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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第5章 天才鍛冶師との生活は、事情が事情なだけに…。大変。
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決闘【duel】

最後まで読んでいただければ光栄です!

 決闘訓練の授業。

 決闘たいせんする相手は、予約制であるはずなのだが。

 たまに、イレギュラーも存在するのだ。

 時間の余ったときとか。


「はい、今日も時間が余ったし、誰かと戦いたいって言う奴はいるか?」


 こういうとき、元から自由参加でかつ…、【聖魔】の名前の根源になっている俺は声をかけられない。

 …今日はシルバが指名されていた。


「レザールと一回戦ってみたかったんだ!」

「…はぁ。」


 シルバ、こう言うときは迷惑そうだもんなぁ…。

 顔がちょっとひきつっている。

 …あ、確かまだ剣しか使えないんだっけか。


「どうしたどうしたぁ?」

「挑発したこと、後悔させてやるから待ってろ。」


 挑発には乗っている気配がないのに、それを言うのはどうかと思うぜ。

 まあ、シルバの好きにやらせればまず間違いなんて起こらないからいいと思うけど。


 シルバが刀を抜く。

 それは、【極光アクイローリス・ルミナリア】と呼ばれる赤い剣。

 いや、虹のように色が切り替わっていくから赤とは限らないんだろうな。


 そして、決闘開始の合図。

 シルバは、予備動作を一切せずそのまま相手に切りかかる。


 相手とは約3メーティラほど離れているというのに、すごい。

 なんていうか、滑っていくような感覚である。


「ふんっ!」


 そして一振り。

 閃光が剣から迸り、残像が見える。

 剣の跡筋は、振り終わってから一筋の光となる。


「なっ---。」

「次だ。」


 間一髪でよけた挑戦者に、シルバは口の端を釣り上げながら笑った。

 その顔は、闘争心に満ちあふれていた。


 悪く言えば、邪悪な笑い。


「っ…!」


 シルバは無造作に剣を振るだけ、しかし相手は攻撃する暇もないほど焦っている。

 そんな中、シルバが【極光アクイローリス・ルミナリア】を相手に向かって投げつけた。


「はっ!?」


 間一髪で避ける男子生徒。

 一瞬判断が遅れたのは、相手が予想外の動きをしたからか。


 しかし、避けて安心したと思った次の瞬間。

 男子生徒の目の前には、拳を握りしめたシルバの姿があった。


「遅い。」


 ガツン! と骨も砕きそうな音。

 男子生徒は地面に倒れ、シルバは手を振っていた。








 …さすがだ。

 特に最後のパンチ、俺が動体視力を鍛えていなかったら絶対に捕捉できてなかった。

 ちなみに男子生徒は空中に浮かぶ担架で医療室へ。

 脳震盪のうしんとうを起こしてしまったらしい。


『さすがですね、シルバ様。』

「いや、ローリスのおかげだよ。」


 シルバが剣を地面から(刺さってた)抜くと、剣から深みのある声が聞こえてくる。

 その声に答えるようにシルバが答えると、剣は涼風のような笑い声をあげた。


 そしてカレルが司会を進める。


「…ほかに候補者はいるかー?」

「俺、ロキアスと戦いたい。」


 …お?


 俺が呼ばれるのは久しぶりだぜ!

 というわけで、俺は張り切った。


「…呪呪呪呪…。」


 あ、こいつ俺がクリーゼとつきあったときに呪文を唱えてた奴だ。

 …確かそうだったような気がする。

 去年のことだから、記憶が曖昧なんだよねぇ…。


「いいのかバル?」

「行けます。」


 バルと呼ばれた男子生徒は、なにが行けるのか俺が理解しないまま、自分の得物を掲げた。

 …なるほど。


「槍か。…一点に威力を集中させるようなものは、運動能力に秀でているウェイカーに対して相性が悪いのは分かっているのか?」

「問題ない。」


 大した自信はすごいけど。

 …俺も黙る訳ないでしょうに。


「【夕暮れ時の太陽トワイライト・サン】。」


 背中に括りつけていた2本の剣のうち、最初に抜くのは愛剣。

 『武器妖精アームド・フェアリー』に惚れて買ったのだが、正直言って性能はかなり高い。

 シルバからも高評価をもらっているため、かなりのものだと安易に予想はつくだろう。


「そして…。【浄化の光剣リディルクレール】。」


 シルバに作ってもらった魔剣。

 いや、この輝きは聖剣か。

 …どちらでもいい。


 相手は、結局は凡百の生徒であり。

 異常イレギュラーさは全く持って見えない。

 その槍が、例えシルバが作ったものだとしても。

 今、俺は勝てると思う。


 使う人が最後は…。

 勝利を決めるのだ。












 開始の合図。


 相手が槍を突き出す。

 …風を裂く音。

 …なるほどね。


「【風】属性の付与を確認。」


 自分だけに聞こえるように俺はつぶやき、…ニヤッと笑いをこぼしてしまった。

 これが秘策だというのか?


 二つの剣を振りあげる。

 と、【夕暮れ時の太陽トワイライト・サン】を相手に向かって投擲し、同時に叫ぶ。


「トワイライト!」

『承知しました。』


 バルが避けたのを確認し、武器妖精トワイライト自分本体トワイライト・サンを持って後ろから攻めかかる。

 俺は【浄化の光剣リディルクレール】を右手に持ち換え、前から突進。


 槍は、2方向以上からの攻撃には滅法弱い。

 そこを、一人で突く。




 音もなく、二つの剣はピッタリと。

 相手の首に添えられていた。


 …や、やりすぎた。

有難うございました。

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