるらしいよ。
196/442

砦に

最後まで読んでただけたら光栄です!

「こういう、緊張状態の時が一番精神をすり減らすって、…あながち嘘じゃなかったんだな。」


 いつ敵国が攻めてくるか分からないまま、俺たちと兵士一行が訪れようとしているのは、北の国境線を見張る砦。

 少しどころではない、尋常ではないほどの寒さに、シルバが唇をかみしめる。


「…ランさん…。」

「イヴ、どうした寒いか?」

「…すこし。」


 少しどころではく、かなり寒いことは俺も理解していた。

 だって俺も寒いもん。

 氷点下5度の中、俺とシルバとイヴは全力疾走。

 自分から言っておいてなんだが、やばい。


 これからのことも考えて、彼女を光の障壁で包む。

 これは『魔能力サイキック』のため、詠唱は必要ないのだ。


「…へっくち。…ありがとうございます。」

「もう少しで着くらしいから、もうちょっとだけ我慢な?」

「…はい。」


 シルバは自分が持ってきていた武器を大量に運んでいるため、人の様子を見ることすらできないようだ。

 …まあ、彼は仕方がない。


「シルバ、馬車に乗せてもらえよ。」

「…この武器たち、運搬の時にかなり慎重に取り扱わないとだめになる奴だから、乗せられないんだ。」


 …なんだその繊細な武器、武器っていえないぞ。

 一つ一つ恐ろしい物なんだよなぁ。

 槍はなかったが、【極光アクイローリス・ルミナリア】とおそらく同じくらいの魔剣が3本に、投擲用武器十数個。


「…魔剣は全部あれか。」

「契約済みだから、馬車に乗せたりしたら暴走を始めるんじゃないかな。」


 それは自分でもたないとだめみたいだ。

 でも俺とこの前連名で契約したから、俺はさわっても構わないらしい。


「魔剣、2本くらいなら持つよ。」

「…俺のことは気を使わなくても構わないから、イヴを気に掛けてくれないか?」


 …なんだか、微妙な思いで俺は頷いた。


 あの人が、武器のことをかなり重要視しているのは分かっているんだけど、魔剣と契約しすぎなんじゃないか?


「一度に使うから問題ない。」

「その実力が問題なんだよ。」


 実力がずば抜けすぎていて、俺の頭では処理しきれないことが判明した。

 …俺もそのくらいになりたいんだ。

 …今、素で時速50キロだせるように訓練をしているし。


 魔力が最上級を使わない限り、半無限まで存在するから、俺は魔法を使ってもいいんじゃないかとシルバに抗議したが、見事に玉砕した。


 魔法を唱えられない、または魔法がそもそも使用不可能な状況下になった場合の移動速度の上昇が見込め無いという。

 自分が魔法で封じられている状況なら本人を叩けばいいが、その土地に魔力がなかったら本来持ち合わせている実力で戦わないといけないらしいからだ。


 ちなみに、リンセルたちは馬車である。

 …ルークさんの馬車に乗せてもらっているらしい。


 俺とシルバ、イヴは断ったのだ。

 むしろいくらカエシウス聖王国でも、山賊、いや雪賊は存在する可能性があるため、その護衛もかねている。


「…砦が見えたそうだ。…先頭の馬車が確認した。」


 ルークさんが俺の近くに寄っていき、窓を開けて叫ぶ。

 えーと、それよりも馬車の中にはリンセルたちがいるのに、いいのか?


「それよりもルークさん、窓を開けたら…。中から阿鼻叫喚の渦が聞こえてきていますけど。」

「あとで暖めるから問題ない。」


 …ェー。















「お父さん鬼畜だったよ…。」


 砦の前、降りてきたリンセルが呟いた。

 …少しだけ疲れはてていた。

 疲れはてているから、少しじゃないとは思うけど。


「急に馬車の窓を開けるなんて、すこし酷すぎます。」

「…後でちゃんと暖めただろう?」

「…一瞬、死ぬかと思ったよ僕。」

「ぐっ。」


 リンセル、アンセル、クリーゼの三連攻撃にルークさんが黙った。

 …さすがに反論が思いつかないのか、素直に謝っている。


 …きちんと謝ることが出来るのって、すばらしいことだと思うよ。


「イヴ、大丈夫か?」

「…ましになりました。」


 砦の外には煌々と燃える松明がいくつか設置されており、イヴはそこで暖をとっていた。


「レザールのお嬢さん、大丈夫かい?」

「…はい。」


 兵士の一人が、イヴに声をかける。

 声からして、まだまだ若いだろう。


「ロキアス殿、これを。」

「いや、俺は大丈夫だ。イヴに着せておくよ。」


 騎士たちが使っているコートを手渡された。

 が、俺はイヴに着せておく。


 結果的に、大柄な騎士のコートらしく、イヴは顔しか見えなくなっていたが。


 俺は正直、魔法と『魔能力サイキック』で何とかなるからな。


「戦うときはどうするんだ? コートを羽織って戦争するんじゃないんだろう? 鎧も金属製で、すぐに冷えるんじゃないのか?」

「特殊な下着を着ているからそこの部分は問題ない。ロキアス殿はどうする?」

「…俺は…魔法と『魔能力サイキック』で何とかするよ。」


 ここに向かうときもそうしていたし、思った以上に消費体力と魔力が少なく、減少をほぼ感じない。

 そのため、俺は特に心配していなかった。


「とりあえず、砦の中に。狭いと思うが、部屋を一室空けておく。」


 俺がその、大柄な若い騎士の正体が…、この砦の部隊を率いる部隊長だと知ったのは、その後すぐだった。

ありがとうございました。

今日は執筆時間が無く、1話となってしまいました。


申し訳ありません…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ